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第365回 半蔵門ミュージアムの矜羯羅童子と制吒迦童子

”ケルンあたりの教会にあっても違和感ないかな--”
音楽家で神仏研究家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。

こんにちは。毎年のことですがこの時期どうも不調で医者に通っている宮澤やすみです。幸い仕事がないので(それはそれで困る)ゆっくり暮らしてます。

そんな中、2023年末の東京は仏像展示がたくさん。前回に続いて東京・半蔵門ミュージアムの話題です。
常設展示のエリアに、新たに如意輪観音菩薩と、不動明王脇侍の二童子像が安置されています。


常設展示「祈りの世界」エリアに展示された観音と二童子像。有名な大日如来も拝観できる。

このうち前回は如意輪観音菩薩に注目し、醍醐寺-石山寺に思いを馳せましたが、二童子もいいですね。
この二童子は不動明王の脇侍として造られるもので、展示室でも不動明王と並んでいます。


明治時代には、この不動明王と共に醍醐寺三宝院に安置されていたが、もともと別に造像されたもの

矜羯羅童子(こんがらどうじ:写真右)は不動明王によく従う良い子。制吒迦童子(せいたかどうじ:写真左)はいたずらっ子の感じで表現されます。


11~12世紀 平安時代後期の作。ヒノキの割剥造り。截金文様が残っていて、この時代らしい典雅なデザインが見られる

取材中には「中世ヨーロッパの聖人みたいだね」なんて声もあり、確かにそんな雰囲気もありますね。
そう思うと、ケルンあたりの教会に置いてあっても違和感ないかな?
ただこの時代にヨーロッパとのつながりがあったとは思えませんけどね。


髪型を不動明王に似せたのでしょうがどこか修道士っぽい感じになってしまったと思われる

このほか仏画もあり、この「刀八(とうはち)毘沙門天」はその由来が不明で興味深いです。八本の刀を背負っています。
よく知られた兜跋(とばつ)毘沙門天とは関係ないようだと学芸員の方がおっしゃっていました。その正体はナゾに包まれています。


刀八毘沙門天 江戸時代 天保4年(1833)

小さいながらも充実した展示でした。都心なので気軽にぱっと行けるのもいいですね。


それでは聴いてください。
Mr.Children で「innocent world」。




■初公開の仏教美術
―如意輪観音菩薩像・二童子像をむかえて―
半蔵門ミュージアムにて
2023年11月22日(水)~2024年4月14日(日)
月火、年末年始休館
美術館公式サイト
https://www.hanzomonmuseum.jp/

(過去記事)
半蔵門ミュージアム「如意輪観音菩薩」
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20231212-2/


--おしらせ---

本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報

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宮澤やすみ公式サイト:http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター:https://twitter.com/yasumi_m