彫刻の見方

彫刻で大事な部分は細かさではない。

荒彫りこそが熟練者の仕事

彫刻技術については、細密な彫刻が出来る人が熟練者・上位者であると誤解されがちですが、ある程度修行を積めば細かい彫刻は誰にでも習得できるといわれています。彫刻で最も大事なのは、四角い木材からいわゆる“芯出し”という段階まで荒彫りする作業で、それこそが像全体のバランスを決める最も大事な熟練者の仕事となります。弟子を抱える仏師の工房では師匠、または一番弟子の仕事がこれにあたります。この認識は日本と中国の仏師ともに同じで、仏像制作におけるバランス出しはそれほど難しい作業であり、経験を要する重要事項なのです。最初の荒彫りを師匠が、仕上げを弟子が行うことは決して珍しいことではありませんが、なんとなく逆のイメージを持っている方が多いのではないでしょうか。

指先やお顔の彫りで良さを見極める

彫刻の出来を判断するにはまず「像全体と腕の長さ」「下半身と胸の厚み」「顔の表情と目線 など総合的なバランスを見ます。バランスの良し悪しを判断するには、国宝や重文の仏像を数多く見て、彫刻を見る目を養うことが大事です。そうなるまでは他の仏像との比較なしに一つの彫刻だけを見て判断することはできませんが、比較的簡単に見極めるには「手」を見る方法があります。手の彫刻は指先の細部に至るまで気を抜かずに彫られているかが問われます。そのため手に注目して価格の異なる仏像を比較してみると、その違いが初めてわかるようになるのです。慣れてくると、サイズと材質、それに手を見るだけでおおまかな値段を予想できるようになります。手以外で判断のポイントとなるのは、なんといってもお顔の表情です。お顔を見ていると温かい気持ちになる、癒されるなど、見る側の気持ちに何かしら印象を残すことが重要となります。

個人と寺院 求められる造形の違い

個人が仏像を所有する場合は、本人が気に入ることが最優先となります。しかし寺院が所有する場合は、大勢の人に共感してもらえる造形であると同時に100年、500年先まで残ることを考えなければなりません。そのため個人と寺院とでは求められる造形にも変化が生じますし、制作する側に求められるものも異なります。 仏師は、その求められる仕事において、木彫作家とは一線を引きます。木彫作家の作品は、よりオリジナリティを高めたものが評価されますが、仏師にはより抽象度を高めた造形が求められます。それは自分を出さず、祈りを捧げる個々の人の心を動かす最大公約数となるような造形です。仏像彫刻を考える時は、単に造形だけでなく仏像制作の目的や役割も考慮してみると仏像の見方も変わり、今まで見えなかったものが見えてくるようになります。ぜひお試しください。
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