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江戸の誇りの九品仏、昭和の過ちを拭い去る
先日は、お仕事で東京・世田谷の九品仏浄真寺へ、お客さんをご案内してきました。
九品(くほん)仏というのは、阿弥陀如来の9つのラインナップ「九体(くたい)阿弥陀」のことです。

撮影許可いただき、下品(げぼん)堂の阿弥陀3体と
阿弥陀如来は、極楽往生するときに救われ方にランクがあるとされまして、浄真寺さんの言葉によると「他人を思って生きた人は」上ランクの「上品(じょうぼん)」、「自分のことだけでいっぱいだった人」は中ランクの「中品(ちゅうぼん)」、「悪いことをしちゃった人」は下ランクの「下品(げぼん)」というランク分けになるそうです(細かく言うといろいろありますが、大まかな話)。
それでも、悪いことした人でも最終的には極楽へ行くことができるというわけですね。
さらに、上品、中品、下品の3分類が「上生(じょうしょう)」「中生(ちゅうじょう)」「下生(げしょう)」の小分類に分かれるので、3×3で9種類のランクがある。これを「九品(くほん)」といいます。
この九種類に対応した阿弥陀さんを全部並べて祀るのが九品仏なんですけど、全国的にもめずらしいです。
平安時代の作例が唯一、京都府の浄瑠璃寺にあります。あとは長野の蓮台寺、そして東京の浄真寺くらいでしょうか。ほかにあったら教えてください。

上品堂の阿弥陀3体は阿弥陀定印
浄真寺の場合は、印相(手のポーズ)で上中下の分類を示していて、
写真のとおり上品では阿弥陀定印(腹前で手を組む)、中品では説法印(胸前でポーズ)、下品では来迎印(右手を上げ左手は膝)を結んでいます。

中品堂の阿弥陀3体は説法印
さらに、上生中生下生の区別は、人差し指、中指、薬指で示しています。
ただ、お寺や文献によっていろいろあるので、あくまでも浄真寺での例です。
指や印相で区別するようになったのは、江戸時代からと聞いていますので、そんなに細かくこだわらなくていいと思います。

下品堂の阿弥陀3体は来迎印。こうした組み合わせは浄真寺オリジナル
なにしろ、たとえば今の自分が下の中くらいかなと思ったら、その上をめざして「がんばります~」的な拝み方をするとよいんじゃないでしょうか。
浄真寺は本堂に入ると釈迦如来がいます。その横には、仏像ファンにはお馴染みの「アフロ仏」五劫思惟阿弥陀もいますよ。都内ではめずらしいですよね。

みんな大好き、アフロ仏!
さて、この九品仏さんたち、ここ数年ずっと修理中です。中品堂は金ぴかになって戻ってきています。
下品、上品堂の仏像は昔のまま。マットな風合いの金色で、渋い金泥塗の感じもしましたが、じつはなんと!
「ラッカースプレーで塗っちゃった」んですって! 昭和半ばにお寺の名物坊さん(住職ではない)が独断でやっちゃったのだとか。
修復では、それを剥がし取るのがまず大変なんだそうです。
まだまだ修理は長く続きます。浄財を募っているので、阿弥陀さんをスッキリさせたい人はお寺へどうぞ。
それで、この日のお仕事は、仏像をご案内したあと、ランチはワタクシ宮澤やすみプロデュースの「仏像フレンチ」。
いや~今回これが楽しみだったんですよね!(お寺の方スミマセン)
フランスも「仏」って書きますからね、仏×仏の企画で、ときどきやっているものです。
九品仏をイメージしたオリジナルメニューをいただきましたが、これがもう、シェフの本気度がうかがえる、感動的なものでした!
そのもようは次回ご紹介!
---おしらせ---
本コラム著者・宮澤やすみ出演の活動写真
【最古の『忠臣蔵』特別上映会】
12月14日(金)18:45開場 19:15開演
京橋・国立映画アーカイブ 長瀬記念ホール OZU
何度も映画化されてきた『忠臣蔵』。
その現存最古版(明治43年作品)を特別上映します。
弁士の語りと、楽士たちの生演奏付きでご鑑賞ください。
「赤穂浪士討ち入りの日」にふさわしいイベントです。
(13:00には弁士楽士がいない音無し上映があります)
出演:
映楽四重奏(弁士:片岡一郎、三味線:宮澤やすみ、ピアノ:上屋安由美、太鼓:田中まさよし)
詳細は↓
http://www.nfaj.go.jp/exhibition/chushingura2018/
九品(くほん)仏というのは、阿弥陀如来の9つのラインナップ「九体(くたい)阿弥陀」のことです。

撮影許可いただき、下品(げぼん)堂の阿弥陀3体と
阿弥陀如来は、極楽往生するときに救われ方にランクがあるとされまして、浄真寺さんの言葉によると「他人を思って生きた人は」上ランクの「上品(じょうぼん)」、「自分のことだけでいっぱいだった人」は中ランクの「中品(ちゅうぼん)」、「悪いことをしちゃった人」は下ランクの「下品(げぼん)」というランク分けになるそうです(細かく言うといろいろありますが、大まかな話)。
それでも、悪いことした人でも最終的には極楽へ行くことができるというわけですね。
さらに、上品、中品、下品の3分類が「上生(じょうしょう)」「中生(ちゅうじょう)」「下生(げしょう)」の小分類に分かれるので、3×3で9種類のランクがある。これを「九品(くほん)」といいます。
この九種類に対応した阿弥陀さんを全部並べて祀るのが九品仏なんですけど、全国的にもめずらしいです。
平安時代の作例が唯一、京都府の浄瑠璃寺にあります。あとは長野の蓮台寺、そして東京の浄真寺くらいでしょうか。ほかにあったら教えてください。

上品堂の阿弥陀3体は阿弥陀定印
浄真寺の場合は、印相(手のポーズ)で上中下の分類を示していて、
写真のとおり上品では阿弥陀定印(腹前で手を組む)、中品では説法印(胸前でポーズ)、下品では来迎印(右手を上げ左手は膝)を結んでいます。

中品堂の阿弥陀3体は説法印
さらに、上生中生下生の区別は、人差し指、中指、薬指で示しています。
ただ、お寺や文献によっていろいろあるので、あくまでも浄真寺での例です。
指や印相で区別するようになったのは、江戸時代からと聞いていますので、そんなに細かくこだわらなくていいと思います。

下品堂の阿弥陀3体は来迎印。こうした組み合わせは浄真寺オリジナル
なにしろ、たとえば今の自分が下の中くらいかなと思ったら、その上をめざして「がんばります~」的な拝み方をするとよいんじゃないでしょうか。
浄真寺は本堂に入ると釈迦如来がいます。その横には、仏像ファンにはお馴染みの「アフロ仏」五劫思惟阿弥陀もいますよ。都内ではめずらしいですよね。

みんな大好き、アフロ仏!
さて、この九品仏さんたち、ここ数年ずっと修理中です。中品堂は金ぴかになって戻ってきています。
下品、上品堂の仏像は昔のまま。マットな風合いの金色で、渋い金泥塗の感じもしましたが、じつはなんと!
「ラッカースプレーで塗っちゃった」んですって! 昭和半ばにお寺の名物坊さん(住職ではない)が独断でやっちゃったのだとか。
修復では、それを剥がし取るのがまず大変なんだそうです。
まだまだ修理は長く続きます。浄財を募っているので、阿弥陀さんをスッキリさせたい人はお寺へどうぞ。
それで、この日のお仕事は、仏像をご案内したあと、ランチはワタクシ宮澤やすみプロデュースの「仏像フレンチ」。
いや~今回これが楽しみだったんですよね!(お寺の方スミマセン)
フランスも「仏」って書きますからね、仏×仏の企画で、ときどきやっているものです。
九品仏をイメージしたオリジナルメニューをいただきましたが、これがもう、シェフの本気度がうかがえる、感動的なものでした!
そのもようは次回ご紹介!
---おしらせ---
本コラム著者・宮澤やすみ出演の活動写真
【最古の『忠臣蔵』特別上映会】
12月14日(金)18:45開場 19:15開演
京橋・国立映画アーカイブ 長瀬記念ホール OZU
何度も映画化されてきた『忠臣蔵』。
その現存最古版(明治43年作品)を特別上映します。
弁士の語りと、楽士たちの生演奏付きでご鑑賞ください。
「赤穂浪士討ち入りの日」にふさわしいイベントです。
(13:00には弁士楽士がいない音無し上映があります)
出演:
映楽四重奏(弁士:片岡一郎、三味線:宮澤やすみ、ピアノ:上屋安由美、太鼓:田中まさよし)
詳細は↓
http://www.nfaj.go.jp/exhibition/chushingura2018/