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第370回 躍動する平安仏が守る魂「中尊寺金色堂」展
”このあとの運慶に始まる鎌倉時代的な表現を先取りして--”
音楽家で神仏研究家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。
こんにちは。東京の下町で、活動写真(サイレント映画)の上演をしてきた宮澤やすみです。映画に音がないので弁士が語り、ぼくが三味線生演奏を付けるものです。歌も歌いました。
そんな中、東京国立博物館では特別展「中尊寺金色堂」が開幕。
写真は報道内覧会で許可を得て撮影したものです。

展示会場。報道陣でいっぱいの内覧会風景
”日本の美と信仰との結節点”(公式サイトより)と称される中尊寺金色堂の、中央壇の国宝仏11体すべてが展示。
現地だと見えづらい仏像群が、ガラス越しとはいえ至近距離であらゆる方向から見られるという稀有な仏像体験ができます。
僕もこれまでたくさんの仏像を拝んだり見たりしてきましたが、今回の仏像はよく見ると非常に興味深いですね。

勢至菩薩立像 平安時代・12世紀 岩手・中尊寺金色院蔵
一般的に、12世紀・平安時代後期は仏像大量生産の時代といわれ、多くの注文を受けて制作された仏像は、彫刻の出来栄えでいうとどこか大味で平板な印象を受けるものです。
ところが、この中尊寺金色堂の仏像は間近でみるとその精巧な造りと迫力に目を見張ります。
中央の阿弥陀如来の、衣文の表現をみるとエッジが立った衣文線がしなやかな強い線を描いています。
表情は穏やかな中にいかめしさも感じられ、仏の本領を発揮。

背後にあるのは藤原清衡の棺。清衡を守るように坐す金色堂の主。阿弥陀如来坐像 平安時代・12世紀 岩手・中尊寺金色院蔵
両脇の観音・勢至菩薩は、頭部の髻(結い上げた髪)の表現がシンプルでこの時代の特徴なんですけど、腰がキュッとくびれて、左右の天衣(てんね)のひらひら感もリアルで、風が吹いているようです。
僕の仏像仲間で、仏像大好き芸人として今売り出し中の「みほとけ」さん(モノマネ芸も秀逸)も見入っていました。

「くびれがすごいですよねー!」と見入る、仏像好き芸人・みほとけ
こうしたリアルな表現は、このあとの運慶に始まる慶派の鎌倉時代的な表現を先取りしているといえなくもない、ですね(と思ったら、公式サイトでも同じようなことが書いてありました)。

この躍動感。背後から見られるのも貴重。増長天立像 平安時代・12世紀 岩手・中尊寺金色院蔵
そんな見ごたえある仏像たちが守るのが、奥州藤原氏の初代とされる藤原清衡。
金色堂は、その遺骸を納める鎮魂の厨子の意味合いがあり、その清衡が眠っていたという棺も展示されています。展示室の奥、阿弥陀如来の真後ろにあるのがそれで、古い木の箱ですが、これこそが金色堂の一番の要で、これを仏像たちが守っているというの金色堂の構成です。

金色堂の核に相当する、藤原清衡の棺
これら阿弥陀三尊と天部に、六地蔵も加わって金色堂の仏像ラインナップがずらり。

よく見ると地蔵のアゴの引き具合が段階的に異なる。金色堂では縦に並び、後列は遠くをみるような目線になるように作られている
NHKによる大スクリーン8K映像も圧巻です。博物館展示ならではのワクワク感が楽しめると思います。
それでは聴いてください。
ザ・ブッツで「むかえにきたよ」。
特別展「中尊寺金色堂」
2024年1月23日(火)~4月14日(日)
東京国立博物館 本館 特別5室
詳細 https://chusonji2024.jp/
--おしらせ---
本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報
1.
■■宮澤やすみ ちいさなソロライブ■■
【疲れた身体に チルやすみ】
ちいさなバーで、夕暮れ時にまったりと
疲れを癒す、心地よい三味線の音と歌。
三味線好きな方は至近距離でお聴きいただけるこの機会お見逃しなく。
会場はシックなバー。お茶やお酒とともにくつろいでお過ごしください。
2024年2月3日(土)
17:30開場 18;00開演
池袋ロワンディシー
詳細 http://yasumimiyazawa.com/live.html

2.
仏像や古代史を歌ったザ・ブッツの新作アルバム『時の水辺』。
ご購入いただけると活動存続の助けになります。応援よろしくお願いいたします。
プレーヤー不要。スマホですぐ聴けるQRコード付きブックレットです(CDも付いてます)。
詳細のご紹介は
↓↓↓
http://yasumimiyazawa.com/buttz/tokinomizube.html

雅楽の笙や篳篥も入った独特のサウンドで、「聴いたことないけど、どこか懐かしい」大人むけのロックです
収録曲:
1.Fantastic Dystopia
2.一木造
3.Shami on The Water
4.川のほとりで
5.Benzai-Tennyo
6.Black Etenraku
7.北斗星
8.いけるとこまで
ほか、付録CDにボーナストラック
宮澤やすみ公式サイト:http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター:https://twitter.com/yasumi_m
音楽家で神仏研究家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。
こんにちは。東京の下町で、活動写真(サイレント映画)の上演をしてきた宮澤やすみです。映画に音がないので弁士が語り、ぼくが三味線生演奏を付けるものです。歌も歌いました。
そんな中、東京国立博物館では特別展「中尊寺金色堂」が開幕。
写真は報道内覧会で許可を得て撮影したものです。

展示会場。報道陣でいっぱいの内覧会風景
”日本の美と信仰との結節点”(公式サイトより)と称される中尊寺金色堂の、中央壇の国宝仏11体すべてが展示。
現地だと見えづらい仏像群が、ガラス越しとはいえ至近距離であらゆる方向から見られるという稀有な仏像体験ができます。
僕もこれまでたくさんの仏像を拝んだり見たりしてきましたが、今回の仏像はよく見ると非常に興味深いですね。

勢至菩薩立像 平安時代・12世紀 岩手・中尊寺金色院蔵
一般的に、12世紀・平安時代後期は仏像大量生産の時代といわれ、多くの注文を受けて制作された仏像は、彫刻の出来栄えでいうとどこか大味で平板な印象を受けるものです。
ところが、この中尊寺金色堂の仏像は間近でみるとその精巧な造りと迫力に目を見張ります。
中央の阿弥陀如来の、衣文の表現をみるとエッジが立った衣文線がしなやかな強い線を描いています。
表情は穏やかな中にいかめしさも感じられ、仏の本領を発揮。

背後にあるのは藤原清衡の棺。清衡を守るように坐す金色堂の主。阿弥陀如来坐像 平安時代・12世紀 岩手・中尊寺金色院蔵
両脇の観音・勢至菩薩は、頭部の髻(結い上げた髪)の表現がシンプルでこの時代の特徴なんですけど、腰がキュッとくびれて、左右の天衣(てんね)のひらひら感もリアルで、風が吹いているようです。
僕の仏像仲間で、仏像大好き芸人として今売り出し中の「みほとけ」さん(モノマネ芸も秀逸)も見入っていました。

「くびれがすごいですよねー!」と見入る、仏像好き芸人・みほとけ
こうしたリアルな表現は、このあとの運慶に始まる慶派の鎌倉時代的な表現を先取りしているといえなくもない、ですね(と思ったら、公式サイトでも同じようなことが書いてありました)。

この躍動感。背後から見られるのも貴重。増長天立像 平安時代・12世紀 岩手・中尊寺金色院蔵
そんな見ごたえある仏像たちが守るのが、奥州藤原氏の初代とされる藤原清衡。
金色堂は、その遺骸を納める鎮魂の厨子の意味合いがあり、その清衡が眠っていたという棺も展示されています。展示室の奥、阿弥陀如来の真後ろにあるのがそれで、古い木の箱ですが、これこそが金色堂の一番の要で、これを仏像たちが守っているというの金色堂の構成です。

金色堂の核に相当する、藤原清衡の棺
これら阿弥陀三尊と天部に、六地蔵も加わって金色堂の仏像ラインナップがずらり。

よく見ると地蔵のアゴの引き具合が段階的に異なる。金色堂では縦に並び、後列は遠くをみるような目線になるように作られている
NHKによる大スクリーン8K映像も圧巻です。博物館展示ならではのワクワク感が楽しめると思います。
それでは聴いてください。
ザ・ブッツで「むかえにきたよ」。
特別展「中尊寺金色堂」
2024年1月23日(火)~4月14日(日)
東京国立博物館 本館 特別5室
詳細 https://chusonji2024.jp/
--おしらせ---
本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報
1.
■■宮澤やすみ ちいさなソロライブ■■
【疲れた身体に チルやすみ】
ちいさなバーで、夕暮れ時にまったりと
疲れを癒す、心地よい三味線の音と歌。
三味線好きな方は至近距離でお聴きいただけるこの機会お見逃しなく。
会場はシックなバー。お茶やお酒とともにくつろいでお過ごしください。
2024年2月3日(土)
17:30開場 18;00開演
池袋ロワンディシー
詳細 http://yasumimiyazawa.com/live.html

2.
仏像や古代史を歌ったザ・ブッツの新作アルバム『時の水辺』。
ご購入いただけると活動存続の助けになります。応援よろしくお願いいたします。
プレーヤー不要。スマホですぐ聴けるQRコード付きブックレットです(CDも付いてます)。
詳細のご紹介は
↓↓↓
http://yasumimiyazawa.com/buttz/tokinomizube.html

雅楽の笙や篳篥も入った独特のサウンドで、「聴いたことないけど、どこか懐かしい」大人むけのロックです
収録曲:
1.Fantastic Dystopia
2.一木造
3.Shami on The Water
4.川のほとりで
5.Benzai-Tennyo
6.Black Etenraku
7.北斗星
8.いけるとこまで
ほか、付録CDにボーナストラック
宮澤やすみ公式サイト:http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター:https://twitter.com/yasumi_m