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第381回 幕末明治のみうらじゅん？「河鍋暁斎と松浦武四郎」
”きっと みうらじゅんみたいな人だったんでしょう－－”
音楽家で神仏研究家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。
こんにちは。もう秋の小唄会の準備を始めている宮澤やすみです。一門総出で三味線の演奏会。
そんな中、春は美術展がたくさん開幕。東京の静嘉堂＠丸の内での「河鍋暁斎と松浦武四郎」を取材してきました。
写真は報道内覧会で許可を得て撮影したものです。
画鬼・河鍋暁斎と鬼才・松浦武四郎、二人の才能がスパークする。展示パネルより
”画鬼”と評される河鍋暁斎と、探検家で古物収集にも情熱を傾けた松浦武四郎のふたりにスポットを当てた展覧会。
というより、
河鍋暁斎の作品によって松浦武四郎のあまりにもおもしろい仕事をたどる、
という構成といったほうがいいかもしれません。
松浦武四郎さん本人の写真は一枚しか残っていませんが（上記写真）、それがインパクト大。
縄文時代の勾玉や管玉をつなげた大首飾りを自慢げにかけてドヤ顔をしています。この首飾りの実物が展示されていて必見です。
「地図の上を歩こう！」。武四郎が探検して制作した地図が床面に。地図好きは必見
江戸末期に蝦夷地といわれた北海道を6度も探検。その知識経験を買われて明治政府の蝦夷地開拓判官になる。
「北海道」という名称を付けたのもこの松浦さんだとのこと。
その後、政府の政策に反発して役人を辞め、そのころ河鍋暁斎と親交を深めます。
武四郎コレクションより「田村将軍肖像」は平安時代の蝦夷平定で知られる坂上田村麻呂の像。蝦夷地を探検調査した武四郎にとって非常に重要な像だったことだろう。江戸時代 静嘉堂
あとはもう、各地を歩き、古い寺社や遺跡から出た古く珍しいものを集め廻って一大コレクションをまとめ、当時の一流芸術家を集めて図録や掛け軸作品を作らせたり……、趣味の世界を極めた方のようです。
武四郎コレクションより、毘沙門天と弁財天の合体像ほか、仏を彫り付けた《図像瓦》年代不詳、手前は《鉄製御正体》室町後期 静嘉堂
そんな武四郎コレクションの一部が今回展示で見られますが、その時代範囲は縄文の勾玉から中世の仏像、さらには当時の最先端モノだった洋傘まで。その洋傘は河鍋暁斎の骸骨の絵が不気味ですが、今では日本現存最古例として国重文指定です。これも必見。
こうした収蔵品目録に物品の図が必要ということで、河鍋暁斎による緻密な挿画が入ったコレクション図録ができました。ほかにも幕末の文人が文や書をよせています。
武四郎愛蔵品の図録『撥雲余興』掲載の「田村将軍肖像」。松浦武四郎 著・出版／岩下方平 序 明治10年 静嘉堂
ほかにも、メインヴィジュアルになっているのは、松浦武四郎の昼寝姿をもとに描かれた「武四郎涅槃図」。収集品に囲まれて幸せそうな涅槃の姿になっています。こんなふうに死ねたら最高に幸せ。
メインヴィジュアルは《武四郎涅槃図》その内容とは？
サブカルチャーという言葉など無い時代に、自分の興味の赴くままに各地を旅し、人が見向きもしないようなものでも集めて整理してデータをまとめあげ、自分の周囲には河鍋暁斎ほか著名人が楽しそうに集まる。
現代でいうと、きっと みうらじゅんみたいな人だったんでしょう。
「一体でも千体仏」。解説キャプションもちょっとひねくれてて面白い
みうらじゅんのコレクションが文化財指定されるような未来は、あるのか。
そんなことを考えながらの展示鑑賞でした。
それでは聴いてください。
ザ・ブッツで「君はソウルメイト！百済観音」。
静嘉堂文庫竣工100年・特別展
画鬼 河鍋暁斎×鬼才 松浦武四郎
「地獄極楽めぐり図」からリアル武四郎涅槃図まで
静嘉堂＠丸の内
2024年4月13日（土）～6月9日（日）
詳細
https://www.seikado.or.jp/
--おしらせ---
本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報
１．
仏像や古代史を歌ったザ・ブッツの新作アルバム『時の水辺』。
ご購入いただけると活動存続の助けになります。応援よろしくお願いいたします。
プレーヤー不要。スマホですぐ聴けるQRコード付きブックレットです（CDも付いてます）。
詳細のご紹介は
↓↓↓
http://yasumimiyazawa.com/buttz/tokinomizube.html
雅楽の笙や篳篥も入った独特のサウンドで、「聴いたことないけど、どこか懐かしい」大人むけのロックです
収録曲：
１．Fantastic Dystopia
２．一木造
３．Shami on The Water
４．川のほとりで
５．Benzai-Tennyo
６．Black Etenraku
７．北斗星
８．いけるとこまで
ほか、付録CDにボーナストラック
宮澤やすみ公式サイト：http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター：https://twitter.com/yasumi_m
音楽家で神仏研究家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。
こんにちは。もう秋の小唄会の準備を始めている宮澤やすみです。一門総出で三味線の演奏会。
そんな中、春は美術展がたくさん開幕。東京の静嘉堂＠丸の内での「河鍋暁斎と松浦武四郎」を取材してきました。
写真は報道内覧会で許可を得て撮影したものです。
画鬼・河鍋暁斎と鬼才・松浦武四郎、二人の才能がスパークする。展示パネルより
”画鬼”と評される河鍋暁斎と、探検家で古物収集にも情熱を傾けた松浦武四郎のふたりにスポットを当てた展覧会。
というより、
河鍋暁斎の作品によって松浦武四郎のあまりにもおもしろい仕事をたどる、
という構成といったほうがいいかもしれません。
松浦武四郎さん本人の写真は一枚しか残っていませんが（上記写真）、それがインパクト大。
縄文時代の勾玉や管玉をつなげた大首飾りを自慢げにかけてドヤ顔をしています。この首飾りの実物が展示されていて必見です。
「地図の上を歩こう！」。武四郎が探検して制作した地図が床面に。地図好きは必見
江戸末期に蝦夷地といわれた北海道を6度も探検。その知識経験を買われて明治政府の蝦夷地開拓判官になる。
「北海道」という名称を付けたのもこの松浦さんだとのこと。
その後、政府の政策に反発して役人を辞め、そのころ河鍋暁斎と親交を深めます。
武四郎コレクションより「田村将軍肖像」は平安時代の蝦夷平定で知られる坂上田村麻呂の像。蝦夷地を探検調査した武四郎にとって非常に重要な像だったことだろう。江戸時代 静嘉堂
あとはもう、各地を歩き、古い寺社や遺跡から出た古く珍しいものを集め廻って一大コレクションをまとめ、当時の一流芸術家を集めて図録や掛け軸作品を作らせたり……、趣味の世界を極めた方のようです。
武四郎コレクションより、毘沙門天と弁財天の合体像ほか、仏を彫り付けた《図像瓦》年代不詳、手前は《鉄製御正体》室町後期 静嘉堂
そんな武四郎コレクションの一部が今回展示で見られますが、その時代範囲は縄文の勾玉から中世の仏像、さらには当時の最先端モノだった洋傘まで。その洋傘は河鍋暁斎の骸骨の絵が不気味ですが、今では日本現存最古例として国重文指定です。これも必見。
こうした収蔵品目録に物品の図が必要ということで、河鍋暁斎による緻密な挿画が入ったコレクション図録ができました。ほかにも幕末の文人が文や書をよせています。
武四郎愛蔵品の図録『撥雲余興』掲載の「田村将軍肖像」。松浦武四郎 著・出版／岩下方平 序 明治10年 静嘉堂
ほかにも、メインヴィジュアルになっているのは、松浦武四郎の昼寝姿をもとに描かれた「武四郎涅槃図」。収集品に囲まれて幸せそうな涅槃の姿になっています。こんなふうに死ねたら最高に幸せ。
メインヴィジュアルは《武四郎涅槃図》その内容とは？
サブカルチャーという言葉など無い時代に、自分の興味の赴くままに各地を旅し、人が見向きもしないようなものでも集めて整理してデータをまとめあげ、自分の周囲には河鍋暁斎ほか著名人が楽しそうに集まる。
現代でいうと、きっと みうらじゅんみたいな人だったんでしょう。
「一体でも千体仏」。解説キャプションもちょっとひねくれてて面白い
みうらじゅんのコレクションが文化財指定されるような未来は、あるのか。
そんなことを考えながらの展示鑑賞でした。
それでは聴いてください。
ザ・ブッツで「君はソウルメイト！百済観音」。
静嘉堂文庫竣工100年・特別展
画鬼 河鍋暁斎×鬼才 松浦武四郎
「地獄極楽めぐり図」からリアル武四郎涅槃図まで
静嘉堂＠丸の内
2024年4月13日（土）～6月9日（日）
詳細
https://www.seikado.or.jp/
--おしらせ---
本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報
１．
仏像や古代史を歌ったザ・ブッツの新作アルバム『時の水辺』。
ご購入いただけると活動存続の助けになります。応援よろしくお願いいたします。
プレーヤー不要。スマホですぐ聴けるQRコード付きブックレットです（CDも付いてます）。
詳細のご紹介は
↓↓↓
http://yasumimiyazawa.com/buttz/tokinomizube.html
雅楽の笙や篳篥も入った独特のサウンドで、「聴いたことないけど、どこか懐かしい」大人むけのロックです
収録曲：
１．Fantastic Dystopia
２．一木造
３．Shami on The Water
４．川のほとりで
５．Benzai-Tennyo
６．Black Etenraku
７．北斗星
８．いけるとこまで
ほか、付録CDにボーナストラック
宮澤やすみ公式サイト：http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター：https://twitter.com/yasumi_m
