- HOME
- 宮澤やすみの仏像ブツブツ
- 第353回 神社にあった薬師如来「京都・南山城の仏像」
第353回 神社にあった薬師如来「京都・南山城の仏像」
”仏像にもより強い効力が求められたのかもしれません--”
音楽家で神仏研究家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。
こんにちは。10月末の小唄演奏会「小唄 in 神楽坂」の練習も熱を帯びてきました。20周年記念の会に向けて一門総出でがんばってます。
そんな中、東京上野の東京国立博物館での「京都・南山城の仏像」の紹介、つづきます。
写真は報道内覧会で許可を得て撮影したものです。
報道内覧会のようす
南山城と都の位置関係については前回記事で書きましたけど、そういうわけで奈良の都と関係が深かったことがわかります。
今回の展示で私が大注目したのはこちらです。
《牛頭天王坐像 平安時代 12世紀 京都・松尾神社(木津川市)》
南山城の松尾神社にある牛頭天王。
牛頭天王は、この連載でも紹介しましたが、京都の八坂神社のもともとの祭神でした。
写真のとおり、頭部に牛の頭があって、頭部は前後左右で四面、甲冑をまとう武神の装いは天部のようです。
その出自来歴はナゾが多いんですけど、日本ではとくに疫病鎮めの神として祀られました。
牛さんの耳や取れていたり、左足が補修されていたり、損傷がひどいのは明治の神仏分離/廃仏毀釈で壊されたのだろうか
なにしろ日本の歴史上では、京の祇園の八坂神社(祇園社感神院)の祭神というのが一番よく知られているのですが、それより古いのが奈良の春日大社の摂社・水谷(みずや)神社だそうですね。
牛頭天王を祀っていた水谷神社は奈良・春日大社の摂社。八坂神社と同様に明治以降は神号を素戔嗚尊としている
なんでも祇園社の創建はこの水谷神社の祭神・牛頭天王を勧請したのだとか(記事末に参考記事あります)。
このことから、水谷神社は「元祇園」と呼ばれるそう。
そんなこんなで、奈良に近い南山城にも、都の牛頭天王信仰がいち早く流入していたのでした。
あともうひとつ、こちらの薬師如来ですが、なんと神社に祀られていたそうです。
《薬師如来立像 平安時代 9世紀 阿弥陀寺(城陽市)》
元は近隣の天満宮にあったそうです。
この連載でも、長野・諏訪の諏訪大社に薬師如来がいたことをご紹介しました。
神仏習合の時代は、こうしたこともあったんですね。
それにしても、今回の薬師如来は9世紀作という古さで、有名な国宝仏・神護寺の薬師如来を彷彿させる、呪力に満ちた異様な雰囲気があります。。
衣文は鋭い彫りの翻波式衣文というスタイルで、平安時代前期の力強い作風がよく表れている(ちょっと寸詰まりな感じがかわいらしくもあるんだけど)
9世紀の日本は富士山が何度も噴火したり大地震に疫病流行と、踏んだり蹴ったりの状況だったようです。
だから仏像にもより強い効力が求められたのかもしれません。
神仏習合ファン(ずいぶんニッチなファンですが)にも強くおすすめしたい「京都・南山城の仏像」展です。
それでは聴いてください。
パンテラで「カウボーイズ・フロム・ヘル」
浄瑠璃寺九体阿弥陀修理完成記念
特別展「京都・南山城の仏像」
2023年9月16日(土)~11月12日(日)
東京国立博物館 本館5室
詳細は↓
https://yamashiro-tokyo.exhn.jp/
(参考)
八坂神社本殿は春日大社に由来 神戸大名誉教授が新説(産経ニュース)
https://www.sankei.com/article/20210909-BZKNU7SZEFO4ZDR6SGMPLNH6EE/
(過去記事)
2021年に活躍してほしい牛頭天王
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20210105-2/
諏訪・神仏の旅 諏訪大社の本地仏-普賢と千手観音
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20221206-2/
---おしらせ---
本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報
1.
おかげさまで20周年
【小唄 in 神楽坂 2023】
宮澤やすみ一門総出で小唄の演奏会。
小唄ではめずらしい日本舞踊と鳴物が入って
にぎやかで特別な記念の会になります。
楽しい解説トークもあって、初めての人こそ
来てほしい、くつろぎの和のライブです。
お得な前売券購入はは宮澤やすみ事務所へ。
2023年10月29日(日)
14:30開場 15:00開演 16:20終演予定
東京・神楽坂毘沙門天1回書院
問合せ・お申込はEメールで
yasumikouta@yahoo.co.jp
2.
仏像や古代史を歌ったザ・ブッツの新作アルバム『時の水辺』。
ご購入いただけると活動存続の助けになります。応援よろしくお願いいたします。
プレーヤー不要。スマホですぐ聴けるQRコード付きブックレットです(CDも付いてます)。
詳細のご紹介は
↓↓↓
http://yasumimiyazawa.com/buttz/tokinomizube.html
雅楽の笙や篳篥も入った独特のサウンドで、「聴いたことないけど、どこか懐かしい」大人むけのロックです
収録曲:
1.Fantastic Dystopia
2.一木造
3.Shami on The Water
4.川のほとりで
5.Benzai-Tennyo
6.Black Etenraku
7.北斗星
8.いけるとこまで
ほか、付録CDにボーナストラック
宮澤やすみ公式サイト:http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター:https://twitter.com/yasumi_m
音楽家で神仏研究家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。
こんにちは。10月末の小唄演奏会「小唄 in 神楽坂」の練習も熱を帯びてきました。20周年記念の会に向けて一門総出でがんばってます。
そんな中、東京上野の東京国立博物館での「京都・南山城の仏像」の紹介、つづきます。
写真は報道内覧会で許可を得て撮影したものです。
報道内覧会のようす
南山城と都の位置関係については前回記事で書きましたけど、そういうわけで奈良の都と関係が深かったことがわかります。
今回の展示で私が大注目したのはこちらです。
《牛頭天王坐像 平安時代 12世紀 京都・松尾神社(木津川市)》
南山城の松尾神社にある牛頭天王。
牛頭天王は、この連載でも紹介しましたが、京都の八坂神社のもともとの祭神でした。
写真のとおり、頭部に牛の頭があって、頭部は前後左右で四面、甲冑をまとう武神の装いは天部のようです。
その出自来歴はナゾが多いんですけど、日本ではとくに疫病鎮めの神として祀られました。
牛さんの耳や取れていたり、左足が補修されていたり、損傷がひどいのは明治の神仏分離/廃仏毀釈で壊されたのだろうか
なにしろ日本の歴史上では、京の祇園の八坂神社(祇園社感神院)の祭神というのが一番よく知られているのですが、それより古いのが奈良の春日大社の摂社・水谷(みずや)神社だそうですね。
牛頭天王を祀っていた水谷神社は奈良・春日大社の摂社。八坂神社と同様に明治以降は神号を素戔嗚尊としている
なんでも祇園社の創建はこの水谷神社の祭神・牛頭天王を勧請したのだとか(記事末に参考記事あります)。
このことから、水谷神社は「元祇園」と呼ばれるそう。
そんなこんなで、奈良に近い南山城にも、都の牛頭天王信仰がいち早く流入していたのでした。
あともうひとつ、こちらの薬師如来ですが、なんと神社に祀られていたそうです。
《薬師如来立像 平安時代 9世紀 阿弥陀寺(城陽市)》
元は近隣の天満宮にあったそうです。
この連載でも、長野・諏訪の諏訪大社に薬師如来がいたことをご紹介しました。
神仏習合の時代は、こうしたこともあったんですね。
それにしても、今回の薬師如来は9世紀作という古さで、有名な国宝仏・神護寺の薬師如来を彷彿させる、呪力に満ちた異様な雰囲気があります。。
衣文は鋭い彫りの翻波式衣文というスタイルで、平安時代前期の力強い作風がよく表れている(ちょっと寸詰まりな感じがかわいらしくもあるんだけど)
9世紀の日本は富士山が何度も噴火したり大地震に疫病流行と、踏んだり蹴ったりの状況だったようです。
だから仏像にもより強い効力が求められたのかもしれません。
神仏習合ファン(ずいぶんニッチなファンですが)にも強くおすすめしたい「京都・南山城の仏像」展です。
それでは聴いてください。
パンテラで「カウボーイズ・フロム・ヘル」
浄瑠璃寺九体阿弥陀修理完成記念
特別展「京都・南山城の仏像」
2023年9月16日(土)~11月12日(日)
東京国立博物館 本館5室
詳細は↓
https://yamashiro-tokyo.exhn.jp/
(参考)
八坂神社本殿は春日大社に由来 神戸大名誉教授が新説(産経ニュース)
https://www.sankei.com/article/20210909-BZKNU7SZEFO4ZDR6SGMPLNH6EE/
(過去記事)
2021年に活躍してほしい牛頭天王
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20210105-2/
諏訪・神仏の旅 諏訪大社の本地仏-普賢と千手観音
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20221206-2/
---おしらせ---
本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報
1.
おかげさまで20周年
【小唄 in 神楽坂 2023】
宮澤やすみ一門総出で小唄の演奏会。
小唄ではめずらしい日本舞踊と鳴物が入って
にぎやかで特別な記念の会になります。
楽しい解説トークもあって、初めての人こそ
来てほしい、くつろぎの和のライブです。
お得な前売券購入はは宮澤やすみ事務所へ。
2023年10月29日(日)
14:30開場 15:00開演 16:20終演予定
東京・神楽坂毘沙門天1回書院
問合せ・お申込はEメールで
yasumikouta@yahoo.co.jp
2.
仏像や古代史を歌ったザ・ブッツの新作アルバム『時の水辺』。
ご購入いただけると活動存続の助けになります。応援よろしくお願いいたします。
プレーヤー不要。スマホですぐ聴けるQRコード付きブックレットです(CDも付いてます)。
詳細のご紹介は
↓↓↓
http://yasumimiyazawa.com/buttz/tokinomizube.html
雅楽の笙や篳篥も入った独特のサウンドで、「聴いたことないけど、どこか懐かしい」大人むけのロックです
収録曲:
1.Fantastic Dystopia
2.一木造
3.Shami on The Water
4.川のほとりで
5.Benzai-Tennyo
6.Black Etenraku
7.北斗星
8.いけるとこまで
ほか、付録CDにボーナストラック
宮澤やすみ公式サイト:http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター:https://twitter.com/yasumi_m