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白蛇弁財天の聖地-東京から岩国へ
”弁才天(弁財天)の原形は川の神。そこに蛇のイメージが乗っかります。蛇行する川の形は蛇そのもの--”
神仏研究家・音楽家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。
こんにちは。ウイルス禍で演奏出番が皆無つまり無収入ですが、新アルバムの音は完成、CDと配信で発表を待つばかりの宮澤やすみです。出たらみなさん助けると思って買ってください。
そんな中、前回記事では、東京・中延の神社で、白蛇の信仰とお守りを紹介しました。神社ですけど仏教由来の弁財天信仰の話です。
巳の日限定で、山口県岩国市にいる天然記念物・本物のシロヘビの脱皮した皮を入れたお札を授与しています。
山口県の城下町・岩国は、古くからシロヘビが棲みつき、白蛇信仰が盛んな土地です。
現在はシロヘビの生態を紹介する「岩国シロヘビの館」があり、地元の有志が整備した白蛇神社もあります。
じつはわたくし、この岩国市の生まれでして、親戚から白蛇の話は聞いていました。生家の庭で白蛇がのそのそ動いているのを叔父が発見し、新聞に載ったこともありました。
日本三大奇矯のひとつ「錦帯橋」が岩国の誇り
東京の蛇窪神社(境内の厳島弁財天)も、岩国の白蛇神社も、ご祭神は厳島神社の弁財天を勧請したものです。
蛇の信仰は弁財天とつながる。
弁財天は、もともと「弁才天」と書き、インドの川の神サラスヴァティーが原型、つまり仏教世界のキャラクター(天部)です。
仏教の天部(守護神)が神社にいるわけなのですが、この理由をご説明すると、日本では、弁才天が「宇賀神」という蛇の姿をした日本の神と合体(習合)し、「宇賀弁財天」という特別な神仏習合キャラになったからです。
蛇と合体した弁才天=「宇賀弁財天」の例。宇賀弁財天の発祥とされる竹生島宝厳寺にて
ドラゴンボールだとサイヤ人が超サイヤ人にグレードアップしますが、弁才天の場合は”合体”することがポイントです。
私の世代ですと、ロボットヒーロー「電人ザボーガー」が別のマシンと合体して「ストロング・ザボーガー」になる話がよく知られていますけど、初めて宇賀弁財天を知ったときは「ああ、ザボーガーみたいなものか」と理解したものでした。
すみません話が脱線しました。
弁才天は、蛇体神と合体したことで、お寺にも神社にもいるという存在になった。
さらに、蛇体の宇賀神そのものを弁財天と呼んだり、蛇そのものが弁財天と同一視されたり、どんどん蛇イメージが色濃くなっていったようです。
日本で弁財天信仰の地は数多くありますが、蛇そのものを弁財天の化身として崇める地のひとつが、山口県の岩国市です。
岩国市の白蛇神社は、近隣の広島県・宮島の厳島弁財天のご祭神を勧請したそうですが、公式HPに白蛇信仰のことが載っていました。
引用すると、
”岩国藩の藩主である吉川家の米蔵を白蛇がネズミの害から守ってきたと信じられ、いつの頃からか弁財天(インドの水の神)と習合し、岩国市の各地に白蛇堂や祠が創られるに至りました”(岩国白蛇神社HPより引用)
弁才天(弁財天)の原形は川の神。そこに蛇のイメージが乗っかります。水辺には蛇が付きものだし、蛇行する川の形は蛇そのもの。
昔の人は、自然のようすと神のイメージを重ねて、膨らませてきたのでしょうか。
岩国城から見下ろした風景。蛇行する錦川がまさに蛇のよう
岩国の白蛇(苦手な人ごめんなさい)
お寺にも神社にも祀られた、神仏習合世界の権化・弁財天。
しかし、明治の神仏分離政策で、こういう存在は修正を余儀なくされ、神社では弁財天と同体とされる「市杵島姫(いちきしまひめ)命」という神の名だけが残されました。宗像大社の女神で、海上交通の神です。
だから、神社でご祭神が市杵島姫命の場合、もともと弁財天信仰の神社だったというケースがよくあります。
日本三大弁財天(竹生島、江ノ島、宮島)では、主祭神は市杵島姫命ですが、隣接するお寺やお堂で弁財天を祀っています。
(参考)
岩国白蛇神社
https://www.shirohebijinja.com/
岩国シロヘビの館
http://kankou.iwakuni-city.net/shirohebi-museum.html
神仏研究家・音楽家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。
こんにちは。ウイルス禍で演奏出番が皆無つまり無収入ですが、新アルバムの音は完成、CDと配信で発表を待つばかりの宮澤やすみです。出たらみなさん助けると思って買ってください。
そんな中、前回記事では、東京・中延の神社で、白蛇の信仰とお守りを紹介しました。神社ですけど仏教由来の弁財天信仰の話です。
巳の日限定で、山口県岩国市にいる天然記念物・本物のシロヘビの脱皮した皮を入れたお札を授与しています。
山口県の城下町・岩国は、古くからシロヘビが棲みつき、白蛇信仰が盛んな土地です。
現在はシロヘビの生態を紹介する「岩国シロヘビの館」があり、地元の有志が整備した白蛇神社もあります。
じつはわたくし、この岩国市の生まれでして、親戚から白蛇の話は聞いていました。生家の庭で白蛇がのそのそ動いているのを叔父が発見し、新聞に載ったこともありました。
日本三大奇矯のひとつ「錦帯橋」が岩国の誇り
東京の蛇窪神社(境内の厳島弁財天)も、岩国の白蛇神社も、ご祭神は厳島神社の弁財天を勧請したものです。
蛇の信仰は弁財天とつながる。
弁財天は、もともと「弁才天」と書き、インドの川の神サラスヴァティーが原型、つまり仏教世界のキャラクター(天部)です。
仏教の天部(守護神)が神社にいるわけなのですが、この理由をご説明すると、日本では、弁才天が「宇賀神」という蛇の姿をした日本の神と合体(習合)し、「宇賀弁財天」という特別な神仏習合キャラになったからです。
蛇と合体した弁才天=「宇賀弁財天」の例。宇賀弁財天の発祥とされる竹生島宝厳寺にて
ドラゴンボールだとサイヤ人が超サイヤ人にグレードアップしますが、弁才天の場合は”合体”することがポイントです。
私の世代ですと、ロボットヒーロー「電人ザボーガー」が別のマシンと合体して「ストロング・ザボーガー」になる話がよく知られていますけど、初めて宇賀弁財天を知ったときは「ああ、ザボーガーみたいなものか」と理解したものでした。
すみません話が脱線しました。
弁才天は、蛇体神と合体したことで、お寺にも神社にもいるという存在になった。
さらに、蛇体の宇賀神そのものを弁財天と呼んだり、蛇そのものが弁財天と同一視されたり、どんどん蛇イメージが色濃くなっていったようです。
日本で弁財天信仰の地は数多くありますが、蛇そのものを弁財天の化身として崇める地のひとつが、山口県の岩国市です。
岩国市の白蛇神社は、近隣の広島県・宮島の厳島弁財天のご祭神を勧請したそうですが、公式HPに白蛇信仰のことが載っていました。
引用すると、
”岩国藩の藩主である吉川家の米蔵を白蛇がネズミの害から守ってきたと信じられ、いつの頃からか弁財天(インドの水の神)と習合し、岩国市の各地に白蛇堂や祠が創られるに至りました”(岩国白蛇神社HPより引用)
弁才天(弁財天)の原形は川の神。そこに蛇のイメージが乗っかります。水辺には蛇が付きものだし、蛇行する川の形は蛇そのもの。
昔の人は、自然のようすと神のイメージを重ねて、膨らませてきたのでしょうか。
岩国城から見下ろした風景。蛇行する錦川がまさに蛇のよう
岩国の白蛇(苦手な人ごめんなさい)
お寺にも神社にも祀られた、神仏習合世界の権化・弁財天。
しかし、明治の神仏分離政策で、こういう存在は修正を余儀なくされ、神社では弁財天と同体とされる「市杵島姫(いちきしまひめ)命」という神の名だけが残されました。宗像大社の女神で、海上交通の神です。
だから、神社でご祭神が市杵島姫命の場合、もともと弁財天信仰の神社だったというケースがよくあります。
日本三大弁財天(竹生島、江ノ島、宮島)では、主祭神は市杵島姫命ですが、隣接するお寺やお堂で弁財天を祀っています。
(参考)
岩国白蛇神社
https://www.shirohebijinja.com/
岩国シロヘビの館
http://kankou.iwakuni-city.net/shirohebi-museum.html