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第251回 三軒茶屋の目青不動

”目玉に瞳が描かれないせいで、この世のものと思えない魔王、みたいな恐ろしい形相に……”
神仏研究家・音楽家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。

こんにちは。仕事やプライベートで積もり積もったストレスが臨界に達し、寝込んでしまいました宮澤やすみです。世間ではもっと大変な方がたくさんいらっしゃる中で不甲斐ないです。
ちなみに、先週誰からも「連載250回おめでとう」のメッセージが無かったことは、ストレスのうちに入らないと思いますけどまだ間に合います。


さて、前々回より東京世田谷、三宿の緑道を歩いております。
三宿神社、太子堂、と歩くと、三軒茶屋のにぎわいエリアに入ります。
都内は当時、まん延防止措置の頃で、都心から離れているせいかまるで別世界のように賑わっていました。


駅前の喧騒とは無縁の静かな境内。教学院不動堂

東急世田谷線三軒茶屋駅のすぐそばにあるのが教学院。ここにいるのが「目青不動」の名称で知られる不動明王です。
ご本尊は見られませんが、お前立がありなかなか立派なものです。照明が当たっていてわりとよく見えました(10年以上前に行ったときは真っ暗だった記憶が)。
寛永19年作の青銅製だそうで、威厳のあるたたずまいです。目玉に瞳が描かれないせいで、この世のものと思えない魔王、みたいな恐ろしい形相になっていて、なかなか素敵な忿怒相だと思います。


江戸時代の銅像不動明王。金網越しで暗い中はっきり見えないところがかえって不気味さを醸し出している。迫力がある形相

よく見ると、ちゃんと矜羯羅(こんがら)、制咤迦(せいたか)の2童子もいます。


両脇にかわいらしい二童子。肉眼だと見えにくいかも

両脇は閻魔大王と奪衣婆。このお堂はもともと閻魔堂で、そこに目青不動がやってきたのでした。

目青不動は麻布谷町にあった勧行寺(もしくは正善寺とも)の本尊でした。そこが廃寺になったため、明治15年に教学院に移されます。
教学院自体は、慶長9年(1604)には江戸城内紅葉山に創建されたそうですが、移転を繰り返し、明治41年にここ三軒茶屋に移転。


左奥の厨子に奪衣婆を安置

目青不動といっても、目が青いわけではありません。由来不明ですが、麻布青山にあったことから「目青」になったとの説があります。

江戸には、「江戸五色不動」と呼ばれる5体のお不動さんが点在しています。
地名や駅名にもなって有名な目黒不動、目白不動のほか、目赤、目黄、そしてここ目青といるわけです。

徳川家光が江戸守護のため不動明王を配するよう命じたとか、江戸五街道の守護としたとか諸説ありますが、じつは五色不動の発端は不明。
しかも目黄にいたっては「目黄はウチの寺」とおっしゃるお寺が3つもあって、まあわりとあいまいです。
個人的に調べた限りでは、「五色不動」のラインナップはどうやら後の時代にできたっぽい、という感触を得ています(明治という説も)。
それぞれに深い由緒がある不動尊を、古くからある目黒にちなんで目●とこじつけたみたいです。

でもまあ、こういう話題で真相をとことん追求するなんてのは野暮でございます。

江戸五色不動めぐりは、東京歴史散策として楽しめますから、大いに楽しんでお参りしたいところですね。コロナが収まったら行きましょうね。

ちなみに目黒、目白、目赤、目黄については拙著『東京仏像さんぽ』(明治書院)に書いてます。

それでは聴いてください。
中川家で「中川家ブルース~東海道新幹線~」





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[ネット視聴]
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2.
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宮澤やすみYoutubeチャンネル
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宮澤やすみ公式サイト:http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター:https://twitter.com/yasumi_m