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聖林寺十一面観音を理解するカギ:三輪山信仰とは

”ではなぜ、この神社に置かれた仏像が十一面観音だったのか、というギモンが……”
神仏研究家・音楽家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。

こんにちは。先日ソロライブ「ひとりワロス」を終え、ぐったりしている宮澤やすみです。
Youtubeで録画を見られるので、後からでもかいつまんでご覧ください(下記参照)。

さて、前回につづき「国宝 聖林寺十一面観音 ― 三輪山信仰のみほとけ」の話題です。

サブタイトルにあるように、「三輪山信仰」が、この観音像の謎を解くカギになります。

三輪山とは、奈良県桜井市にある山で、古代から聖山として信仰されている山です。
はるか昔、仏教流入以前から、三輪山一帯は天皇が政治を執る中心地でもあり、『古事記』『日本書紀』『万葉集』にはこの三輪山一帯での神話や、歴史エピソードがたくさん書かれています。


聖林寺からは、古代史の舞台・三輪山一帯がよく見える。春の仏像ツアーで撮影

たとえば、神話の時代の話だと、国造り真っ最中の大国主命がお告げを受けて三輪山に大物主神(じつは大国主命の和魂つまり同体とされるのですが)を祀るようになったという起源譚。のちに大国主命は出雲に祀られます。
天皇が治める時代の話だと、皇祖神である天照大神、もともと三輪山の天皇の宮殿に祀られていたのが、疫病流行をきっかけに新天地を求めて伊勢にたどり着いたという、伊勢神宮の起源の話も有名。

つまり、三輪山は、出雲大社と伊勢神宮の神が両方関わっている、日本の神信仰の総元締めみたいなところなんですね。

そこに、仏教の信仰と文化が入ってきます。まずは山を拝するための社殿ができました。
「神社は古くからあったのでは?」と思うかもしれませんが、じつは、神域に社殿を立てて「神社」の体裁をなしたのは、お寺の伽藍建築から影響されたものなんですね。我々がイメージする「神社」のかたちは、ここから始まったのでした。

三輪山をご神体として祀る大神神社(おおみわじんじゃ)は、本殿は存在せず、山がご神体。その前に拝殿が造られて、山の間に独特のかたちの三つ鳥居を置いて、山を拝むというスタイルになりました。いわば、古代祭祀と仏教以後の信仰スタイルが入り混じったかたちです。

ここからいよいよ十一面観音が登場します。
(以下、特別展の図録記事を参考にしています)


聖山に鳥居と十一面観音の組み合わせが、三輪山信仰の特徴。神仏習合のはじまりを物語る ※報道内覧会で許可を得て撮影

奈良時代くらいから、各地で神社を管理する寺(神宮寺)ができると、三輪山でも神社の境内に大神寺(おおみわでら)が建立。大神寺は鎌倉時代に大御輪寺と名称変更され、そこに十一面観音が安置されていたのは確かなのですが、いつからこの寺にあったのか不明です。
ただ、観音の造像は奈良時代で、大神寺建立の時代と重なり、当初から大神寺に安置されていたという説が有力です。

今回の展示では、お堂から発見された如来像の断片も見られます。脱活乾漆造りで、十一面観音より古い像と思われ、「これが本来の本尊か?」「いや十一面さんが本尊なのでは」と、まだ結論が出ていません。今回の特別展では、如来像は別のお堂にあり、十一面観音こそ本尊だったのではという論調です。


如来像の断片。※報道内覧会で許可を得て撮影

ではなぜ、この神社に置かれた仏像が十一面観音だったのか、というギモンが出てきます。

手掛かりは、三輪山信仰に、疫病退散の願いが関係していることにあるようです。

キーパーソンは、大直禰子(おおたたねこ)さん。

今回の特別展の公式キャラクターとして、「太田種子(おおた・たねこ)」さん(女性)が活躍してますけど、本来は男性で、「おおたた・ねこ」さんなんですね。
あだ名は「ネコちゃん!」とか呼ばれてかわいがられそうですが・・・まあ冗談はこれくらいにして、次回に続きます。



それでは聴いてください。
ザ・ブッツで「夕焼けの法華堂 La La La 仏像めぐり」
(すみませんしばらくの間この動画を繰り返しご紹介しています)



(展示概要)
特別展「国宝 聖林寺十一面観音 ― 三輪山信仰のみほとけ」
東京国立博物館 本館特別5室
2021年6月22日(火)~9月12日(日)
月曜休館 詳細・予約は:
https://tsumugu.yomiuri.co.jp/shorinji2020/
(当日券もありますが予約を薦めています)


(募集中)
聖林寺の観音堂(収蔵庫)改修のためのクラウドファンディング
https://readyfor.jp/projects/shorinji2021



(おしらせ)本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報

1.
ラジオ『吉田照美の森羅万SHOW』出演
7/3土~6火の各日時、各地の放送局にて(画像参照)


2.
宮澤やすみソロライブ「ひとりワロス」
懐かしポップのカバーと江戸の小唄を、ゆるりと
静かなライブで疲れを癒してください
録画を視聴する


3.
宮澤やすみソロアルバム発売中
『SHAMISEN DYSTOPIA シャミセン・ディストピア』
購入は「やすみ直販」で
http://yasumimiyazawa.com/direct.html
(ネット決済のほか、銀行振込、郵便振替も対応)



宮澤やすみ公式サイト:http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター:https://twitter.com/yasumi_m