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暗闇の不動明王!立山の「怖カワイイ」摩崖仏

富山県、立山の旅つづきます。立山のエリアから北の方に位置する日石寺もすごかったです。
このあたりは「大岩(おおいわ)」という地名のとおり、山中の巨岩と滝。そのすさまじい光景は後で紹介するとして、そこにいるお不動さんがまた大迫力なんですよ。

山の斜面に点々とお堂があって、本堂はこちら。


山の中にある日石寺の本堂

暗い内陣をのぞくと、内陣の奥に大きな不動明王!
岩を彫った摩崖仏で、「大岩不動」と呼ばれます。

外陣から見ると、暗がりにぼうっと浮かびあがる威容がカッコいい!まさに岩の魔王!
頭の中では、伝説のヘヴィメタルバンド「ブラックサバス」の轟音が、ぎゅい~んと鳴りだします。


"Big black shape with eyes of fire..." by Black Sabbath

近づいてみましょう。こちら側に傾いたかたちの岩の表面に彫ってあるので、迫りくる感じがあるんですよね。
首を上にむけて、口をあんぐりと開けたまま「ほへぇ~っ」と間抜けな声を漏らしながら相対します。
像高313.5センチとありますが、もっと大きく見えます。


近づくとさらに迫りくる感が増します

迫力に圧倒されながら、お不動さんと向き合っていると、最初は怖かったんですが、よくよく見るとお顔はわりとこう、なんといいますか、まんまるおめ目を見開いて、カワイイ感じに見えてきますね。


正面から顔を合わせるとこんな感じ

いわば「怖カワイイ」とでもいいますか(スミマセン)、急に親しみを感じてしまいました。

そういえば以前、三佛寺投入堂に祀られた蔵王権現の像を見たときもこんな感じで、厳しく深遠な山岳信仰の力強い像のはずが、なんだかどうも、カワイイ子供が駄々こねてるみたいに見えまして(ほんとスミマセン)、昔の修験者と現代人での趣味嗜好が変わったということでしょうか。

この不動摩崖仏のお顔を見ると、両目を見開いて、左右の牙が両方とも下を向いていて、「大師様(だいしよう)」という真言宗系のスタイルを踏襲しています。

そして、やはり立山!と思わせるのが、不動摩崖仏の横に彫られたこの姿。前回の記事をお読みの方はお分かりですね。
阿弥陀如来です。


お不動さんのとなりに阿弥陀さんが座るという珍しいパターン

お寺の方にお話を聞きましたら、阿弥陀の姿は後世の彫刻ではないかとのこと。
どこかの時代で「立山だったらやっぱり阿弥陀がないとダメでしょう~」みたいな会話があったんでしょうか。
不動(剣岳)と阿弥陀(雄山)がセットになって、立山信仰の二大本尊となります。

お寺の開創は神亀2年(725)行基によるといいますから、なんらかの山岳信仰の行場だったのが次第に真言宗系のお寺として発展したようです。


なんと三重塔には壁が無いスケルトン!(建立当初から)

ただし、大岩という地名が示すように、お寺ができるずっと前から巨石信仰の聖地だったんでしょう。境内奥にはぱっくり割れた「夫婦岩」なんかもあります。やはりここは岩の聖地です。


境内の「六本滝」でいつでも気軽に滝行ができる

それが身に沁みて体感できるスポットが、お寺の奥の院を兼ねた渓谷「千巌渓」なのですが、あまりの光景だったので、次回あらためてレポートします。立山レポート最終回、乞うご期待!


富山電鉄のローカル線風情もたまりません

(参考)
真言密宗大本山 大岩山日石寺
http://ooiwasan.com/home.html

特別展「蔵王権現と修験の秘宝」力強さと可愛さと|アートウォッチャー
(カワイイ蔵王権現の写真)
http://artwatcher.seesaa.net/article/426176881.html


---おしらせ---

本コラム著者・宮澤やすみ出演
【小唄一本勝負】
11月15日(木)19:00開場 19:30開演
神楽坂キイトス茶房にて

”歌う神仏研究家”で神楽坂の小唄師範・宮澤やすみが、
小唄師範10周年を記念して独演会を開催。
初心者向けに気軽なトークを交えて、10年間の活動で
培った小唄の魅力を存分にお届けします。
昭和の雰囲気漂う人気カフェでの開催。くつろいで楽しめます。

詳細は↓
http://yasumimiyazawa.com/koutaippon.html