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第335回 「18mの視線」ガンダムと大仏のちがいを実感する

”拝観料1650円。それだけの価値はある--”
音楽家で神仏研究家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。

こんにちは。池袋のバーでのライブを先日終えた宮澤やすみです。こぢんまりしたお店で初対面の皆さんもすぐ友達になるような良い空間でした。

そんな中、先日は横浜の用事の帰りに、山下ふ頭のガンダムを観てきました。
前から話題になっていましたが、やっと行けました。


仏像で言えば「ご開帳直前」。格納庫に納められている様が、すでにグッとくるんですよね

拙著『仏像にインタビュー』のあとがきに書きましたが、わたくし子供のころ仏像を見て「スーパーロボットが目の前にいる!」と感動したのが、最初の仏像体験でした。

以来、ロボットアニメを見て育ち、仏像を学び、大人になりました。

大仏は何度もみたけど、巨大ロボを実際に見たらどんな迫力があるのか、ずっと興味がありました。
21世紀も20年ほど過ぎた今、子供の頃の夢が実現したわけであります。そんな感慨をもつ同世代のおともだちはたくさんいらっしゃることでしょう。

眼前に組み上げられたドックに格納されたガンダム。その秘密基地感もすばらしいです。
高さ18mのロボットは、さすがに見上げるような大きさですね。
奈良・東大寺の大仏の像高15mより高いわけで、頭の中で大仏を横において比較してみます。


係員さんとの比較で大きさがわかるでしょうか

最初にもった印象は、ガンダムの頭が小さいというものでした。
もともとスタイル良くできているうえに、これだけ高さがあると遠近感もあって、小顔に見えます。
東大寺大仏の、あの迫りくるような顔面の圧、はガンダムにはありません。
仏像が、下から拝むことを想定して頭を大きく造るとよく言われますが、なるほどこのスケールで造るとそうした工夫が効果的に現れますね。

考えてみれば、大仏は座った状態で15mだから、立ったら30mくらいあるわけで、その巨大さをあらためて感じさせられます。


大仏のほうが頭が大きく見える

また、奈良や鎌倉の大仏だと、頭を下に向けているので「目が合う」体験ができます。
ガンダムは遠くを見据えているので目は合いません。

ガンダム展示が始まったころ、
「等身大ガンダムは、現代の大仏か」
といった見出しのニュースがよく出ましたが、実際に相対してみるとガンダムと大仏の印象のちがいはありますね。

やはり、大仏の目線の配置、と大きく造られた頭部による、「見られているな…」という威圧感は大仏特有のものでしょうか。いや、威圧感と思うのは私があまのじゃくな性格だからであって、一般には「見てくれている」「見守ってくれている」と受け取って宗教的な気持ちが高まるのでしょう。

ちなみに勇者ライディーンが身長30m、ウルトラマンは40mになるので、頭の中で比較すると楽しいです。伝説巨神イデオンは105mでしたっけ。


起動せよ、ガンダム!

しかしですね、大きさでは大仏に及ばないとしても、山下ふ頭の基地に立つガンダムだってこの大きさ、迫力はすさまじいものです。

そして、最大の特徴は、
「こいつ、動くぞ!」
ということ。

強風の中で強行される、「ガンダム起動実験」(というストーリー設定)。
我々は民間人としてそれを見学するのです。

カウントダウンとともに煙が上がり、クルーとパイロット(アムロっぽいがちがうのか)のやりとりが始まって、格納庫から出撃。
「ガンダム、起動!」
という声とともに、なめらかに動きだしたガンダムを見て、ちょっと泣きそうになりました。
この大きさのロボがスムーズに、思ったより自在に動く様子は本当に圧巻でした。
クレーンやパワーショベルなどの重機が動くのとワケがちがって、巨大な人型が動き出すと特別な感じがします。神秘的であり、ちょっと恐怖感もあり。


この大きさのものが、自然な姿勢でスルスルと動き出す様が異様に思える

大仏が立ち上がって街を歩きだすという映画がありましたけど、奈良の大仏ももし立ち上がって動いたら相当な恐怖だろうなと思います。
人智を超えた大いなる存在に、人類はひざまづくしかないという、ジューダス・プリーストの歌詞みたいな世界を想像します。
それで我々のほうを見下ろして視線が合うなんてことになったら、究極のトラウマになることでしょう。いや、またあまのじゃくの性格が出ました。


こんな体勢にもなる

ガンダムのほうはあくまでも人が動かすロボットであり、山下ふ頭の展示では起動実験中というストーリー設定なので、科学万博に来たようなワクワクした感じになります。
実戦の出撃じゃなくて、あくまでも実験中という設定がいいですね。
実用にはまだまだこれから。あとは未来の子供に託すというスタンスが夢があっていいと思いました。
(演出内容は期間によって変わるようです)

拝観料は1650円。それだけの価値はあると思います。


それでは聴いてください。
ブラック・サバスで「アイアン・マン」。



GUNDAM FACTORY YOKOHAMA
https://gundam-factory.net/


---おしらせ---

本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報

1.
宮澤やすみ 三味線ライブ
【三味線と映像で楽しむひととき】
小唄ステージの他、
活動写真の上映も、三味線で生伴奏をつけます。
入場無料です。どなたもお気軽に。

2023年5月27日(土)
18:00開場 18:30開演
渋谷・地域振興センター大向B1 文化ふれあい広場
詳細 http://yasumimiyazawa.com/live.html


2.
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雅楽の笙や篳篥も入った独特のサウンドで、「聴いたことないけど、どこか懐かしい」大人むけのロックです

 収録曲:
 1.Fantastic Dystopia
 2.一木造
 3.Shami on The Water
 4.川のほとりで
 5.Benzai-Tennyo
 6.Black Etenraku
 7.北斗星
 8.いけるとこまで
 ほか、付録CDにボーナストラック