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第331回 「木彫復活」のナゾ③ 飛鳥のクスノキ仏

”海外の産物だった仏像を日本国内で造ろうという--”
音楽家で神仏研究家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。

こんにちは。メガネの度を直したら、よく見えすぎて頭痛が絶えない宮澤やすみです。目と歯にはいつも悩まされます。

そんな中、ここ数回は「大安寺の仏像」から、
奈良時代の木彫仏をご紹介しました。

奈良の都で木彫りの仏像が復活したのは鑑真来日がきっかけだったという話ですが、復活というからにはその前にもあった、ということでして、それが飛鳥時代の木彫仏です。


法隆寺の救世観音。東京国立博物館展示の8K映像より。全体像は検索すれば出ますんで

有名なのは、法隆寺・夢殿にある秘仏・救世観音菩薩でしょう。日本で仏像が造られ始めた最初期のものです。

あと、私が個人的に印象深いのは、東京国立博物館所蔵の木彫仏です。
この不完全なフォルムが、いいですよね。
館内で見かけてハッと見入ってしまいました。


菩薩立像 像高93.7 飛鳥時代 7世紀 東京国立博物館蔵 出典:国立博物館所蔵品統合検索システム

飛鳥時代の仏像のフォルムは、正面から見ると左右対称。
正面から拝むことを主眼においているので(「正面観照」という)、横から見ると薄っぺらいです。でもそれがまたいいんです。


横からみた写真

この二体の仏像は、クスノキで造られています。
飛鳥時代の木彫仏像は作例が少ないですが、クスノキが主流だそうです(広隆寺の弥勒菩薩はアカマツ)。
なぜでしょうか。


背中にある銘文。「聖徳太子御時代」とあるが、これがいつ書かれたかは不明

クスノキは、日本では古くから神が宿る神聖な木とされていて、その語源も「奇しき木(くしきき)」からきているという説があります(諸説あり)。
仏教流入以前から、日本では自然信仰の一環でクスノキを神聖視していたようです。
海外の産物だった仏像を日本国内で造ろうという時、日本ならではの霊木を使おうという考えがあってもおかしくないでしょう。


お顔立ちは意外にもリアルで深遠な表情

飛鳥時代の”仏教はじめて”の日本人スタッフ、
「せっかく仏像を造るんだから、特別な木を使おうじゃないの」
「だったら御神木を使うといいんじゃない」
「それってクスノキだよね」
という企画会議があったんじゃないでしょうか。


筆者が近所の公園で撮影したクスノキ

クスノキは、虫よけになる樟脳の原料でもあり、独特の匂いと薬効があって虫食いに強い。
日本国内で採れて、非常に大きく育つから材木にしやすいということもあったかもしれません。

ただ、仏教の知識が広まるにつれ、クスノキは使われなくなっていくという話は、前回記事をご参照ください。

個人的な好みですけど、私は後世の動き出しそうなリアル仏像より、こうした古拙というのかゆがんだ美といいますか、良い意味で人間らしさがない仏像が好きですね。

それでは聴いてください。
ザ・ブッツで「君はソウルメイト!百済観音 」。
(百済観音もクスノキ製です)




---おしらせ---

本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報

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宮澤やすみ公式サイト:http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター:https://twitter.com/yasumi_m