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第271回 謎の古代文字?下関・彦島ペトログラフ探訪 その1

”謎の石に霊性を見出し怖れるという俗信が、彦島の人たちに根付いて--”
神仏研究家・音楽家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。

こんにちは。自宅時間が増えたのをいいことに、やっと映画「タイタニック」を見た宮澤やすみです。
長かった。けど面白かった。

さて、前回記事では下関・壇ノ浦を訪れました。
じつは、その前にちょっと謎のスポットに行ってきたのです。

下関から、壇ノ浦と反対方向のバスに乗って、彦島へ。
ここにあるのが、ナゾの線刻が刻まれた大きな石。

それが安置されているという、彦島八幡宮に向かいました。


下関(緑色部分)の先端に位置する彦島。つまり本州の突端にあたる

境内に、「彦島ペトログラフ」と呼ばれる謎の石があります。ペトログラフとは岩や大きな石に刻まれた幾何学的な彫刻のこと。正確には「ペトログリフ」らしいです。
それが何を意味するかは不明で、絵なのか文字なのかもわかりません。


彦島八幡宮”ペトログラフ”。昭和57年5月ここに安置された

神社が配布している「彦島八幡にペトログラフ」という資料をいただきました(WEBサイトにもあり)。
そこには、

「神功皇后サマリヤ王家出身説を裏付けの証明?」
「七枝樹文様中心にシュメール古拙文字刻む」

と、なかなか香ばしいというか、センセーショナルなタイトルが踊っています。
それによると、刻まれた線が、古代オリエントの神を表す古代シュメールの言葉だとし、彦島の民と古代シュメール系渡来部族の関係を力説、さらには古代天皇の出自解明も期待できるとしています。すごいですね。


調査時に線刻を際立たせた白ペンキが残る

真偽不明な「一説」ではあるんですけど、月刊『ムー』を楽しんでいた世代としては面白いですね。
歴史ミステリー系のテレビ番組で、あばれる君あたりが取り上げたらちょうどよさそうです。


案内板がわかりやすく掲げてある。”ペトログラフ”が彦島観光の起爆剤になるといいですね

しかし、神社さんが発行する配布物(手書きのコピーですが)ですから、なんだか急に説得力が増すようにも思えますね。『ムー』を読みなれた人なら、受け止め方の匙加減がわかるものですが、真に受けすぎて沼にハマってしまう方もいるんじゃないかと推察します。
※次週、下関市教育委員会の見解もご紹介します


彦島八幡宮の神門

ともかく、神社さんが伝えたいのは、彦島という地が古代世界において非常に重要な地であった、ということだと思います。


そして、ここからが本題なのですが、この石に対する地元の受け止め方が興味深いのです。

彦島にはこうした石が複数あるのですが、
「庭石に使ったところ不幸な出来事が続いた」
「海底を動く大きな石に神霊が付いている」
などと言われ、それらも神社に奉納され境内に置かれています。

先ほどのペトログラフの石も「祟り岩」と呼ばれたり、逆に「こっそりと願い事をすると叶えられる(彦島八幡宮WEBサイトより)」ともいわれていたり、いわく付きの石です。

神社では、ペトログラフのご朱印も頒布されていて、つまりこの石が一種の神霊石として信仰の対象になっているのでした。


ふだんご朱印はいただかないワタクシも思わず授与していただいたご朱印。「磐座(いわくら:神が降りる石)」とあるように、ペトログリフを神聖視していることがわかる

つまり、古代シュメールがどうこうという件はともかく、謎の石に霊性を見出し怖れるという俗信が、彦島の人たちに根付いているわけです。

絵とも文字ともつかない不思議な線が刻まれた大きな石。そこになんらかの超自然的な「意志」を、昔の人は感じたのでしょう。


謎めく町・彦島を歩くと、横尾忠則が絵に描きそうな「Y字路」が。これも何かの導きか(笑)

ますます興味を持ったわたくし、事前に調べていた下関市指定文化財の「彦島杉田岩刻画」について神社の方に尋ねると、バスを乗り継いで丘の上(杉田丘陵)にあるとのこと。
こちらにも行ってきましたが、そこで見たものは……!?
石への怖れがもたらしたものとは……?


次週につづきます。

この滞在は、活動写真弁士・片岡一郎さんの九州公演ツアーに、三味線奏者として同行したものでした。熊本に続いて、小倉市内の伝統ある映画館・小倉昭和館さんにて、サイレント映画を片岡氏の活弁と私の生演奏で上演しました。


終演後。昭和館のノスタルジックな美しさがいいです


それでは聴いてください。
レインボーで「バビロンの城門」。



参考
彦島八幡宮公式サイト
https://hikoshima-guu.net/



---おしらせ---

(おしらせ)本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報

1.
(オンライン配信あり)
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観賞用仏像「イスム仏像」のプロデューサーをお招きして、
仏像の「造る」「見る」「拝む」を語る仏像トーク。遠方の方はオンラインで。
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2.
日本書紀を歌った新作MV「欣喜雀躍」宮澤やすみ アンド・ザ・ブッツ


宮澤やすみYoutubeチャンネル
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3.
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宮澤やすみ公式サイト:http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター:https://twitter.com/yasumi_m