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古井戸と石清水八幡宮の関係 奈良・大安寺の旅その2

”お坊さんが神社を建てるという……「ちょっと何言ってんだかわかんない」という、サンドイッチマン富沢さんのボケが聞こえてくるようです。そういうわけのわかんないことが、平安時代にはふつうだったのですね--”
神仏研究家・音楽家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。

こんにちは。この原稿が出るころには秋の小唄出演を終えてぐったりしているころと思います宮澤やすみです。しかしこのあと自身の生誕祭「69生誕祭」を控えまだまだ気が抜けません。ぜんぶ終わったら腑抜けになるけどね。

そんな中、前回記事での大安寺つづきです。

飛鳥から奈良・平城京へ移転し発展した大安寺。

しかし時代は京都・平安京の時代へ。そこで大安寺にまつわる動きがありました。


大安寺のご本尊・十一面観音菩薩。10月~11月ご開帳。写真提供:大安寺

平安京は、風水の知識をフル動員して、寺社を配置したという話、よく言われますよね。
有名なのは、鬼門の方位(東北)に比叡山延暦寺があるということ。
では反対の裏鬼門(西南)は何があるのかというと、石清水八幡宮がそれに当たります。

この石清水八幡宮を創建したのが、じつは奈良・大安寺のお坊さんなんですよね。

場所も京都と奈良でちがうし、坊さんが神社を建てるという……

「ちょっと何言ってんだかわかんない」という、サンドイッチマン富沢さんのボケが聞こえてくるようです。

そういうわけのわかんないことが、平安時代にはふつうだったのですね。


京都の石清水八幡宮。創建のきっかけは大安寺の僧・行教

平安時代のはじめごろ、弘法大師・空海さんが真言密教を伝えると、大安寺でも早くから密教修業がさかんに。そのなかで名が知られるのが行教というお坊さんでした。

密教の修法で天皇の護持を祈る任務のため、向かったのが大分の宇佐神宮でした。

じつは、宇佐神宮(宇佐八幡)は、奈良時代に大仏造りを助けたことで皇室から信頼され、いち早く神仏習合を導入した神社です。
神社の境内に立派な神宮寺があり、お坊さんが最新の仏教を勉強していました。

宇佐は、奈良から瀬戸内海で一直線だし、海外の玄関口である太宰府や博多も近い。そんな位置関係もあって、古代日本の重要な拠点だったんです。

ここで勉強した行教さん、あるとき八幡神のお告げ(託宣)を聞いたそうです。それが、「平安京の南、男山に降りて都を護るぞよ」というようなお言葉だったそう。

それを聞いた行教さんの尽力で、石清水八幡宮が出来た、というのが一般的なエピソードです。

そして、今回の旅で訪れた大安寺。にも行教と八幡宮のエピソードが伝わっています。
お寺の人の話では、境内の岩から霊泉が湧き、そこに八幡神を祀って修行をした。じつはこれが「石清水八幡宮」の由来なのだとおっしゃいます。
これは大安寺だけに伝わる伝承です。
そして、その井戸が現在も存在するというのです。現在の大安寺境内すぐとなりの場所。これは行ってみないと!
ということで、教えられた場所に行ってみると、こんな感じでした。


大安寺の隣にある御霊神社。は、入りづらい……

いやこれ……、だいじょうぶなんですかね…。
御霊神社が鎮座して、この鬱蒼とした木々。御霊って、おそろしい怨霊のことですよ。これ「入ってはならぬ」と言っているようなもんでしょ……
あまりオカルト系は信用しない筆者ですけど、これはさすがに恐怖を感じました。

お寺の管理のおじさんが、あまりにも軽い調子で「ついでに行ってみたらいい」とおっしゃってたんですが、これは入りづらい。

しかし、好奇心に負けて、手にした水で口をゆすいで、意を決して入ってみました。すると、こういう井戸がありました。


石清水八幡宮の発祥につながるといわれる井戸

現在はコンクリートで囲われて、そんなに風情はありませんね。すぐ横には小さな池という沼があって、そちらはおどろおどろしい雰囲気ではありました。


井戸のとなりの暗がりに池が。龍神でも出てきそうな雰囲気

行教さんは、ここに庵かなんか建てて、修行していたのでしょうか。

木立と御霊神社のために陰湿で暗い様相でしたが、逆に神社を置くことでこの区域によそ者が入ることなく保全されてきたわけです。そう考えると、行教と井戸のエピソードも信ぴょう性があるかもしれませんね。

そして、大安寺の南にあるのが、「元岩清水八幡宮」です。この一帯も元々は大安寺の境内であり、かつて大塔が建っていたあたりに位置しています。
立派な神社で、参道に沿うように樹木が茂って、鎮守の森という形をなしていました。


大安寺の門を見て振り返るとこういう風景になっている

お寺と神社、とくに八幡宮は、神仏習合なしには考えられない、とても興味深い神社です。


現在の元岩清水八幡宮

くわしくは、ぼくの近著『仏像の光と闇』(水王舎)をお読みいただけたら幸いです。

---おしらせ---

本稿の筆者・宮澤やすみ出演

【50年に一度の”ご開帳”
宮澤やすみ 69生誕祭】
11/9(土) 18:00開演(17:30開場)
目黒・SLOPEにて
出演:
宮澤やすみ and The Buttz(仏像バンド)
The 69 JAZZ CLUB(宮澤やすみジャズバンド)
ザ・ショウワーズ(1969=昭和44年を歌う)

神仏研究家・音楽家の宮澤やすみ生誕50周年
また、ロック全盛期1969年から50周年を記念して
仏像+音楽のイベントを開催。
江戸の裏鬼門・目黒の貴重な秘仏など特別拝観も(要予約)

詳細はHP
http://yasumimiyazawa.com/buttz/69.html