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第458回 ブドウを持つ千手観音、ワインをもたらす薬師如来
”ブドウの効能が医薬の仏につながり――”
音楽家で神仏研究家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。
こんにちは。私の小唄一門の演奏会を無事に終えた宮澤やすみです。大入御礼。伝統芸能の会ながら和やかで楽しい会にできました。
打ち上げではプレッシャーから解放されて大いに飲みましたけど、わたくし一番好きなお酒は赤ワインでして、お弟子さんのなかでワインが好きな人たちとは時々飲みにいきます。

サンマにも合う日本のワイン。仏像との関連はあるのか? 以下ご一読を
和の世界に身を投じていながらワイン好きであるのは合わない感じもしますが、仏像に接しているとワインの原料であるブドウはよく目にしますよね。
奈良の薬師寺本尊の薬師如来坐像の台座には、エキゾチックなブドウ唐草文様があしらわれています。
あとは、千手観音菩薩がもつたくさんの持物のうち、ひとつはブドウなんです。「蒲桃(ほとう)」と書きますがこれがブドウのこと。
証拠をお見せしたいと思って画像を探したら、ちょうどイスムさんの画像がありました。
SNS投稿から引用します。
マルで囲ったところ、ブドウを手にしています。

イスム千手観音菩薩より。ブドウを持っている
千手観音がブドウを手にする意味というのは、やはりその栄養から健康になる、ひいては病気平癒の効能が期待されたようです。
大阪・葛井寺は本当に千の手をもつ千手観音菩薩が本尊ですが、そこで授与されている「千手観音持物守り」をみると「自然の恵みを得る」とあります。

葛井寺 千手観音菩薩坐像(報道内覧会で許可を得て撮影)。画面向かって右側の手のひとつにブドウをもつ

葛井寺 千手観音菩薩坐像(報道内覧会で許可を得て撮影)。画面中央のつぶつぶしているものが蒲桃(ほとう=ぶどう)
古くから、ブドウは人類を元気にするありがたい存在なんですね。
手元にある『ワインの世界史』という本によると、ブドウの原産は新石器時代ごろの西アジア(現在のイラン)からカスピ海西岸(現在のジョージア)あたりとされ、仏教発祥地であるインドには紀元前2000年頃には伝来していたそうです(ジャン=ロベール・ピット著 幸田礼雅・訳『ワインの世界史 海を渡ったワインの秘密』原書房)。
ガンダーラの初期仏像では、酒を飲む姿の仏像もあるとか。もしかしたら飲んでいたのはワインかもしれません。
そしてブドウの効能が中国へ渡り、遣唐使によって奈良時代に日本へもたらされます。
山梨県のには行基創建といわれるブドウ寺・大善寺があり、ブドウを手に持った薬師如来が祀られています。ブドウの効能が医薬の仏につながりました。
大善寺は本尊は秘仏(5年に一度開帳)ですが、脇侍菩薩や十二神将がずらり並ぶ巨大な堂内は仏像ファン必見です。
そして大善寺ワインが非常においしいので、また飲みに、いや買いに、いや参拝に行きたいと思います。

2013年に訪れた大善寺。左手前は若かりし頃の筆者
それでは聴いてください。
ピチカート・ファイヴで「テーブルにひとびんのワイン」
■あわせて読む(関連記事)
薬師如来と吉祥天の意外なつながり
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20250826-2/
--おしらせ---
本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報
1.
吉原の酔狂と悲哀を歌った古典小唄集
『廓の夜』 宮澤やすみ(唄、三味線、解説)
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宮澤やすみ出演情報(これからとこれまで)まとめ
https://yasumimiyazawa.com/live.html
宮澤やすみ公式サイト:
https://yasumimiyazawa.com
音楽家で神仏研究家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。
こんにちは。私の小唄一門の演奏会を無事に終えた宮澤やすみです。大入御礼。伝統芸能の会ながら和やかで楽しい会にできました。
打ち上げではプレッシャーから解放されて大いに飲みましたけど、わたくし一番好きなお酒は赤ワインでして、お弟子さんのなかでワインが好きな人たちとは時々飲みにいきます。

サンマにも合う日本のワイン。仏像との関連はあるのか? 以下ご一読を
和の世界に身を投じていながらワイン好きであるのは合わない感じもしますが、仏像に接しているとワインの原料であるブドウはよく目にしますよね。
奈良の薬師寺本尊の薬師如来坐像の台座には、エキゾチックなブドウ唐草文様があしらわれています。
あとは、千手観音菩薩がもつたくさんの持物のうち、ひとつはブドウなんです。「蒲桃(ほとう)」と書きますがこれがブドウのこと。
証拠をお見せしたいと思って画像を探したら、ちょうどイスムさんの画像がありました。
SNS投稿から引用します。
マルで囲ったところ、ブドウを手にしています。

イスム千手観音菩薩より。ブドウを持っている
千手観音がブドウを手にする意味というのは、やはりその栄養から健康になる、ひいては病気平癒の効能が期待されたようです。
大阪・葛井寺は本当に千の手をもつ千手観音菩薩が本尊ですが、そこで授与されている「千手観音持物守り」をみると「自然の恵みを得る」とあります。

葛井寺 千手観音菩薩坐像(報道内覧会で許可を得て撮影)。画面向かって右側の手のひとつにブドウをもつ

葛井寺 千手観音菩薩坐像(報道内覧会で許可を得て撮影)。画面中央のつぶつぶしているものが蒲桃(ほとう=ぶどう)
古くから、ブドウは人類を元気にするありがたい存在なんですね。
手元にある『ワインの世界史』という本によると、ブドウの原産は新石器時代ごろの西アジア(現在のイラン)からカスピ海西岸(現在のジョージア)あたりとされ、仏教発祥地であるインドには紀元前2000年頃には伝来していたそうです(ジャン=ロベール・ピット著 幸田礼雅・訳『ワインの世界史 海を渡ったワインの秘密』原書房)。
ガンダーラの初期仏像では、酒を飲む姿の仏像もあるとか。もしかしたら飲んでいたのはワインかもしれません。
そしてブドウの効能が中国へ渡り、遣唐使によって奈良時代に日本へもたらされます。
山梨県のには行基創建といわれるブドウ寺・大善寺があり、ブドウを手に持った薬師如来が祀られています。ブドウの効能が医薬の仏につながりました。
大善寺は本尊は秘仏(5年に一度開帳)ですが、脇侍菩薩や十二神将がずらり並ぶ巨大な堂内は仏像ファン必見です。
そして大善寺ワインが非常においしいので、また飲みに、いや買いに、いや参拝に行きたいと思います。

2013年に訪れた大善寺。左手前は若かりし頃の筆者
それでは聴いてください。
ピチカート・ファイヴで「テーブルにひとびんのワイン」
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宮澤やすみ出演情報(これからとこれまで)まとめ
https://yasumimiyazawa.com/live.html
宮澤やすみ公式サイト:
https://yasumimiyazawa.com


