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ウシとトラが一緒になる理由-「守り本尊」のナゾ

”結論からいうと、十二支じゃなくて別のものがベースになっているんですね。それは……”
神仏研究家・音楽家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。

こんにちは。毎月のソロライブ「ひとりワロス」を終えてほっとしている宮澤やすみです。

さて、前回の記事で、虚空蔵菩薩を紹介し、丑年生まれと寅年生まれの守り本尊であることも紹介しました。


虚空蔵菩薩(写真手前)を脇侍に安置する島根・仏谷寺(過去記事で紹介

そこで素朴なギモンなのですが、なぜ十二支の干支二つがひとつにまとめられちゃうの、という話。
おさらいすると、「守り本尊」は、十二支に八つの仏をあてがっていて、お寺のお守り授与所でよく見かけます。


十二支に応じた守り本尊。四隅の干支がペアにまとめられているのはなぜ?

これを見ると、四隅にあたる干支だけふたつペアになっているんですよね。
これがなぜなのかな~と、若いころから腑に落ちないでいました。

これ、結論からいうと、十二支じゃなくて別のものがベースになっているんですね。
それは、「九星」です。「九気」ともいいます。

九星は、ものすご~くおおまかに言うと、「星占い」のベースになる思想です。
中国由来の東洋占星術です。

「九星(九気)」は、古代中国で考え出された、この世の森羅万象を捉えるための考え方のひとつで、その原理は1~9の数字なんだそうです(亀の背中に書かれてたとか古代神話もありますが原理はこれ)。
1~9は、偶数(陰)と奇数(陽)に分かれ、その組み合わせで宇宙の摂理を捉えようとするらしいです。

全天を、中央と8方位の9つのエリア(宮)に分割し、地球(陰)と太陽(陽)の運行をこの9エリアに当てはめています。

もう、なにがなんだかわかんないと思いますが(笑)、なにしろ物事の状態が9種類あって、それを我々の運命とか方位の吉凶とかの判断に用いたのでした。
これが東洋占星術に用いられて「八卦」にも応用されました。
「こっちの方角は吉」とかいう、アレです。

だから、インド発の仏教とはぜんぜん別のところで、しかも遥かに古い時代に発祥した中国の世界観なんですけど、いつのまにか仏教と一緒に(もしくは仏教より先に)日本に取り入れられ、広まっていきました。とくに真言密教系のところは東洋占星術が色濃く影響しているらしいです。

というわけで、仏の「守り本尊」は九星が考えのベースにあって、だから「守り本尊」は8尊しかいないのでした。
でも、人の生まれ年は十二支で捉えるのが普通ですから(丑年と寅年2年まとめて同じ年なんてわけにいかないですもんね)、8尊の守護仏に十二支を当てはめた、ということになります。


外側から、十二支、九星、十二支を八方位にまとめた表記。吉野裕子『日本古代呪術 陰陽五行と日本古代信仰』(講談社学術文庫)より引用

守り本尊の発祥は不明ですが、江戸時代には浸透していたとのこと。

では、十二支はなんなんだ、って話になりますけど、これはこれで星が関わってきます。また次週。

それでは聞いてください。
セルジュ・ゲンスブールで「星からの悪い知らせ」




●おしらせ
本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報

1.
宮澤やすみソロアルバム
『SHAMISEN DYSTOPIA シャミセン・ディストピア』
2021年1月13日発売しました
購入は「やすみ直販」で
http://yasumimiyazawa.com/direct.html
(ネット決済のほか、銀行振込、郵便振替も対応)


2.
【ひとりワロス Vol.4】
新型コロナで出番を失った宮澤やすみの、気ままなソロライブを配信。
三味線で洋楽カバーに懐かしポップ。お江戸の小唄も。
※収録完了。いつでも見られます
https://youtu.be/5_ejEjit8g4



宮澤やすみ公式サイト:http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター:https://twitter.com/yasumi_m