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第248回 「聖徳太子と法隆寺」金堂に並ぶ百済観音

”明治のころまでは、百済観音は金堂の本尊と背中合わせに安置されていました……”
神仏研究家・音楽家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。

こんにちは。この夏も外出できずライブも人を呼べないので、ひたすらMV(ミュージック・ビデオ)を作っている宮澤やすみです。先日のデュランデュランカバーはさっそく米国のVJさんのお目に留まりました。次もすぐ公開します。

さて、上野界隈には、ふたつの「東洋館」がございます。
わたくし宮澤は、三味線音曲家として上野広小路の演芸場「東洋館」に出演しましたが、

今回は上野公園、国立博物館にある「東洋館」に向かいます。

いま平成館で開催中の特別展「聖徳太子と法隆寺」にあわせて、東洋館の地下にある「TNM & TOPPANミュージアムシアター」にて、法隆寺金堂内部の高精細VR映像が上映されています。

このシアター上映は、東京国立博物館と凸版印刷を中心としたVR映像プロジェクトで、東博所蔵の文化財を、間近に鑑賞したり、かつての姿を再現した映像を見せてくれます。


VR作品『法隆寺 国宝 金堂—聖徳太子のこころ』
監修:東京国立博物館、文化財活用センター、法隆寺  制作:凸版印刷株式会社


特別展「聖徳太子と法隆寺」にあわせて上映しているのは、『法隆寺 国宝 金堂—聖徳太子のこころ』というVR作品。
普段入ることができない、金堂の内部をつぶさに鑑賞でき、さらに昔のようすも再現しています。


国宝 釈迦三尊像の立体形状計測風景 (C)Toppan Inc. 協力:法隆寺

わたくし宮澤やすみの仏像の原体験は、小学生の時に、この法隆寺金堂を覗き込んだ体験です。その金堂内部に、バーチャルとはいえ、入り込んで、あの金堂本尊・釈迦三尊像の間近にたたずむという、夢のような体験をすることができました。

演芸と文化財のちがいはありますが、上野の「東洋館」は、どちらも夢を与えてくれる場所でございます。


金堂の内部空間を再現(VR)

また、仏像ファンとしては、謎多き美仏・百済観音がこの金堂に安置されていた様子を再現した映像も見逃せません。


今回は百済観音さんは平成館1階の高精細映像でお目にかかれます(前回記事参照)。観音と向き合っているのは、取材に同行した久保沙里菜さん(仏像大好きアナウンサー)

法隆寺金堂の仏像配置は、上の画像のとおりの配置が現在見られるかたちです。
中心に釈迦三尊、その右(向かって左)に阿弥陀、その反対側に薬師(今回の特別展で展示)が並び、四隅に四天王、それらの間に毘沙門天と吉祥天が立ちます。

ところが、その裏側に、もうひとつの仏像世界が作られていたのでした。それが百済観音と阿弥陀三尊厨子(伝橘夫人念持仏)です。

明治のころまでは、百済観音は金堂の本尊と背中合わせに安置されていました。さらに、百済観音の横には「伝橘夫人念持仏」厨子がありました。明治5年撮影の調査写真でそのようすが見られます。

仏像の制作年代でいうと、中尊の釈迦と薬師は金堂建設当初のものと推定され(薬師については諸説あり)、その次に古いのが百済観音と四天王(今回の特別展で展示)です。いずれも飛鳥時代後半の作とされます。

昨年の特別展「法隆寺金堂壁画と百済観音」での論調に従うと、百済観音は飛鳥時代に造られた当初からもうここにあったと推測され、だいぶ長い間金堂にあったものとされます(江戸時代の一時期に講堂に安置された記録あり)。

表側の釈迦三尊は聖徳太子の追善の意味があり、裏側に立っていた百済観音は、太子の息子である山背大兄王の追善ではないかという説もあったりして、結論は出ていませんが百済観音が法隆寺で大きな存在だったことが偲ばれます。


昨年中止となった特別展「法隆寺金堂壁画と百済観音」の図録。あれは本当に残念でした

百済観音は、明治期の調査後、奈良国立博物館に委託され、昭和16年に法隆寺に戻り、現在は大宝蔵院で主役(?)を張っています。

わたくし宮澤としては、仏像原体験である釈迦三尊とともに、この百済観音がずっと気になる存在でありました。昨年の特別展で百済観音が東京で展示されたのが、コロナで開幕を待たずに中止となったことが今でも残念です。

それでは聴いてください。
ザ・ブッツで「君はソウルメイト!百済観音 Full Version」




ミュージアムシアター「上演中の作品」
https://www.toppan-vr.jp/mt/showing/
上演時間、料金など事前にご確認ください。
博物館の入館は事前予約制ですが、シアターのチケットは上演前に現場で購入するかたちです。



■聖徳太子1400年遠忌記念 特別展「聖徳太子と法隆寺」
(東京展)
東京国立博物館 平成館
2021年7月13日(火)~9月5日(日)
9:30~17:00
月曜休館
※ただし、8月9日(月・休)は開館し、8月10日(火)は本展のみ休館
詳細は、公式サイト
https://tsumugu.yomiuri.co.jp/horyuji2021/


(過去記事)
飛鳥美術の気品「法隆寺金堂壁画と百済観音」
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20200324-2/
無念の特別展中止。それでも百済観音は美しい
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20200414-2/


(おしらせ)本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報
1.
宮澤やすみ演奏&主演「The Reflex」ミュージックビデオ公開しました。
 ↓↓

宮澤やすみYoutubeチャンネル
https://www.youtube.com/c/YasumiMiyazawa/

2.
宮澤やすみソロアルバム発売中
『SHAMISEN DYSTOPIA シャミセン・ディストピア』
購入は「やすみ直販」で
http://yasumimiyazawa.com/direct.html
(ネット決済のほか、銀行振込、郵便振替も対応)



宮澤やすみ公式サイト:http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター:https://twitter.com/yasumi_m