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百済観音が東京にやってくる

”宝冠がぴったりだったおかげで物語が収束する、まさしく「シンデレラフィット」ですね。「シンデレラ観音」と言ってもいいんじゃないでしょうか--”
神仏研究家・音楽家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。

こんにちは。この原稿執筆中に50回目の誕生日を迎えまして、なんにも成長してないな、むしろどんどん子供になってるなと反省しきりの宮澤やすみです。もう少し生きてみたいと思います。

さて、先日は東京国立博物館の特別展「法隆寺金堂壁画と百済観音」の記者発表会に行ってきました。
2020年3月の開催です。
まず仏像ファンなら、百済観音の東京お出まし。大注目かと思います。


「法隆寺金堂壁画と百済観音」ポスター画像

前回出展されたのが1997年。じつに23年ぶりの「東京出張」。久しぶりですね。

百済観音さんは、謎が多い仏像です。

法隆寺にいつから安置されていたのか不明。江戸時代の文献で記述が見えるも、「虚空蔵菩薩」との表記で、そのころは観音菩薩とは思われてなかったんですね。
で、事態が動くのはやっぱり明治でして、調査が入った結果、この像にぴったりの宝冠が見つかった。その宝冠に阿弥陀の化仏が彫られていたことから、この像はじつは観音菩薩となったそうです。
「百済観音」の異名が付けられたのは大正ごろで、その名前が広まったのは戦後のこと。
わりと最近なんですよね。

それにしても、宝冠がぴったりだったおかげで物語が収束する、まさしく「シンデレラフィット」ですね。
「シンデレラ観音」と言ってもいいんじゃないでしょうか。

このシンデレラさん、よそから法隆寺に来た「客仏」として金堂の片隅にいたのですが、観音という正体が分かったのを皮切りに人気も高まり、今では法隆寺境内、百済観音堂の主役としてさらに信仰を集めています。


東京国立博物館・保存修復室長の瀬谷愛さんによる概要説明

この美しさが世界に及んだのが、1997年。
「フランスにおける日本年」を記念して、パリのルーブル美術館に展示。
百済観音さん、ついにフランス人をも魅了するセレブ仏になりました。この点もまさにシンデレラ仏でしょう。
(このあと帰国展として東京国立博物館で展示)

わたくし的にも、ちょうど先日、イスム「仏像ライブ」にて、ぼくのバンドで百済観音のイメージソングを歌ったばかりですし、これ以上ないタイミングなのであります。

2020年3月、実際にお目にかかるのが楽しみです。
できれば自分の百済観音ソングをどこかで歌いたいものです。誰か使ってもらえませんですかね。

そしてもうひとつ展示のメインが、金堂壁画。
ご存知のとおり、飛鳥時代の壁画は昭和24年の火災で焼損。これが文化財保護法制定のきっかけとなり、以降、文化財の保護のためにいろんな人たちがご尽力されたのでした。

いっぽうで、焼損前に当時の一流画家により精巧な模写や、大掛かりなガラス甲板の写真が残されていたおかげで、私たちは焼損前の壁画のようすを偲ぶことができます。
今回は、この模写などが一挙に展示されて、古代の美を体感し、文化財保護についても考えさせられる展示になっています。

特別展「法隆寺金堂壁画と百済観音」
東京国立博物館 本館 特別4室・特別5室
2020年3月13日(金)~5月10日(日)
https://horyujikondo2020.jp/

---おしらせ---

本稿の筆者・宮澤やすみ出演

【50年に一度の”ご開帳”
宮澤やすみ 69生誕祭】
11/9(土) 18:00開演(17:30開場)
目黒・SLOPEにて
出演:
宮澤やすみ and The Buttz(仏像バンド)
The 69 JAZZ CLUB(宮澤やすみジャズバンド)
ザ・ショウワーズ(1969=昭和44年を歌う)

神仏研究家・音楽家の宮澤やすみ生誕50周年
また、ロック全盛期1969年から50周年を記念して
仏像+音楽のイベントを開催。
江戸の裏鬼門・目黒の貴重な秘仏など特別拝観も(要予約)

詳細はHP
 http://yasumimiyazawa.com/buttz/69.html