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第475回 カワイイ貴重な日本仏像の源流「法隆寺宝物館」の金銅仏

”あの正倉院宝物よりも古い時代のものもあるそうで――”

音楽家で神仏研究家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。

こんにちは。新アルバム制作のためレコーディングをしている宮澤やすみです。古典の小唄のほかオリジナル新作も作るつもりです。

そんな中、前回は東京国立博物館の「デジタル法隆寺宝物館」を紹介しました。

この法隆寺宝物館はかわいくもすごい仏像がいっぱいで、かつ自分が好きな飛鳥時代の文物がたくさん。


法隆寺宝物館

だからこれまで自分が出演したテレビやトークショーなどでさんざん紹介した「鉄板ネタ」であったのですが、肝心のこの連載ではまったく触れていなかったようですね。

こないだの東京・長谷寺「麻布大観音」もそうですが、私が”仏像ナビゲーター”として各メディアに出ていた時に何度もこすり倒した話題は、もう当たり前の存在で書かなかったんですかね。

しかし、あれからもう10年以上経ったでしょうか。一周回って新鮮な話題かもしれないので、書いておきましょう。

東京国立博物館の敷地内にある「法隆寺宝物館」は、その名のとおり奈良・法隆寺の仏具宝物が収蔵されています。

やはり目を引くのは仏像で、展示室に飛鳥時代の仏像がずらり。
どれも仏教公伝から数十年くらいしか経っていない時代の、日本での最古級の仏像たちです。


展示室内は暗くて神妙な気持ちになる。決してはしゃいだりしてはいけない

その姿は、運慶などのリアルすぎる仏像とは正反対の、どこか「ロボ」的な雰囲気の姿。
どれも像高30センチくらいの小さなもので、金銅製のひょろっとした小仏像。頭が大きくて子供みたい。
全体を総称して「法隆寺の小金銅仏」と言われます。

なかでも私の一番お気に入りはこちらの観音像。


左右対称に広がる天衣が特徴《観音菩薩立像》飛鳥時代・白雉2年(651)

天衣が左右に広がる様は「サンダーバード1号みたい」として、「カンノン発進!」とマンガに描きました。
NHKの番組でも手描きイラストのスケッチブックを広げて、この展示室でバカ話を繰り広げたものでした。よくOK出たな。


カンノンボサツ発進!のマンガ。(宮澤やすみ文・絵『仏像にインタビュー』ディスカバー21刊より)

とはいえ、この像は大変貴重な存在で、古い仏像のなかではっきり「観音」とわかるシンボルがあるのです。それが冠に線彫りされた化仏。
小学生の落書きみたいな線彫りが、日本仏像史の最初期を物語る貴重なものなんです。


冠に彫られた化仏に注目。その大きさ数ミリほど。《観音菩薩立像》飛鳥時代・白雉2年(651)

さらに台座には銘文が刻まれ、白雉2年(651)に造られたことが分かっています。古い仏像で年代が特定できるのは大変珍しいことです。

そんな大変な仏像なのに、「サンダーバード発進」とか言ってはしゃいでしまいスミマセンでした。

ほかにも、貴重だけど愛らしさ抜群の仏像がたくさんいます。時が1300年以上隔たっているぶん、現代からみるといろんな妄想をして遊んでしまいます。
最初はそれでもいいので、あとで調べたらすごかった、と分かればいいんじゃないでしょうか。


楽しそうな二人組《観音菩薩・勢至菩薩立像》飛鳥時代 7世紀

飛鳥時代も長いので、聖徳太子が活躍した前期と、乙巳の変-大化の改新を経て藤原京造営に至る後期に分かれます。飛鳥後期を「白鳳時代」と呼ぶこともありますが、最近はあまり使われないようです。

飛鳥前期には平面的な正面観照の造りだったんだけど、前後の奥行きも作り込まれた立体感のある造りに変わっていきます。突然ガラッと変わるんじゃなくて少しずつですけど。

また、飛鳥前期には、法隆寺金堂釈迦像に代表される「止利様式」が流行しますが、後期には早くもそこからの脱却が見られます。
(むずかしい用語は検索してみてね)


開いた眼、衣の文様、細身の体躯など止利様式の典型。《如来坐像》飛鳥時代 7世紀

この時代は朝鮮半島から多くの文化を取り入れていたので、仏像も当時の朝鮮半島の百済や新羅という国の影響で、デザインが変わっていきます。

飛鳥の前期と後期の間で、百済が滅亡して新羅の天下になったりして、仏像の変化もその影響があると思われます。仏像から外交情勢も見えるとはおもしろいですね。


飛鳥後期になると衣の線がシンプルに。四頭身がかわいい。《如来立像》飛鳥時代 7世紀

そんなこんなで、仏像展示室の話に終始してしまいましたが、法隆寺宝物館にはそのほかにも古代の貴重な裂(古代織物)や寺院装飾物、仏具、さらに法隆寺で催された伎楽の面などずらり。
その多くが、なんとあの正倉院宝物よりも古い時代のものもあるそうですよ。

ちなみに、なぜ法隆寺の貴重な宝物がここにあるかというと、明治の神仏分離が影響しています。
明治の初め、奈良のお寺は存亡の危機。法隆寺では維持費ねん出のため300点以上の宝物を皇室に献上し、その見返りに多額のお金を下賜されました。
その「法隆寺献納宝物」が、戦後に東京国立博物館の所蔵となって現在に至っています。

激動の近代史がもたらした古代の宝物展示。これを見逃す手はないので、トーハクに行ったらぜひのぞいてみてください。常設展の料金で入れます。

それでは聴いてください。
ザ・ブッツで「君はソウルメイト!百済観音」



法隆寺宝物館―東京国立博物館
https://www.tnm.jp/modules/r_exhibition/index.php?controller=hall&hid=16



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3Dでじっくり見る宝物の裏表「デジタル法隆寺宝物館」
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--おしらせ---
本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報

1.
4/25土
古民家カフェで お江戸なカフェタイム(小唄と三味線と酒とつまみ)
https://kaguramura.jp/event/festival/1933/

2.
4/29水祝(見逃し配信も)
レクチャーコンサート
小唄で感じる江戸東京の文化 | 朝日カルチャーセンター横浜教室
https://www.asahiculture.com/asahiculture/asp-webapp/web/WWebKozaShosaiNyuryoku.do?kozaId=8697980
(オンライン受講可)


3.
宮澤やすみ出演情報(これからとこれまで)まとめ
https://yasumimiyazawa.com/live.html