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初心者むけの工夫がうれしい「仏像の姿」展
三井記念美術館「仏像の姿(かたち)」展は、なかなかチャレンジングな展示だと思いました。
展示の特徴である3つのポイントとは?
絵巻も書物もナシ!最初から最後までぜんぶ仏像!
そんでもって宗教色がこれまたナシ。「みほとけ」とか「祈り」とかいう仏像展にありがちなワードがナシ! 仏像を彫刻作品として見るのに徹底しています。
顔、ポーズ、装飾の3点にスポットを当てた、初心者や若年層も気軽に楽しめる展示になってます。
写真は報道内覧会で許可を得て撮影しました。
踊ってるみたいな菩薩がたのしい
今回ぼくが注目したのは、キャプションボード(展示物を解説するテキスト)です。
展覧会だと、必ず作品の横に掲示してますよね。
今回は、解説のあとに、「見どころ」という一文がついてます。
青字の部分。この工夫が効いてます!
読んでみると、
「風に煽られたような髪型、右手を振り上げ宝剣を持つ躍動感に満ちたポーズ」
とあります。
このテキストがつけられた実ブツはこちら、
写真右、川口・地蔵院の不動明王立像
たしかに、解説テキストのとおりですね。
ひと目見ればたしかにそうです。
「そんなの見ればわかるでしょ」と思う人もいるでしょう。
わかります。
ぼく自身も、ホントは余計なテキストなしに、自分の感性で自由に見るのが一番だと思います。
自分が子供の頃そうだったので。
でもね、大人の初心者さんには、こういう一文が助かるみたいですよ。
ぼくは、早稲田大学オープンカレッジで初心者向けの講座を何年も続けていますが、そこで感じるのがこういう問題です。
受講者に聞いてみると、「仏像に興味がある」というのに、意外にもお寺や美術展に行かない人が多い。
なんで?と聞いてみると、「どう見ていいかわからない」とおっしゃる。
そんなの、自分なりに自由に見て感じればいいんですよ、と言っても、ダメなんですね。
右手を上げたポーズの仏像を前に「この仏像は、右手を上げています」と言わないと、気づかないのです。
テレビの報道やお天気中継で、「真っ青な空の下、子供たちが集っています」とかいうふうに実況するのと似ていますね。
目の前の光景を実況してあげないと理解されません。
そこに気づいた、三井記念美術館の学芸員さん、すごいです。
しかも、情報をボード一枚にシンプルに収めて、目移りしないようになっています。
今回の解説文は、館長である清水眞澄さんと、担当学芸員の海老澤るりはさんのお二人で書かれたそうです。
仏像展によくある「●世紀半ば~後半の様式」がどうのこうのとか、「●●宗●●派の信仰において」なんたらかんたらといったフレーズが、もう気持ちいいくらいに一切ありません。
そういう情報も大変重要なもので、それを期待する上級観覧者もいることでしょう。
展示する側にしても、あれも書きたいこれも書きたいと、情報を詰め込みたくなるでしょう。
それをぐっとがまんして、一貫して今回のコンセプトである「姿(かたち)」の解説に徹した、ブレない姿勢がすばらしいと思いました。
(なお、図録には各像の詳細情報がちゃんと載っています。ちなみに三井記念美術館さんの図録はいつもコンパクトで軽いのが助かります)
さて、こちらのボードを見ると、
「右足の踵をわずかに浮かせ、前に出ようとする姿」
とあります。想像できますか?
じつは、「わずかに浮かせ」どころじゃなく、背伸びするくらいにかかとを上げているんですよ。
写真でお見せしたい!けど、アップの写真掲載がNGなので、実ブツは展示室で見てください。
人身鳥足の迦陵頻伽(かりょうびんが)も楽しくダンス!
展示の最後には、東京藝術大学による国宝仏の模刻もずらり。
現状そのままの再現や、制作当初の姿を再現したものなど見ごたえがありました。
【「仏像の姿(かたち)」 ~微笑(ほほえ)む・飾る・踊る~】
2018年9月15日(土)~ 11月25日(日)
三井記念美術館
WEBサイト:
http://www.mitsui-museum.jp/exhibition/index.html
---おしらせ---
“歌う神仏研究家”宮澤やすみ出演
【宮澤やすみの小唄かふぇ Vol.24】
9月26日(水)19:00開場 19:30開演
神楽坂の小唄師範・宮澤やすみの粋な小唄やゲストとの共演を気軽に楽しめる三味線カフェライブ。
ゲストは甘美な「ベルベット・ボイス」で人気を博す歌手・高橋絵実さん。
竹久夢二作の恋歌など古き良き昭和の抒情歌を三味線とともに。
スウィートな小唄三味線にのせて、甘いひとときの夢を。
●会場 キイトス茶房(神楽坂、牛込神楽坂)
●料金 2000円(+1ドリンク)
●出演
宮澤やすみ(歌、三味線)
高橋絵実(歌)
●詳細
http://yasumimiyazawa.com/koutacafe/
展示の特徴である3つのポイントとは?
絵巻も書物もナシ!最初から最後までぜんぶ仏像!
そんでもって宗教色がこれまたナシ。「みほとけ」とか「祈り」とかいう仏像展にありがちなワードがナシ! 仏像を彫刻作品として見るのに徹底しています。
顔、ポーズ、装飾の3点にスポットを当てた、初心者や若年層も気軽に楽しめる展示になってます。
写真は報道内覧会で許可を得て撮影しました。
踊ってるみたいな菩薩がたのしい
今回ぼくが注目したのは、キャプションボード(展示物を解説するテキスト)です。
展覧会だと、必ず作品の横に掲示してますよね。
今回は、解説のあとに、「見どころ」という一文がついてます。
青字の部分。この工夫が効いてます!
読んでみると、
「風に煽られたような髪型、右手を振り上げ宝剣を持つ躍動感に満ちたポーズ」
とあります。
このテキストがつけられた実ブツはこちら、
写真右、川口・地蔵院の不動明王立像
たしかに、解説テキストのとおりですね。
ひと目見ればたしかにそうです。
「そんなの見ればわかるでしょ」と思う人もいるでしょう。
わかります。
ぼく自身も、ホントは余計なテキストなしに、自分の感性で自由に見るのが一番だと思います。
自分が子供の頃そうだったので。
でもね、大人の初心者さんには、こういう一文が助かるみたいですよ。
ぼくは、早稲田大学オープンカレッジで初心者向けの講座を何年も続けていますが、そこで感じるのがこういう問題です。
受講者に聞いてみると、「仏像に興味がある」というのに、意外にもお寺や美術展に行かない人が多い。
なんで?と聞いてみると、「どう見ていいかわからない」とおっしゃる。
そんなの、自分なりに自由に見て感じればいいんですよ、と言っても、ダメなんですね。
右手を上げたポーズの仏像を前に「この仏像は、右手を上げています」と言わないと、気づかないのです。
テレビの報道やお天気中継で、「真っ青な空の下、子供たちが集っています」とかいうふうに実況するのと似ていますね。
目の前の光景を実況してあげないと理解されません。
そこに気づいた、三井記念美術館の学芸員さん、すごいです。
しかも、情報をボード一枚にシンプルに収めて、目移りしないようになっています。
今回の解説文は、館長である清水眞澄さんと、担当学芸員の海老澤るりはさんのお二人で書かれたそうです。
仏像展によくある「●世紀半ば~後半の様式」がどうのこうのとか、「●●宗●●派の信仰において」なんたらかんたらといったフレーズが、もう気持ちいいくらいに一切ありません。
そういう情報も大変重要なもので、それを期待する上級観覧者もいることでしょう。
展示する側にしても、あれも書きたいこれも書きたいと、情報を詰め込みたくなるでしょう。
それをぐっとがまんして、一貫して今回のコンセプトである「姿(かたち)」の解説に徹した、ブレない姿勢がすばらしいと思いました。
(なお、図録には各像の詳細情報がちゃんと載っています。ちなみに三井記念美術館さんの図録はいつもコンパクトで軽いのが助かります)
さて、こちらのボードを見ると、
「右足の踵をわずかに浮かせ、前に出ようとする姿」
とあります。想像できますか?
じつは、「わずかに浮かせ」どころじゃなく、背伸びするくらいにかかとを上げているんですよ。
写真でお見せしたい!けど、アップの写真掲載がNGなので、実ブツは展示室で見てください。
人身鳥足の迦陵頻伽(かりょうびんが)も楽しくダンス!
展示の最後には、東京藝術大学による国宝仏の模刻もずらり。
現状そのままの再現や、制作当初の姿を再現したものなど見ごたえがありました。
【「仏像の姿(かたち)」 ~微笑(ほほえ)む・飾る・踊る~】
2018年9月15日(土)~ 11月25日(日)
三井記念美術館
WEBサイト:
http://www.mitsui-museum.jp/exhibition/index.html
---おしらせ---
“歌う神仏研究家”宮澤やすみ出演
【宮澤やすみの小唄かふぇ Vol.24】
9月26日(水)19:00開場 19:30開演
神楽坂の小唄師範・宮澤やすみの粋な小唄やゲストとの共演を気軽に楽しめる三味線カフェライブ。
ゲストは甘美な「ベルベット・ボイス」で人気を博す歌手・高橋絵実さん。
竹久夢二作の恋歌など古き良き昭和の抒情歌を三味線とともに。
スウィートな小唄三味線にのせて、甘いひとときの夢を。
●会場 キイトス茶房(神楽坂、牛込神楽坂)
●料金 2000円(+1ドリンク)
●出演
宮澤やすみ(歌、三味線)
高橋絵実(歌)
●詳細
http://yasumimiyazawa.com/koutacafe/