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直立の観音 – 神社の仏像

立ち姿の仏像の話が続きましたが、今回は”神社に祀られる仏像は、直立ポーズが基本”というお話です。

で、神社の仏像ってなに、って話をしないとですね。

まず、明治より前の時代は「神仏習合」の時代です。
つまり、日本の神と仏がほとんど同一視されていた時代。

なかでも、「日本の神の本体は仏である」という考え方があって、神に対してその本体となる「本地仏」というのが設定された。

たとえば、近ごろ陽明門の修復が話題になっている東照宮は、神が東照大権現(徳川家康の神号)、本地仏が薬師如来です。

こちらの写真は、東京・大國魂神社にある仏像です。


だいぶ小ぶりの仏像です

見てのとおり、長い衣をまとった如来のほか、細身の菩薩、甲冑を着た天部もいますね。

立ち方を見ますと、みんな直立。
本来なら勇壮なポーズを付けるはずの天部もお行儀よく立っています。

現在は、宝物殿に展示されていますが、江戸期は本殿に祀られていたらしいです。


本殿(特別な許可を得て撮影)。ここに仏像も祀られた?

本殿には主祭神が6柱(神を数える数詞は”柱”といいます)祀られていて、なので仏像もそれに合わせた本地仏の像が祀られたというわけです(現在は5体残存)。

いずれにしても、なぜ直立なのか、はっきりと理由があるわけではありませんが、やはり、直立しているほうが厳格な感じがしてしっくりくるんでしょうかね。

また、以前この連載で紹介した、長浜市の横山神社の馬頭観音像。こちらも神社の本地仏ですから直立かなと思って、よ~く見ると、ビミョーに右足をほんのちょっとだけ曲げていました。
ですから全部がゼッタイそうというのではなく、例外もあるものなんですがね。それにしても、傾向としては直立が多いように思います。

ちなみに、十一面観音も本地仏となる場合が多いです。

前回紹介した、聖林寺の十一面さんも、もとは奈良の三輪山を神として信仰する大神(おおみわ)神社に付属するお寺・大御輪寺のご本尊でした。
この十一面さんも、三輪の神の本地仏という意味合いがあったようです。

こんな感じで、もし近代以前の日本を知ろうと思うと、どうしても神仏習合、つまり神社と寺を一緒に見ていく必要があるんです。
ワタクシ、このあたりの話題がすご~く気になっている次第です。

明治の神仏分離令で、日本の神社とお寺の在り方がガラリと変わって、神の名前が変わり、仏像が捨てられ、民衆の伝統的な祭りなんかにも大きな影響が出たんですけど、良かったのか悪かったのか、そのへんはこれがなかなか難しい話なんですよね。
またおいおい触れてみたいと思います。