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如来像、上から見るか下から見るか

今回も「東大寺と東北」展でのお話。
前回は、「アフロ仏」こと五劫思惟阿弥陀さんを紹介しましたが、このほかにも、筆者が大好きな仏像が展示されていました。
それが、「弥勒仏坐像」です。

通称「試みの大仏」とも呼ばれ、あの奈良の大仏造りのためのひな形というかモデルというか、そういう目的で造られた、とも言われている仏像です(実際は定かではありません)。

大きさはそれほど無いのですが、ずんぐりとした体格に、このインパクトのあるお顔。
存在感あふれる名像として伝わっています。

それにしても、このお方、小さいがゆえに写真に撮ると、アングルによって表情がまったく変わるんですよね。

資料写真などでは、仏像の眼の高さから取りますから、目つきが非常に厳しく、呪力のこもった顔に見えます。
身体をかがめて、首も前に出していて、乱暴な言い方になるけど「メンチ切ってる」感じ。
なにしろちょっと怖いです。


「東大寺と東北」展グッズにもなっている弥勒仏

しかし、仏像はそもそもひざまづいて下から拝むのが基本。

そのキホンに則って、下からのアングルで見ると、表情が一変、のんびりとくつろぐようなホンワカした顔になるんですよね。

縁側で「どっこいしょ」と腰かけて、「よう来なすったなあ」と客人に手を振ってるみたい。
左手をだらりと下げているポーズもいいですね。リラックスした感じが伝わります(本来は「触地印」「降魔印」と言って、魔物を抑える意味があるんですけどね)。
こちらの写真は報道内覧会にて撮影しました。


このアングルだと印象がぜんぜんちがう

どう意味をとらえるのかは人それぞれだと思いますが、いろんな見方ができるのも名像たるゆえんかと思います。

次回は会場のある仙台の仏レポートです!

東日本大震災復興祈念特別展
「東大寺と東北-復興を支えた人々の祈り」
(東京展)
2018年4月28日(土)~6月24日(日)
東北歴史博物館
http://www.thm.pref.miyagi.jp/

公式サイト:
http://todaiji.exhn.jp