仏像を“テツガク”する会 第4回 イベントレポート(前編)
第4回「仏像への興味は、年齢や男女で異なるのか?」
2018年12月7日、東京 表参道で、第4回「仏像を“テツガク”する会」が開催されました。
今回のテーマは、「仏像への興味は、年齢や男女で異なるのか?」。
テーマにふさわしく、学生から社会人、男性・女性、さまざまな方にお集まりいただきました。
なんと、今回の参加者の中には、仏像イラストレーターとして人気の田中ひろみさんのお姿も!
「仏像」と聞くと、どことなく、年配の男性が興味を持つものでは? と思われがちですが、そうした予想を裏切る華やかな会となりました。
前回同様、今回も、問いを深め、本質を追究する「哲学シンキング」というメソッドを使い、
まずは、参加者の皆さまから、上記のテーマに関連する「さまざまな問い」を挙げていただきました。
「若いときと、年齢を経たときとでは、仏像の見方が変わるのか?」
「歴史的背景などの知識を得たあとと、その前とでは、感じ方(見方)にどのような違いがあるか?」
「男性と女性とで、仏像の感じ方は違うのか?」
「仏像の売れ筋ランキングは、男女で異なるのか?」
「仏像を見て美しいと感じるのと、人を見て美しいと感じるのは同じか?」
最初に取り上げたのは、仏像を見るときの「年齢」や「時」に関する問いです。
参加したほとんどの方が、子供の頃と大人になってからとでは、仏像の見方や感じ方が違うとおっしゃっていました。
「学生のとき、修学旅行で仕方なく仏像を見に行ったけど、興味を持てなかった」とのこと。それが、どうしたことか、大人になってから仏像を見ると、見え方や感じ方が変わっていたというのです。
「親元を離れて不安だったとき、安心などの恩恵を受けたいと思うようになった」
「それぞれの時代の人たちが、どういう気持ちで仏像を作ろうとしたのかを考えながら見るようになった」
「仏像を美術品として見るようになって、どうやって作られたかを考えるようになった」など、
大人になって、さまざまな経験や知識を得たことで、仏像の見方のストライクゾーンが広がったのではないか、といった意見が参加者の皆さまから寄せられました。
しかし、そうだとしたら、知識や人生経験の少ない子供が仏像に興味を持つことはないのでしょうか。
この問いに対し、ある参加者の方から次のようなエピソードが。
「子供のとき、家族旅行でお寺を見たり、大河ドラマを見たりするなどしていた。自宅には、天燈鬼・竜燈鬼も飾ってあった。知識はなかったけれど、仏像に関連するものに触れる環境や楽しい経験とリンクするなかで、仏像にも興味を抱いたのかもしれない」
また、別の参加者の方からは、こんな意見も。
「3歳の甥っ子が成田山不動尊に行ったとき、祈祷の太鼓の音を聴きカッコいいと言った。親もそれに関連するものを与えていたら、般若心経を暗唱するまでになった。周りの人たちからの影響で、仏像に興味を持つようになるのではないか」
それぞれの仏像体験を語り合うなかで、仏像への興味は、年齢そのものよりも、仏像に関わる知識はもちろんのこと、自分の生活環境から育まれることもあるのではないかとの考えに至りました。
では、仏像の見方や感じ方は、性別によって異なるのでしょうか。
この問いについては、仏像の見方や感じ方は男女で異なるという興味深い対話が展開されていきます。その詳細は、イベントレポート(後編)でお届けします。
進行役 & 執筆者 吉田幸司
博士(哲学)。日本学術振興会特別研究員PD(東京大学)を経て、現在、クロス・フィロソフィーズ(株)代表取締役。上智大学非常勤講師、哲学シンキング研究所センター長などを兼任。共著書にBeyond Superlatives(Cambridge Scholars Publishing)など。
Website: http://c-philos.com/
博士(哲学)。日本学術振興会特別研究員PD(東京大学)を経て、現在、クロス・フィロソフィーズ(株)代表取締役。上智大学非常勤講師、哲学シンキング研究所センター長などを兼任。共著書にBeyond Superlatives(Cambridge Scholars Publishing)など。
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