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第314回 神社にあった仏像:田端・赤紙仁王尊と田端八幡神社

”まだ神仏習合の時代、神社に仏像があってもおかしくありません--”
音楽家で神仏研究家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。

こんにちは。この稿が公開されるころは、機上の人になっているはずの宮澤やすみです。ドバイ経由でベルギーに向かい、三味線弾いてきます。

そんな中、今回は私が以前訪れたこちらをご紹介します。
東京田端の「赤紙仁王尊」で知られる東覚寺。


東覚寺護摩堂の前に立つ赤紙仁王尊

写真のとおり、仁王さんの全身に赤い紙がべたべたと貼りつけられています。

自分の身体の悪い所と同じ個所に、赤紙(寺務所で申し出て紙と糊をもらうシステム)を張り付けるという願掛けです。


顔が見えないけど、画面右が阿形、左が吽形

仁王像に紙を張り付ける願掛け自体は各地でみられる習俗なんですが、赤紙はインパクトありますね。

解説板によると、この像は寛永18年(1641年)の造立。当時江戸市中に流行った疫病を鎮めるためだったそう。
昔から、疫病封じには赤いものという習わしがあるから、それと関係しているかもしれません。
そのへんの話は、民俗学者・畑中章宏さんの「感染症と赤のフォークロア」が参考になります。
http://boundbaw.com/world-topics/articles/104

ただし、ここ東覚寺の場合、今のような赤紙ベタベタ祈願は明治からとのことで、江戸時代にどうしていたかは分かりません。

あと興味深いのは、この仁王尊、もともとは隣の田端八幡神社の門前にあったものだそうです。
江戸時代はまだ神仏習合の時代ですから、神社に仏像があってもおかしくありません。


田端八幡神社本殿の近くに、不動明王の石仏が残っている


神社境内にある富士浅間神社と三峯社。山岳修験の神社に不動明王がいるのは納得

現在管理している東覚寺は、田端八幡神社を管理する別当寺という位置づけでした。


田端八幡神社の参道。画面左に隣接しているのが東覚寺

この連載でよく出てくるキーワードですけど、明治の「神仏分離」によって神社にある仁王像が東覚寺に移されたということでした。
壊されなくてよかったですね。

ここにも神仏分離の痕跡が見られたということで、年明け2月にそういう話をまとめてやる予定です。

阪急交通社「たびコト塾」
これだけは知っておきたい~神社の仏像~ 
2023年2月2日 詳細↓
https://www.hankyu-travel.com/tour/detail_d_setsu.php?p_course_no=1808629


次回は、ベルギーかドイツからお便りします。


三味線弾きすぎで痛めた手首の回復を祈願

それでは聴いてください。
キング・クリムゾンで「レッド」。



(過去記事)
聖徳太子さんぽ2 三宿神社の毘沙門天
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20210824-2/


---おしらせ---

本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報

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宮澤やすみ公式サイト:http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター:https://twitter.com/yasumi_m