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第308回 諏訪大社ゆかりの仏像一斉公開「諏訪神仏プロジェクト」
”「あゝこれを理解するには仏様のことを知らなければだめだ」と--”
音楽家で神仏研究家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。
こんにちは。大河ドラマ「鎌倉殿の13人」にすっかりハマっている宮澤やすみです。和田殿、実朝公、つらかったですね……。
そんな中、長野県の諏訪湖一帯で興味ぶかい仏像プロジェクトが始まっています。
それが「諏訪神仏プロジェクト」。
諏訪大社上社の本地仏・普賢菩薩坐像。写真提供:仏法紹隆寺
正式には、
諏訪信仰と仏たち 諏訪寺院由来仏像一斉公開
という事業です。
すばらしい。
諏訪大社ゆかりの仏像を一斉公開するというもので、
日ごろから神仏習合のことばっかり書いているこの「仏像ブツブツ」連載にぴったりの話題ではないですか。
(神仏習合以外のこともかなり書いてますけどね。先週は岡本太郎だし)
勇壮な奇祭「御柱祭り」で知られるように、諏訪の地では日本の国が形作られるずっと以前から信仰があったとされます。
それが諏訪神社として形になり、現在の四座ある諏訪大社につながります。
時代に沿って諏訪の信仰も変化していき、平安時代には神仏習合が進みました。
日本神話に登場するタケミナカタの神からつづく諏訪の信仰に仏教が習合する-写真提供:仏法紹隆寺
諏訪大社でも神社を管理するためのお寺(神宮寺)が建てられ、神社の神の本体(本地仏)、つまり仏像が祀られました。
この連載で何度も書いている話ですが、神仏習合は日本古来の神と仏教の仏を同一にとらえる思想で、奈良時代くらいから江戸時代の終わりまで続きました。
織田信長の嫡男・信忠による諏訪大社焼討で仏像が焼失。1593年に菩薩像を再造像。象だけは1292年作のものが残っている-写真提供:仏法紹隆寺
古代から近代まで、日本の歴史(文字で記される時代)が展開する時代がそのまんま神仏習合の時代ですから、これを抜きに日本の有り様を捉えることはできないでしょう。
「諏訪神仏プロジェクト」実行委員会の原直正会長も、公式サイトの「ごあいさつ」で、
”諏訪神社の信仰に興味を持ち、その意味をあれやこれやと考えていたある時、「あゝこれを理解するには仏様のことを知らなければだめだ」と気が付きました”
と綴られています。
ですよねですよね、そーですよね。
仏像ファンは神社に、神社ファンは仏像(寺院)に興味をもってもらう良い機会かと思います。
普賢菩薩と並んで祀られていた文殊菩薩。菩薩なのに如来形の姿になっているのが珍しい-写真提供:仏法紹隆寺
さて、諏訪大社の本地仏とは、どんな仏でしょうか?
四座ある諏訪大社は、大きく分けて上社と下社にわかれます。
上社の本地仏は普賢菩薩、
下社の本地仏は千手観音
とのことです(なぜ普賢と観音なのかは後日あらためて)。
今回はその両方の仏像はもちろん、ほかにも諏訪大社ゆかりの仏像群を全25の寺社+諏訪市博物館で拝観できます。
期間は2022年の10月1日から11月27日まで。
はい、もう始まってるんですね。
10月は音楽の仕事でいっぱいいっぱいなので、やっとこちらに目を向けることができました。
普賢菩薩の胎内に収められていた像「普賢菩薩騎象像」。画面左側を向いているのがわかるだろうか。頭巾のように見える冠と合掌手が見える。ずんぐりした象がかわいらしい-写真提供:仏法紹隆寺
日によって空いてない時もあるので、公式サイトを確認して、お出かけしてみてください。
都内からなら日帰りもぜんぜん可能なので、小旅行がてら秋の諏訪を探訪するのはいかが。
JRの駅でいうと上諏訪と下諏訪が拠点になります。
上諏訪と下諏訪では温泉の成分も異なると聞きました。仏像もいいけど温泉もいい。特急あずさにも乗れて鉄道も良し。個人的には至福の旅になりそう。
そして全国旅行支援キャンペーンもあるという(現在は再開が待たれる状態だけど)。
晩秋の諏訪でゆっくり過ごしたいものですね。
私の場合、あんなに音楽仕事で忙しかった10月が終わると、11月はぱったり出番ナシ。
これはこれで心配ですが、きっと諏訪神仏プロジェクトのために時間が空いたのだと思って、神仏と古代史の世界に浸りたいと思います。
そして、訪問の様子をまたこの連載で書いていきますね。
それでは聴いてください。
ヘレン・メリルで「スワンダフル('S Wonderful)」。
(参考)
諏訪神仏プロジェクト
https://suwa-tabi.jp/suwa-shinbutsupj/
参加寺社マップ、諏訪信仰の歴史など有用な情報がまとまっています
---おしらせ---
本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報
1.
古代史を歌った新作アルバム『時の水辺』。
ご購入いただけると活動存続の助けになります。応援よろしくお願いいたします。
プレーヤー不要。スマホですぐ聴けるQRコード付きブックレットです(CDも付いてます)。
詳細のご紹介は
↓↓↓
http://yasumimiyazawa.com/buttz/tokinomizube.html
雅楽の笙や篳篥も入った独特のサウンドで、「聴いたことないけど、どこか懐かしい」大人むけのロックです
2.
とても静かな小唄の動画を上げました
宮澤やすみYoutubeチャンネル
https://www.youtube.com/c/YasumiMiyazawa/
宮澤やすみ公式サイト:http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター:https://twitter.com/yasumi_m
音楽家で神仏研究家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。
こんにちは。大河ドラマ「鎌倉殿の13人」にすっかりハマっている宮澤やすみです。和田殿、実朝公、つらかったですね……。
そんな中、長野県の諏訪湖一帯で興味ぶかい仏像プロジェクトが始まっています。
それが「諏訪神仏プロジェクト」。
諏訪大社上社の本地仏・普賢菩薩坐像。写真提供:仏法紹隆寺
正式には、
諏訪信仰と仏たち 諏訪寺院由来仏像一斉公開
という事業です。
すばらしい。
諏訪大社ゆかりの仏像を一斉公開するというもので、
日ごろから神仏習合のことばっかり書いているこの「仏像ブツブツ」連載にぴったりの話題ではないですか。
(神仏習合以外のこともかなり書いてますけどね。先週は岡本太郎だし)
勇壮な奇祭「御柱祭り」で知られるように、諏訪の地では日本の国が形作られるずっと以前から信仰があったとされます。
それが諏訪神社として形になり、現在の四座ある諏訪大社につながります。
時代に沿って諏訪の信仰も変化していき、平安時代には神仏習合が進みました。
日本神話に登場するタケミナカタの神からつづく諏訪の信仰に仏教が習合する-写真提供:仏法紹隆寺
諏訪大社でも神社を管理するためのお寺(神宮寺)が建てられ、神社の神の本体(本地仏)、つまり仏像が祀られました。
この連載で何度も書いている話ですが、神仏習合は日本古来の神と仏教の仏を同一にとらえる思想で、奈良時代くらいから江戸時代の終わりまで続きました。
織田信長の嫡男・信忠による諏訪大社焼討で仏像が焼失。1593年に菩薩像を再造像。象だけは1292年作のものが残っている-写真提供:仏法紹隆寺
古代から近代まで、日本の歴史(文字で記される時代)が展開する時代がそのまんま神仏習合の時代ですから、これを抜きに日本の有り様を捉えることはできないでしょう。
「諏訪神仏プロジェクト」実行委員会の原直正会長も、公式サイトの「ごあいさつ」で、
”諏訪神社の信仰に興味を持ち、その意味をあれやこれやと考えていたある時、「あゝこれを理解するには仏様のことを知らなければだめだ」と気が付きました”
と綴られています。
ですよねですよね、そーですよね。
仏像ファンは神社に、神社ファンは仏像(寺院)に興味をもってもらう良い機会かと思います。
普賢菩薩と並んで祀られていた文殊菩薩。菩薩なのに如来形の姿になっているのが珍しい-写真提供:仏法紹隆寺
さて、諏訪大社の本地仏とは、どんな仏でしょうか?
四座ある諏訪大社は、大きく分けて上社と下社にわかれます。
上社の本地仏は普賢菩薩、
下社の本地仏は千手観音
とのことです(なぜ普賢と観音なのかは後日あらためて)。
今回はその両方の仏像はもちろん、ほかにも諏訪大社ゆかりの仏像群を全25の寺社+諏訪市博物館で拝観できます。
期間は2022年の10月1日から11月27日まで。
はい、もう始まってるんですね。
10月は音楽の仕事でいっぱいいっぱいなので、やっとこちらに目を向けることができました。
普賢菩薩の胎内に収められていた像「普賢菩薩騎象像」。画面左側を向いているのがわかるだろうか。頭巾のように見える冠と合掌手が見える。ずんぐりした象がかわいらしい-写真提供:仏法紹隆寺
日によって空いてない時もあるので、公式サイトを確認して、お出かけしてみてください。
都内からなら日帰りもぜんぜん可能なので、小旅行がてら秋の諏訪を探訪するのはいかが。
JRの駅でいうと上諏訪と下諏訪が拠点になります。
上諏訪と下諏訪では温泉の成分も異なると聞きました。仏像もいいけど温泉もいい。特急あずさにも乗れて鉄道も良し。個人的には至福の旅になりそう。
そして全国旅行支援キャンペーンもあるという(現在は再開が待たれる状態だけど)。
晩秋の諏訪でゆっくり過ごしたいものですね。
私の場合、あんなに音楽仕事で忙しかった10月が終わると、11月はぱったり出番ナシ。
これはこれで心配ですが、きっと諏訪神仏プロジェクトのために時間が空いたのだと思って、神仏と古代史の世界に浸りたいと思います。
そして、訪問の様子をまたこの連載で書いていきますね。
それでは聴いてください。
ヘレン・メリルで「スワンダフル('S Wonderful)」。
(参考)
諏訪神仏プロジェクト
https://suwa-tabi.jp/suwa-shinbutsupj/
参加寺社マップ、諏訪信仰の歴史など有用な情報がまとまっています
---おしらせ---
本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報
1.
古代史を歌った新作アルバム『時の水辺』。
ご購入いただけると活動存続の助けになります。応援よろしくお願いいたします。
プレーヤー不要。スマホですぐ聴けるQRコード付きブックレットです(CDも付いてます)。
詳細のご紹介は
↓↓↓
http://yasumimiyazawa.com/buttz/tokinomizube.html
雅楽の笙や篳篥も入った独特のサウンドで、「聴いたことないけど、どこか懐かしい」大人むけのロックです
2.
とても静かな小唄の動画を上げました
宮澤やすみYoutubeチャンネル
https://www.youtube.com/c/YasumiMiyazawa/
宮澤やすみ公式サイト:http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター:https://twitter.com/yasumi_m