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四天王と織田信長の深い関係?
前回は毘沙門天と韋駄天から四天王の話になりました。
今回も、前回出た仏像クイズの答えからいってみましょう。
問題は、
四天王はどこに住んでいる?
というものでした。
四隅に立つ守護神が四天王。千葉県・勝覚寺にて撮影
答えは、
人間世界のひとつ上「天」にいる
ということなんですけど、もうちょっと細かくみていきましょう。
仏像や仏教の世界でよく出てくるのが「六道(ろくどう)」という世界観。
輪廻を繰り返す6つの世界(道)のことです。上から並べると、
天(てん)道
人(にん)道
修羅(しゅら)道
畜生(ちくしょう)道
餓鬼(がき)道
地獄(じごく)道
の6階層になり、下にいくほど酷い世界になるという話。
地獄道なんかはさらに8つに細分化されるとかいろいろあります。
天道も、さらに細かく階層化されているんですけど、その「天」のうちの一番下にいるのが四天王たちなんだそうですよ。
たとえて言うなら、高台の好立地にあるマンションなのはいいんだけど、その1階に入居している感じ。
1階の部屋って、家賃安いですもんね。
この、天道1階フロアのことを「四大王衆天」と言いますが、なんせ最下層なんで通称「下天(げてん)」といいます。
この下天では、時間の流れ方も特別で、なんでも人間界の50年が下天での1日にあたるんだとか。
ここまで読んで、歴史好きの方はピーンと来たかもしれませんが、あの織田信長の鉄板ネタが思い出されますね。
人間五十年、下天のうちを比ぶれば、夢幻のごとくなり
と、よくドラマやなんかで見かけます。幸若舞(こうわかまい)という謡の文句だそうです。
問題は「人間五十年」の箇所ですけど、これ、よく「昔は人の寿命が50年だった」と解釈されがちです。しかし、下天の設定に基づけば、
人間での50年なんて、四天王が住む下天と比べてみれば、
たった1日にすぎないんだよね……人間なんて、人間なんて~……
と謡っているのが分かるかと思います。(人間なんて~、は勝手に付け加えました)
だから、必ずしも人の寿命のことを言っているのではないのでした。
ただ、下天の設定を決める古代インド仏教企画会議を想像してみると、一日の長さどうする?人の一生分くらいにしとく?という提案はあったかもしれないですね。
じゃあ何年くらいにすんだよ、全国民の統計とれんのかよ、とか議論は白熱、現代でも厚労省の統計改ざんがあるのに古代インドでは大変でしょう。議論が煮詰まって、結局なんとな~く50年に決まったのかも。もし会議の議事録があるなら見てみたいものです。
ちなみに、天道の上のほうに行くと、1日が人間の800年に相当するなど、スケールアップするそうです。
というわけで、仏像ファンのみなさまは、もし「寿命が50年だった」という人がいたら「いやいや、それには深い理由があってね」と説明してあげてください。
ウザがられるかもしれないけど(笑)、仏像ウンチクとしては知っておくと楽しいんじゃないでしょうか。
そんな中、新刊著書は着々と製本作業進んでいます (追記:現在は発売中です!)。
今回のような仏像ウンチクもいろいろ載せました。
前著『仏像にインタビュー』から10年かかりましたが、たくさんの人のおかげでまた本が出せるとは。感謝しています。
ここの連載でも、いろいろ仏像ウンチク紹介していきたいと思います。これからもお付き合いいただければ。
---おしらせ---
本コラム著者・宮澤やすみ出演
宮澤やすみの「小唄かふぇ Vol.25」
三味線奏者で小唄師範でもある宮澤やすみの三味線ライブ。
江戸の小唄をわかりやすい解説トークと共にお届けします。
ゲストに短歌の大御所・福島泰樹さんを迎え一夜限りのセッションも。
寺山修司の世界を短歌で歌いあげます。
2月20日(水)19:00開場 20:00開演
ワロスロードカフェ
(JR御徒町、地下鉄上野御徒町・上野広小路・湯島)
http://yasumimiyazawa.com/koutacafe/
今回も、前回出た仏像クイズの答えからいってみましょう。
問題は、
四天王はどこに住んでいる?
というものでした。
四隅に立つ守護神が四天王。千葉県・勝覚寺にて撮影
答えは、
人間世界のひとつ上「天」にいる
ということなんですけど、もうちょっと細かくみていきましょう。
仏像や仏教の世界でよく出てくるのが「六道(ろくどう)」という世界観。
輪廻を繰り返す6つの世界(道)のことです。上から並べると、
天(てん)道
人(にん)道
修羅(しゅら)道
畜生(ちくしょう)道
餓鬼(がき)道
地獄(じごく)道
の6階層になり、下にいくほど酷い世界になるという話。
地獄道なんかはさらに8つに細分化されるとかいろいろあります。
天道も、さらに細かく階層化されているんですけど、その「天」のうちの一番下にいるのが四天王たちなんだそうですよ。
たとえて言うなら、高台の好立地にあるマンションなのはいいんだけど、その1階に入居している感じ。
1階の部屋って、家賃安いですもんね。
この、天道1階フロアのことを「四大王衆天」と言いますが、なんせ最下層なんで通称「下天(げてん)」といいます。
この下天では、時間の流れ方も特別で、なんでも人間界の50年が下天での1日にあたるんだとか。
ここまで読んで、歴史好きの方はピーンと来たかもしれませんが、あの織田信長の鉄板ネタが思い出されますね。
人間五十年、下天のうちを比ぶれば、夢幻のごとくなり
と、よくドラマやなんかで見かけます。幸若舞(こうわかまい)という謡の文句だそうです。
問題は「人間五十年」の箇所ですけど、これ、よく「昔は人の寿命が50年だった」と解釈されがちです。しかし、下天の設定に基づけば、
人間での50年なんて、四天王が住む下天と比べてみれば、
たった1日にすぎないんだよね……人間なんて、人間なんて~……
と謡っているのが分かるかと思います。(人間なんて~、は勝手に付け加えました)
だから、必ずしも人の寿命のことを言っているのではないのでした。
ただ、下天の設定を決める古代インド仏教企画会議を想像してみると、一日の長さどうする?人の一生分くらいにしとく?という提案はあったかもしれないですね。
じゃあ何年くらいにすんだよ、全国民の統計とれんのかよ、とか議論は白熱、現代でも厚労省の統計改ざんがあるのに古代インドでは大変でしょう。議論が煮詰まって、結局なんとな~く50年に決まったのかも。もし会議の議事録があるなら見てみたいものです。
ちなみに、天道の上のほうに行くと、1日が人間の800年に相当するなど、スケールアップするそうです。
というわけで、仏像ファンのみなさまは、もし「寿命が50年だった」という人がいたら「いやいや、それには深い理由があってね」と説明してあげてください。
ウザがられるかもしれないけど(笑)、仏像ウンチクとしては知っておくと楽しいんじゃないでしょうか。
そんな中、新刊著書は着々と製本作業進んでいます (追記:現在は発売中です!)。
今回のような仏像ウンチクもいろいろ載せました。
前著『仏像にインタビュー』から10年かかりましたが、たくさんの人のおかげでまた本が出せるとは。感謝しています。
ここの連載でも、いろいろ仏像ウンチク紹介していきたいと思います。これからもお付き合いいただければ。
---おしらせ---
本コラム著者・宮澤やすみ出演
宮澤やすみの「小唄かふぇ Vol.25」
三味線奏者で小唄師範でもある宮澤やすみの三味線ライブ。
江戸の小唄をわかりやすい解説トークと共にお届けします。
ゲストに短歌の大御所・福島泰樹さんを迎え一夜限りのセッションも。
寺山修司の世界を短歌で歌いあげます。
2月20日(水)19:00開場 20:00開演
ワロスロードカフェ
(JR御徒町、地下鉄上野御徒町・上野広小路・湯島)
http://yasumimiyazawa.com/koutacafe/