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第354回 ”不動明王”がローマにいた?「永遠の都 ローマ展」
”不動明王のモデルがカラカラ帝だという説も、アリなのではないか?--”
音楽家で神仏研究家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。
こんにちは。三味線のイベントを終えてほっとしている宮澤やすみです。休む間もないまま別件のリハーサルもこなしました。
そんな中、秋は美術展ラッシュ。東京都美術館「永遠の都 ローマ展」を取材してきました。
写真は報道内覧会で許可を得て撮影したものです。

右の人と比べれば大きさがわかる。コンスタンティヌス帝の巨像断片
大仏レベルに巨大な皇帝像や、「カピトリーノのヴィーナス」と呼ばれる女神像が展示の目玉になっています。
しかし、この連載を読んでいる全国仏像ファンのみなさんに、ぜひおすすめしたい彫像があるのです。

ルーヴル美術館のヴィーナス像と並び称される。《カピトリーノのヴィーナス》2世紀 大理石 カピトリーノ美術館蔵
それが、ローマ帝国の暴君として知られるカラカラ帝(Caracalla)です。
世界史の教科書に出てくる「カラカラ浴場」を作った人でもあります。

《カラカラ帝の肖像》212-17年 大理石 カピトリーノ美術館分館 モンテマルティーニ美術館蔵
ちなみに、対立した弟の名前が「ゲタ」というそうで、ゲタとカラカラ、まるで鬼太郎が歩いてくるようです。
それにしてもこのカラカラ帝のお顔、仏像ファンが見ればすぐ「不動明王」だと思ってしまいますよね。
不動明王の特徴である巻髪と弁髪。
カラカラ帝の天然パーマはまさしく不動明王のそれと一致。
また、カラカラ帝の場合、もみあげと髭がつながっていますが、これ不動明王が垂らす弁髪に見えないでしょうか。

もみあげの様子が不動明王の弁髪そっくり
時代でいうと、この彫像が作られたのが西暦212-217年とのことで、インドで密教が成立するのがもっと後の6世紀ですから、つまりこうした「巻髪+いかつい顔」シリーズでいうと、
不動明王よりもカラカラ帝が何百年も先なのです。
ローマとインド方面は文化の影響もあったことでしょうし、
不動明王のモデルがカラカラ帝だという説も、アリなのではないか…?

《アウグストゥスの肖像》1世紀初頭 ギリシア産大理石 カピトリーノ美術館蔵。日本では弥生時代、卑弥呼より200年前にこれだけの写実表現が完成していた
そんな大胆仮説を提示して、古い時代に思いを馳せるのも面白いのではないでしょうか。

中世ヨーロッパ好きの筆者としては、こうしたモザイク画に引き込まれました
それでは聴いてください。
KOJI1200(今田耕司)で「ナウ ロマンティック」
「永遠の都 ローマ展」
2023年9月16日(土)~12月10日(日)
東京都美術館
以降、福岡市美術館に巡回
詳細は↓
https://roma2023-24.jp/
---おしらせ---
本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報
1.
おかげさまで20周年
【小唄 in 神楽坂 2023】
宮澤やすみ一門総出で小唄の演奏会。
小唄ではめずらしい日本舞踊と鳴物が入って
にぎやかで特別な記念の会になります。
楽しい解説トークもあって、初めての人こそ
来てほしい、くつろぎの和のライブです。
お得な前売券購入はは宮澤やすみ事務所へ。
2023年10月29日(日)
14:30開場 15:00開演 16:20終演予定
東京・神楽坂毘沙門天1回書院
問合せ・お申込はEメールで
yasumikouta@yahoo.co.jp

2.
仏像や古代史を歌ったザ・ブッツの新作アルバム『時の水辺』。
ご購入いただけると活動存続の助けになります。応援よろしくお願いいたします。
プレーヤー不要。スマホですぐ聴けるQRコード付きブックレットです(CDも付いてます)。
詳細のご紹介は
↓↓↓
http://yasumimiyazawa.com/buttz/tokinomizube.html
(写真:src="
.jpg" )
雅楽の笙や篳篥も入った独特のサウンドで、「聴いたことないけど、どこか懐かしい」大人むけのロックです
収録曲:
1.Fantastic Dystopia
2.一木造
3.Shami on The Water
4.川のほとりで
5.Benzai-Tennyo
6.Black Etenraku
7.北斗星
8.いけるとこまで
ほか、付録CDにボーナストラック
宮澤やすみ公式サイト:http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター:https://twitter.com/yasumi_m
音楽家で神仏研究家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。
こんにちは。三味線のイベントを終えてほっとしている宮澤やすみです。休む間もないまま別件のリハーサルもこなしました。
そんな中、秋は美術展ラッシュ。東京都美術館「永遠の都 ローマ展」を取材してきました。
写真は報道内覧会で許可を得て撮影したものです。

右の人と比べれば大きさがわかる。コンスタンティヌス帝の巨像断片
大仏レベルに巨大な皇帝像や、「カピトリーノのヴィーナス」と呼ばれる女神像が展示の目玉になっています。
しかし、この連載を読んでいる全国仏像ファンのみなさんに、ぜひおすすめしたい彫像があるのです。

ルーヴル美術館のヴィーナス像と並び称される。《カピトリーノのヴィーナス》2世紀 大理石 カピトリーノ美術館蔵
それが、ローマ帝国の暴君として知られるカラカラ帝(Caracalla)です。
世界史の教科書に出てくる「カラカラ浴場」を作った人でもあります。

《カラカラ帝の肖像》212-17年 大理石 カピトリーノ美術館分館 モンテマルティーニ美術館蔵
ちなみに、対立した弟の名前が「ゲタ」というそうで、ゲタとカラカラ、まるで鬼太郎が歩いてくるようです。
それにしてもこのカラカラ帝のお顔、仏像ファンが見ればすぐ「不動明王」だと思ってしまいますよね。
不動明王の特徴である巻髪と弁髪。
カラカラ帝の天然パーマはまさしく不動明王のそれと一致。
また、カラカラ帝の場合、もみあげと髭がつながっていますが、これ不動明王が垂らす弁髪に見えないでしょうか。

もみあげの様子が不動明王の弁髪そっくり
時代でいうと、この彫像が作られたのが西暦212-217年とのことで、インドで密教が成立するのがもっと後の6世紀ですから、つまりこうした「巻髪+いかつい顔」シリーズでいうと、
不動明王よりもカラカラ帝が何百年も先なのです。
ローマとインド方面は文化の影響もあったことでしょうし、
不動明王のモデルがカラカラ帝だという説も、アリなのではないか…?

《アウグストゥスの肖像》1世紀初頭 ギリシア産大理石 カピトリーノ美術館蔵。日本では弥生時代、卑弥呼より200年前にこれだけの写実表現が完成していた
そんな大胆仮説を提示して、古い時代に思いを馳せるのも面白いのではないでしょうか。

中世ヨーロッパ好きの筆者としては、こうしたモザイク画に引き込まれました
それでは聴いてください。
KOJI1200(今田耕司)で「ナウ ロマンティック」
「永遠の都 ローマ展」
2023年9月16日(土)~12月10日(日)
東京都美術館
以降、福岡市美術館に巡回
詳細は↓
https://roma2023-24.jp/
---おしらせ---
本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報
1.
おかげさまで20周年
【小唄 in 神楽坂 2023】
宮澤やすみ一門総出で小唄の演奏会。
小唄ではめずらしい日本舞踊と鳴物が入って
にぎやかで特別な記念の会になります。
楽しい解説トークもあって、初めての人こそ
来てほしい、くつろぎの和のライブです。
お得な前売券購入はは宮澤やすみ事務所へ。
2023年10月29日(日)
14:30開場 15:00開演 16:20終演予定
東京・神楽坂毘沙門天1回書院
問合せ・お申込はEメールで
yasumikouta@yahoo.co.jp

2.
仏像や古代史を歌ったザ・ブッツの新作アルバム『時の水辺』。
ご購入いただけると活動存続の助けになります。応援よろしくお願いいたします。
プレーヤー不要。スマホですぐ聴けるQRコード付きブックレットです(CDも付いてます)。
詳細のご紹介は
↓↓↓
http://yasumimiyazawa.com/buttz/tokinomizube.html
(写真:src="

雅楽の笙や篳篥も入った独特のサウンドで、「聴いたことないけど、どこか懐かしい」大人むけのロックです
収録曲:
1.Fantastic Dystopia
2.一木造
3.Shami on The Water
4.川のほとりで
5.Benzai-Tennyo
6.Black Etenraku
7.北斗星
8.いけるとこまで
ほか、付録CDにボーナストラック
宮澤やすみ公式サイト:http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター:https://twitter.com/yasumi_m