持物の見方
細かな気遣いが表れる重要な部分
仏像の徳を表す持ち物
持物(じもつ)とは、仏像が持っているモノを指し、法力や徳を表します。たとえば観音様が手にする蓮華や水瓶(すいびょう)、薬師如来の薬壷(やっこ)、毘沙門天の戟(げき)や宝塔、不動明王の羂索や宝剣など、仏像の特徴を如実に表し、それぞれの意味において仏像名を特定する重要な役割があります。
細かな細工でわかる熟練度の差
持物の仕様として望ましいのは、できるだけ接着剤を使用しないことです。引っ越しなどで移動が必要となった際、破損を防ぐために仏像本体から取り外して梱包する必要があるからです。嵌め込み式で作成されたものは、結合部分の凸と凹がしっかりと結合し、正しい角度に取り付け可能か注意して見てください。手に蓮華を持つ仏像で、左手の親指と人差し指で作った輪の中に蓮華を差し込む仕様の場合、安価なタイプは蓮華の角度を調節しながら決めなければなりません。その際、指の輪と蓮華の茎の太さとのバランスが悪いと思う場所に固定できないことがあります。熟練度の高い仏師が制作した仏像では、あらかじめ指定した角度と深さで止まるよう細工されていることが多いようです。この他にも、仏像本体の大きさと比較して持物が異常に大きすぎる場合もありますので、持物を取り付けた状態で全体のバランスをチェックすることをおすすめします。像によっては水晶や天然石で宝珠を作成することもあり、その場合は宝石の価値によって大きく価格差が出ることもあります。