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十二支の源流は木星にあり-守り本尊と十二神将

”十二神将の「十二」の由来は……”
神仏研究家・音楽家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。

こんにちは。アメリカから三味線演奏の仕事を受けて自宅で録音中の宮澤やすみです。
昨年末はイギリスから依頼あり、コロナのおかげで外出できずとも、オンラインで海外とつながるという、面白い時代になりました。

さて、前々回より、「なぜ十二支の守り本尊がなぜ八つしかないの」という話をしております。
これは、九星(九気)の関係があったということでした(前回記事)。


十二支に応じた守り本尊。四隅の干支がペアにまとめられているのはなぜ?

九星のメカニズムに十二支もとりこんで、古代中国の哲学がかたちづくられました(それらの基盤には陰陽五行がありますが、またこんど)。今でも東洋占星術や風水として活用されていて、もちろん仏像の世界にも色濃く影響しています。

では、十二支ついて、「そもそも」の話をいたしますと、これはこれでやっぱり星が関係しているのでした。
何千年も前の中国の人は、星を神と崇めていたのですが、なかでも不思議な天体運行をする大きな星を特別な存在としていました。
それが「木星」です。
惑星の中でもっとも大きく見える木星に神聖なものを感じていた古代中国の人々。その動きは太陽や月と逆向きで「西から東へ」運行するのだそうで、当時の人は木星と対称の運行をする「太歳」という星を考え出します。木星のゴーストというかパラレルワールドというか、そんな存在です。

この太歳の運行を、一年間にわたって12の区切りで把握し、一年の暦の手掛かりにしました。
それが十二支で、その意味するところは、万物の誕生から繁栄、死といったサイクルを把握するためのものでした。
参考にした本から引用しますと
”草木の種子が内部的胎動から発生・繁茂・成熟・伏蔵の順をたどり、その過程が十干・十二支によって示されている”
(吉野裕子『日本古代呪術 陰陽五行と日本原始信仰』(講談社学術文庫)より)

「十干」というのは、また別の暦システムで、「甲(きのえ)」「乙(きのと)」「丙(ひのえ)」「丁(ひのと)」など10の分類があります。陰陽五行思想をもっとも色濃く反映したシステムです。


甲冑を付けてポーズをとる十二神将。イスム(販売終了品)より

というわけで、十二支は東洋の暦の基幹となるものですが、最初は動物とか全然関係なかったんですよね。
次第にわかりやすくするため動物を当てがって庶民に広まっていったようです。
記録だと秦の時代、紀元前217年までには十二支に動物を当てていたことがわかっています。

さて、我々仏像ファンからすれば、12と言うと「十二神将」が思い出されますね。
薬師如来の眷属として、各地の薬師如来の周囲に安置されます。

各神将の頭の上に、十二支の動物を付ける姿が見られますが、それは平安時代になってからのことです。
日本でもっとも古い十二神将は、奈良の新薬師寺の像ですが、それには動物が付いていません。

十二神将の「十二」の由来は、薬師如来の十二の大願から来ています。
でもやっぱり、12とくれば十二支と関連して考えてしまいますよね。
12の方角や12の月の守護も期待されて、次第に頭の上に十二支の動物を乗っけるようになったのでした。


殺気みなぎる表情の十二神将・伐折羅(ばさら)大将。イスム TanaCOCORO[掌] 伐折羅より

十二神将は、もともとインドの悪鬼(夜叉)が薬師如来に帰依して守護神となったもの。
鬼の形相に甲冑を付けてポーズをとる姿がカッコいいし、ちょっとユーモラスなフィギュアにも見えてしまいます。
仏像バンド「The Buttz(ザ・ブッツ)」では、そんな十二神将をテーマにした曲を公開しています。

それでは聞いてください。
ザ・ブッツで「邪悪の守護神 Evil Guardians」



●おしらせ
本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報

1.
宮澤やすみソロアルバム
『SHAMISEN DYSTOPIA シャミセン・ディストピア』
2021年1月13日発売しました
購入は「やすみ直販」で
http://yasumimiyazawa.com/direct.html
(ネット決済のほか、銀行振込、郵便振替も対応)


2.
宮澤やすみ・レコ発配信ライブ
【和楽器と舞踊で80sミュージックと小唄の融合ライブ!】
2021年2月23日(火祝)16時からツイキャスにて配信。
https://ja.twitcasting.tv/yasumi_m/shopcart/52727



宮澤やすみ公式サイト:http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター:https://twitter.com/yasumi_m