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未公開写真でつづる仏旅傑作選 温泉寺の十二神将と破損仏の美

”破損仏とかトルソー仏は、現代仏像ファンの琴線に触れる、特別の美しさがあります……”
神仏研究家・音楽家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。

こんにちは。自身初のソロアルバム制作が決定し、長時間レコーディングの荒行を先日終えた宮澤やすみです。あらゆる仕事が中止されるなか、手を差し伸べてくれる人がいるのは何よりありがたいことです。

そんな中、先々週からひとつ飛ばして未公開写真でつづる城崎温泉の旅です。

城崎温泉にある温泉寺。天平~平安初期とおぼしきご本尊については過去記事で3回にわたって紹介。
さらに先々週では金剛力士を紹介。

しかし、まだまだ見どころがあるのでした。

境内の宝物館(現在は「城崎町美術館」と名称変更)をのぞかせていただくと、さまざまな歴史資料や仏像がぎっしり。
撮影許可いただいて、いくつかご紹介。


下の写真は、山麓の薬師堂の本尊だった薬師如来。
小さい像ながら、もりあがる螺髪、ふくらみのある両目まぶた、張った肩、厚い胸板に引き締まった腰つきなど、平安時代らしい力のみなぎった造形が見られます。かっこいいです。


温泉寺薬師堂の元本尊・薬師如来

そして薬師如来を取り巻いていた十二神将たち。現在は8体残っています。
極端な腰のくびれ具合とかぎこちない胴体が、お人形さんのようでかわいいですね。江戸時代の作。


破損しながらもよく残った十二神将

谷岡ヤスジのマンガに出てきそうな素朴で豪快な顔立ちが、地方仏らしい魅力にあふれています。


下々を見下ろすまなざしがイイ

館内には、ぼろぼろに朽ちた「破損仏」もたくさん。これがまたすばらしい。
破損仏とかトルソー仏は、現代仏像ファンの琴線に触れる、特別の美しさがありますね。ぼろぼろに朽ちた部分と、かろうじて一部残った美しい顔立ちや衣服の部分との間に、時代の荒波に耐えてきた時間とストーリーを感じます。


平安時代にさかのぼる貴重な仏像群。温泉寺最盛期の名残

これらは前回記事でも触れた、明治初期の廃仏毀釈が関連しているようです。
近隣で廃絶された寺の仏像を引き取ったとも、温泉寺が最も栄えた時代の温泉寺六坊にあった仏像ともいわれています。

これらのほかにも、鎌倉時代のなかなかイケメンな毘沙門天と吉祥天。それに温泉寺鎮守の神を表した神像(鎌倉期の像で、人間的な顔立ちをしたすばらしい像)などなど、仏像ファンがうなるすばらしいコレクションがありました。

仏像以外にも、印刷された音楽譜では世界最古とされる『文明4年版 声明集』や、古代から江戸期まで地域の歴史を物語る資料がたくさん。


地方のお寺でよく見る一休さん的な案内坊や看板が、旅の味わいを深めます(笑)

全国の温泉地には、温泉の効能を守護する神社や”温泉寺(名称がちがう場合も)”がありますが、城崎温泉の温泉寺は、その中でも非常に古い歴史がある、全国温泉寺の総元締のようなところに思いました。

城崎温泉を訪れた際は、カニと温泉もいいけど、仏像もぜひお忘れなく。



(過去記事)
33年に一度の開帳!城崎温泉の秘仏に逢う -その2-
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20191217-2/

(参考)
城崎温泉 温泉寺「城崎町美術館」
http://www.kinosaki-onsenji.jp/guide/museum.html



●おしらせ

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アルバムジャケットは飛鳥・橘寺の風景



宮澤やすみ公式サイト:http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター:https://twitter.com/yasumi_m