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2021年に活躍してほしい牛頭天王

”牛頭天王はもともと疫病をはやらせる側の悪い神だったともいわれ……”
神仏研究家・音楽家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。

こんにちは。謹賀新年。プライベートでは喪中ですがこういう場では切り替えてお祝い申し上げます。
2021年令和3年もどうぞよろしくお願いします。

今年の干支は丑(ウシ)ということで、牛にまつわる仏像を思いますと、
真っ先に浮かぶのは牛頭天王じゃないでしょうか(ひとまずそういうことにしてください)。

基本的には、釈迦が初めて説法をした祇園精舎の守り神とされますが、実際はそれだけではない複雑な性格の存在です。
頭の上に牛が載っている姿で描かれて、鎧をつけて武器をもち、勇ましい天部の顔。


牛頭天王の画像

日本でよく知られるのは、京都・祇園の八坂神社のご本尊がコレだったんですよね。
そもそも「祇園」の地名が八坂神社の旧称「祇園社」からきているのです。寺院としては「感神院」ともいい、創建時は薬師如来や観音を祀るお寺でした。
でもやはり、祇園社感神院の中核をなす存在は牛頭天王だったようです。

この牛頭天王、役割としては疫病神をやっつける存在で、まさにコロナ時代に存分に活躍してほしいお方です。

ただ、信仰の歴史をみると不思議なものがあって、牛頭天王はもともと疫病をはやらせる側の悪い神だったともいわれるんですね。
災いをもたらす神だか霊だかを丁重にお祀りすることで、災いを除ける役目を担ってもらうという、逆説的な信仰の構造が、日本の信仰ではよく見られます。


陰陽道での星の神「天刑星」が、疫病神としての牛頭天王をパクパク食べている僻邪絵。これがいつの間にか牛頭天王本人が疫病を除くほうの神に変貌する

平安時代、疫病退散を願って牛頭天王をお祀りしたのが、夏の祇園祭の発祥です。


蘇民請来の護符も牛頭天王のエピソードからきている。くわしくは検索すれば出るので省略

昔だったら、疫病退散のための祭りを盛大にやって祈ったことでしょうが、現代では密になる祭りはできないですね。

いろんなことがやりづらい現代ですが、なんとか工夫していきたいもので、
個人的には、みなさんがおうちで楽しめるよう、仏像の本と、音楽CDを発表します。人前でしゃべったり歌ったりする仕事が無くなってしまった今、密にならない形の仕事でなんとかしのいでいる次第。なので皆様ぜひ買ってくださいませ(急に宣伝すみません)。


さて、昔は神仏習合があたりまえだった時代。荒々しい見た目の牛頭天王は次第に日本の荒ぶる神ともいえるスサノオと同一視されて、その本地仏(本体)は薬師如来であるという、三つ巴の構造ができました。
明治の神仏分離によって、祇園社感神院は「八坂神社」に改称し、ご祭神は素戔嗚尊とされています。


この連載でも紹介した東京・日枝神社にも八坂神社(祇園社)が鎮座している

それでは聴いてください。
ポーティスヘッドで、「カウボーイズ」。



●おしらせ
本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報

1.
Amazon 宮澤やすみ作品情報
音楽 https://amzn.to/3b4ASEl
著書 https://amzn.to/2JHhkuF

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本コラム筆者・宮澤やすみのYoutubeチャンネル更新中
先日のライブダイジェストなどご覧ください(松田聖子、細野晴臣のカバーなど)
https://youtube.com/playlist?list=PLydfLRmzF1a_1qvOa29qT0QjpwQ8xNU50


宮澤やすみ公式サイト:http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター:https://twitter.com/yasumi_m