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富士山五合目まで車で行ける深い理由と富士講の話 -その1-

こんにちは。仏像バンド「宮澤やすみ and The Buttz」の2ndアルバム『末法思想』が完成し、注文に応じて特別な手書きジャケットを作っている宮澤やすみです。

さて、世間は夏休みだそうで、都内も少し静かな雰囲気になっています。
そんな中、8月は「山の日」という祝日がありますね。

夏山登山のシーズンでもありますが、富士山はやっぱり賑わうでしょうね。五合目まで車で気軽に行けますし。

そこでクイズ?なんですけど、ではなぜ富士山では、五合目まで車で行けて気軽な感じなのでしょうか?

スーパーひとし君を出せる人はいるでしょうか。

これ、仏像や仏教好きの人ならわかってもらえる、仏教ウンチクがあるんです。

昔は、山に登るというのは山岳信仰に基づく修行の場でもあったのでした。
なかでも、富士山は修験道の行場として栄え、江戸時代には「富士講」と呼ばれる集団がさかんに富士登山をしたそうです。
「お伊勢参り」も盛んでしたけど、それに並んで流行した信仰+レジャーの活動が富士登山です。

その富士講の方々は、頂上をめざすのもあったけど、五合目のところをぐるりと一周めぐる「御中道(おちゅうどう、ごちゅうどう)」というルートを歩くこともしたそうです。

なぜ五号目なのか?

秘密を解くには、仏教の世界観を知る必要があります。

仏教では、人間が輪廻を繰り返す世界を6段階に分けていました。それが「六道」といいます。

いちばん酷い世界が、ご存知「地獄」。
六道を上から並べると、

■天(人より少しマシな世界)
■人(人間の世界)
■修羅(争いが絶えない世界)
■畜生(本能の欲望むきだしの世界)
■餓鬼(飢えと渇きの世界)
■地獄(ごぞんじ地獄の世界w)

となります。

ちなみに、仏像の「天部」は「天」道に住むとされます。
この連載でも以前こんなふうに書きました↓

四天王と織田信長の深い関係?

はい、ではクイズの答えはもう見えてきましたね。

山岳信仰では、山全体を仏教世界になぞらえて十段階の階層を決めました。

下から数えて5番目の世界は、「人」道。
山の五合目とは、まさに人間が居る俗世界とされ、それより上は聖なる場とされたのでした。

江戸時代の富士登山図を見ると、五合目と六合目の間に「天地別(てんちのわかれ)」と書かれていて、信仰上重要な境界だったそうです。

この「天地別」のラインは、人間界と天界の境目。このギリギリなところを廻るのが、富士山の「御中道」ルートなんですね。

昭和39年(1964年)に、山梨の吉田口ルートに有料道路が開通しましたが、その終点は五合目。そこは、江戸時代から富士講登山の玄関口として機能していた拠点でした。

道路開発のときに、山岳信仰の意味がどこまで考慮されたのかわかりませんが、先人たちが五合目まで手を入れていたことが、五合目駐車場につながっていると思います。
(令和元年現在、電車計画も上がっているそうですが、実現するかどうか)

そんな五合目の深い意味、お分かりいただけたでしょうか。

そして、新たな疑問があります。

六合目まではわかったけど、その上の七~十合目はどういうことよ、という話。

仏教では、「六道」の話は有名ですけど、じつはその上にまだまだあるんですよね。
この上のほうの世界を「四聖」といいまして、六と四を合わせて「十界」といいます。
ややこしいよね。

今回はここまで。つづきは次回!


六道を守護するとされる六観音 (大報恩寺にて許可を得て撮影)

---おしらせ---

本コラム著者・宮澤やすみ出演
【宮澤やすみの”小唄かふぇ” Vol.27】
8/23(金) 20:00開演(19:00開場)
上野御徒町ワロスロード・カフェにて
ゲスト:バロン(ヴォードヴィリアン)

昭和レトロな雰囲気いっぱいのカフェで、
気軽に小唄と三味線を楽しむ「小唄かふぇ」。
ゲストのバロンさんは、ウクレレを手に風刺の効いた小粋な歌とタップダンス。
バロンさんが、小唄かふぇをモンマルトルの酒場に変えてくれることでしょう。
いっぽう小唄も「粋」なら負けません。夏の夜、東西の小粋な歌で心をほぐしてください。

詳細はWEBサイト
http://yasumimiyazawa.com/koutacafe/