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酉の市の謎を握るカミとホトケ 前編

前記事では酉の市の話題が出ましたが、代表的なのは、浅草というより吉原にある・鷲(おおとり)神社の酉の市ですね。

例年、11月の酉の日に開催。今年2017年は11月の6日(一の酉)、18日(二の酉)、30日(三の酉)と、3度も行われます。

縁起物の熊手(「かっこめ」という)を売る屋台が並んで、晩秋の江戸風物詩になってます。

ちょっと古い写真だけど、私が鷲神社で撮ったのはこんな感じ。


江戸のにぎわいの代表格


商売繁盛を祈願して、いろんな縁起物が熊手に付けられる

酉の市の発祥は、武蔵国足立郡花又(現在の足立区花畑)の大鷲神社とされます。
浅草吉原の鷲神社と共通するのは、祭神の日本武尊(ヤマトタケル)を縁起としていること。

原型は、どうやら足立農村の農具市だったようですが、それが鷲神社でヤマトタケルの東征伝承と結びつき、縁起物を加えて商売繁盛祈願の祭りとなったようです。
そのへんの経緯ははっきりわかっていませんが、ここではヤマトタケルがキーパーソンだということが重要です。
また、鷲(わし)と書いてオオトリと読ませるところもカギです。

仏像のコラムで、なんで神社の縁起物の話をするのかという声が聞こえてきそうですが、このあと仏像出てきますんで、おつきあいください。

この鷲神社なんですけど、じつは前記事の目黒と同じく、もとはお寺とくっついていた、というより、まさしくお寺だったんですね。
江戸時代まで、ここは長国寺(ちょうこくじ)という名前のお寺でした。
それが、この連載で何度も出てきます、明治の神仏分離令によって鷲神社が独立したそうです。
長国寺は、現在も鷲神社と道路を隔てて存在しています。江戸時代には、幕府の命によって除災の祈願をする「酉祭り」という法要を行っていました。

この酉祭り、当初は、天災があったときなどに不定期に行われていたのですが、いつのまにか酉の日の恒例となって、どうもここから酉の市が盛んになったようにも思えます。

さて、この長国寺の本尊は、妙見(みょうけん)菩薩。
これがじつに謎めいた仏像なのです。本尊は秘仏ですがお前立を撮影させていただきました。


長国寺「鷲妙見菩薩」。鷲に乗る姿から、鷲神社の由来になりました

各地のお寺にわりといますが、仏像のなかでもちょっと特殊なキャラクターで、姿かたちは一定しません。
ただ、右手に剣、左手は刀印(とういん)という印を結んでいるのは、共通しているみたいです。
ご住職によると「外への剣、内への剣」とのことで、外敵にも自分にも刃を向けるという恐ろしいポーズです。

妙見菩薩は、北極星への信仰を仏像化したもの。

そして、このあと妙見さんとヤマトタケルさんのお話と、さらに前記事の目黒とも関わってくるのですが・・・

つづきは次回ということで、次週をお待ちください!

(お知らせ)

1.
筆者・宮澤やすみが仏像の謎をキホンから解説します
早稲田大学オープンカレッジ
【仏像の光と闇 ― 基本から学ぶ仏像秘話 ―】
2018年1月20日(土)15時から毎週土曜全4回
早稲田大学エクステンションセンター中野校
詳細:https://www.wuext.waseda.jp/course/detail/40790/

2.
鷲神社酉の市で幽玄な舞を奉納した「吉原狐舞」の大将、狐太夫・百合之介」と筆者・宮澤やすみ(歌う神仏研究家、小唄師範)が共演!
【宮澤やすみの小唄かふぇ】
2018年2月7日(水)
19時開場、20時開演
神楽坂キイトス茶房
詳細:http://yasumimiyazawa.com/koutacafe/