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第249回 聖徳太子さんぽ1 世田谷の太子堂

”太子堂とは、やはり聖徳太子のことですよね……”
神仏研究家・音楽家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。

こんにちは。早稲田大学のオンライン講座が始まり、毎週この連載の締め切りとちょうど重なっていて大変な夏を過ごしている宮澤やすみです。こんな事態に忙しくやれているのはありがたいことです。

そんな夏、東京はまたも緊急事態下にあり、外出がしづらい状況、しばらくは近所をぶらつくしかありません。


目の前をおさんぽ中のシラサギさん。緑道に行けばだいたい会える人気者

しかし、まさに灯台下暗しで、近隣のあちこちに興味深い寺社がいくつもあるのでした。
今回は東京の世田谷へ。円泉寺の太子堂に向かいます。

世田谷の三宿(みしゅく)という地域は、電車の駅でいうと池尻大橋と三軒茶屋の間に位置し、緑地が多い閑静な住宅地です。

小川が流れる緑道を散歩すると、すぐ横にシラサギが川底をつついてのんびり食事中だったりします。
ここは烏山川が流れるところを暗渠化した緑道で、この緑道沿いに、円泉寺、松陰神社、世田谷城阯公園、豪徳寺など、世田谷の歴史名所が点在しています。

さて、この三宿の隣が、「太子堂」という住所表示なんですけど、前から地図を見て気になっていたところです。
太子堂とは、やはり聖徳太子のことですよね。円泉寺にあると聞き、向かいました。

門前には大きなご神木があり(上部は切られていますが)、根本に大きく開いた洞(うろ)に、庚申塔や供養塔などが収められていました。


門前の立派な木に収められた江戸時代の庚申塔

円泉寺の寺名のとおり、ここにはかつて泉が湧きだしていたそうです。

伝承では、賢恵というお坊さんが、布教のために聖徳太子像と十一面観音像を背負って関東地方へ出向き、当地で一泊しました。
その夜、夢に聖徳太子が現れ、霊泉が湧き出るこの地で太子を祀るように言われ、そのためお堂を建てたのが始まりと言われます。


一帯の地名の由来となった、円泉寺の太子堂


太子堂の横には、銅像の聖徳太子16才(孝養)像

円泉寺は、すぐそこが三軒茶屋という位置にあります。
三軒茶屋に向かう国道256号線は、かつて大山詣での参詣人が歩いた参詣道でもあります。


円泉寺境内

お寺の東側には、三宿神社という神社もあります。ここがまた興味深い神社なのでした。
石造りの社標に「三宿神社」とあり、その隣の石標には「毘沙門天」と記してあるではないですか。
わたくしの大好きな、神仏習合のニオイがプンプンします。
次週はこちらをご紹介しましょう。


それでは聴いてください。
ザ・ポリスで「孤独のメッセージ(Message in a Bottle)」




(おしらせ)本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報
1.
宮澤やすみ作・ザ・ブッツ「君はソウルメイト!百済観音」


宮澤やすみYoutubeチャンネル
https://www.youtube.com/c/YasumiMiyazawa/

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