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第364回 半蔵門ミュージアム「如意輪観音菩薩」

”珠玉の仏像体験、歴史体験ができ--”
音楽家で神仏研究家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。

こんにちは。最近は筋トレを続けている宮澤やすみです。といってもごく軽いものだけど、身体の不調は運動不足からきていることが多いのでなるべく身体を動かすようにしています。

そんな中、晩秋の東京は仏像展示がたくさん。今回は半蔵門ミュージアムにおじゃましました。
常設展示のエリアに、新たに如意輪観音菩薩と、不動明王脇侍の二童子像が安置されています。


常設展示「祈りの世界」エリアに展示された観音と二童子像。有名な大日如来も拝観できる。

この「仏像ブツブツ」連載としては、とくにこの如意輪観音に注目です。その理由はのちほど。


すらりと伸びた六本腕が目を引く如意輪観音菩薩坐像。江戸時代には醍醐寺三宝院に安置されていたが、それ以前の伝来は不明

この如意輪さんは、平安時代10世紀ごろの作。

後世の修復で顔立ちが変わっていたのが、最近の修理で制作当初の顔が拝めるようになりました。
その顔は、吊り上がった目が特徴の中国風の面相です。
これは、平安前期やそれより前に流行った奈良時代の仏像の顔に似ているような気もします。
有名な国宝仏、室生寺の十一面観音にも似た、吊り目で頬がふくよかな丸顔の観音さんです。


髻の内部に舎利容器と舎利の存在が判明した

下半身にも注目しましょう。
ふつう、如意輪観音は右脚を立てて左右の足の裏を付けて座る「輪王坐」という座り方が特徴です。

ところが、今回の如意輪さんは右足を左の腿にのせて(半跏)、左足を下ろした「半跏踏み下げ」というかたちです。


古い弥勒菩薩像を如意輪観音として信仰することがあるが、踏み下げの坐法だけみると確かに弥勒菩薩に通じるものがある

半跏踏み下げスタイルの如意輪観音といえば、この連載では3年前に石山寺の秘仏本尊「二臂如意輪観音」について10週ほど書きました。

このとき、なぜ二本腕の石山寺観音が如意輪観音と呼ばれるようになったのかを考察しましたが、そのカギとなった仏像こそ、今回の如意輪観音像だったのです。過去記事でも紹介しました。
今回やっと実ブツに会えたという次第です。


像高データは公表されていないが意外と大きい像。同行した久保沙里菜さん(仏像好きアナウンサー)と比べてみる

今回展示の如意輪観音は、醍醐寺ゆかりのもの(ただし制作当初どこにあったかは不明)。
この仏像が造られた10世紀、醍醐寺の高僧が石山寺の座主となっています。
(京都の醍醐寺と滋賀の石山寺は、山を挟んでお隣同士の位置関係)

さらに、石山寺の観音像が「如意輪観音」と文献に記されたのが永観2年(984年)つまりこれも10世紀。
醍醐寺は真言密教の総本山で、石山寺も急速にその影響を受けていくなか、本尊が如意輪観音と呼ばれるようになっていきます。
その当時、今回展示の如意輪観音像が醍醐寺にあったのかは確証がなく、醍醐寺と石山寺の関係に直接的な影響を与えたかどうか定かではありません。しかし、密教の隆盛で如意輪観音信仰が高まっていた時代ではあります。

こういうテーマはわからないことが多いもので、今後の研究成果が待たれる状況ではありますが、ともかく10世紀の仏教史のうねりを象徴するような仏像を、東京・半蔵門で眼前に拝するという、珠玉の仏像体験、歴史体験ができたのでした。

それでは聴いてください。
ザ・ブッツで、「如意輪のまどろみ」(如意輪観音イメージソング)。


次回は半蔵門ミュージアムをもう少し見て回ります。

■初公開の仏教美術
―如意輪観音菩薩像・二童子像をむかえて―
半蔵門ミュージアムにて
2023年11月22日(水)~2024年4月14日(日)
月火、年末年始休館
美術館公式サイト
https://www.hanzomonmuseum.jp/


(過去記事)
進化のための密教”Changes”-石山寺・如意輪観音の旅 その7
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20200825-2/
※醍醐寺如意輪(今回展示)とのつながりをひもときます

なぜ如意輪観音なのか?-石山寺・如意輪観音の旅 その4
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20200804-2/
※「輪王坐」など如意輪観音の基本形がわかります


--おしらせ---

本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報

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「神社の仏像」
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 2.一木造
 3.Shami on The Water
 4.川のほとりで
 5.Benzai-Tennyo
 6.Black Etenraku
 7.北斗星
 8.いけるとこまで
 ほか、付録CDにボーナストラック




宮澤やすみ公式サイト:http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター:https://twitter.com/yasumi_m