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神仏習合さんぽ 観音-神社-古墳がつながる聖地・多摩川浅間神社
”仏教の観音像を、神道系の山の神(浅間さま)として祀り、その称号が「浅間大菩薩」という……”
神仏研究家・音楽家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。
こんにちは。年明け1/13発売のソロアルバムのジャケットデザインが決定しました宮澤やすみです。こんどお見せしたいと思います。
さて、東京都は起伏に富んだ地形でありますが、ここ大田区多摩川台公園は、川から急激にせり上がる高台が特徴的です。
古代からこの地形だったようで、古代の遺跡とくに古墳が多く残っています。
現在は公園になっていて、地元の家族連れがのんびり憩う場所なんですけど、そのあちこちに古代史上重要な古墳があるんですよね。
その南端に位置する、興味深いスポットが、多摩川浅間(せんげん)神社です。
映画『シンゴジラ』で自衛隊作戦本部が置かれた場所としても有名ですが、この神社、前方後円墳の墳頂に築かれているんだそうですよ。
古墳の墳丘上に建つ社殿
調査によると、ちょうど後円部のまんなかに社殿があるそう。
後円部といえば埋葬施設がある一番要の部分です。そこに、あとになって山の神(浅間神社の神)を祀ったということになります。
時間軸でいうと、古墳はもちろん古墳時代の遺構、浅間神社は鎌倉時代の建立。当時の人が神社を建立するとき、ここが大事な場所であることを知っていたんでしょうか。
富士塚を思わせるごつごつした石段を上って参拝
浅間神社というのは、富士山を神として信仰する神社です。
神社境内から多摩川方向に舞台づくりのテラスがあって、そこから富士山がばっちり眺められました。
夕日と共に見える富士山のシルエットに、昔の人は神聖なものを感じたのでしょうか。
山岳聖地・大山(左)と富士(右)の間に夕日が沈んでいく
神社の創建伝承でもそんな様子が出てきて興味深いです。
時は文治年間(1185~90)、源頼朝のあとを追ってこの地を訪れた北条政子が、この高台で富士山を拝んで、持っていた「正観世音像」を祀った。
村人はこれを「富士山浅間大菩薩」と称して拝んだといい、これが現在の多摩川浅間神社のはじまりです。
(現在のご祭神は木花咲耶姫命:このはなさくやひめのみこと です)
この連載では、神仏習合をテーマにした話が多いですけど、ここもすごいエピソードですね。
仏教の観音像を、神道系の山の神(浅間さま)として祀り、その称号が「浅間大菩薩」というまさに神仏習合的な名前になっている。
しかも、その立地が古代の古墳にあるというのだから、日本の聖なるものがぜんぶあるという状態。
「神仏ぜんぶ乗せ」トッピングとでもいいたくなる、歴史ロマンにあふれた場所です。
しかも、このエピソードを裏付けるようなことが起こります。
江戸時代の承応元年(1652)、神社境内地の工事で「唐銅製の観音像」が出土。
欠損していた片足を補足してお祀りしたとのこと。
繰り返しますが、この土地は古墳です。ハニワが見つかるならまだしも、観音像が出てくるとは?
こうしたエピソードが、多摩川のほかの古墳でもあったのでした。それは次週。
地元の人が夕焼けの絶景を見に集まってくる
(参考)
大田区HP 浅間神社と浅間神社古墳
https://www.city.ota.tokyo.jp/shisetsu/rekishi/minemachi_denenchoufu/sengenjinjya_kofun.html
(過去記事)
富士山五合目まで車で行ける深い理由と富士講の話 -その1-
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20190806-2/
それでは聴いてください。
クイーンで、「神々の業(Revisited)」。
●おしらせ
本コラム筆者・宮澤やすみ出演
1.
【ひとりワロス Vol.2】
新型コロナで出番を失った宮澤やすみの、気ままなソロライブを配信。
三味線で洋楽カバーに懐かしポップ。お江戸の小唄も。
11月11日(水)19:15~生配信。
※開演後いつでも見られます
https://youtu.be/ZZvZfcNx1Kk
※会場観覧も歓迎です(上野御徒町ワロスロードカフェ。18:30会場)
2.
本コラム筆者・宮澤やすみの”仏像バンド”ことThe Buttz(ザ・ブッツ)
新譜音源発売中
「日本書紀」成立1300年記念
飛鳥をテーマにしたミニアルバム『欣喜雀躍』。
ご購入いただけると活動存続の助けになります。応援よろしくお願いいたします。
↓↓↓
http://yasumimiyazawa.com/buttz/buybuttz.html
アルバムジャケットは飛鳥・橘寺の風景
宮澤やすみ公式サイト:http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター:https://twitter.com/yasumi_m
神仏研究家・音楽家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。
こんにちは。年明け1/13発売のソロアルバムのジャケットデザインが決定しました宮澤やすみです。こんどお見せしたいと思います。
さて、東京都は起伏に富んだ地形でありますが、ここ大田区多摩川台公園は、川から急激にせり上がる高台が特徴的です。
古代からこの地形だったようで、古代の遺跡とくに古墳が多く残っています。
現在は公園になっていて、地元の家族連れがのんびり憩う場所なんですけど、そのあちこちに古代史上重要な古墳があるんですよね。
その南端に位置する、興味深いスポットが、多摩川浅間(せんげん)神社です。
映画『シンゴジラ』で自衛隊作戦本部が置かれた場所としても有名ですが、この神社、前方後円墳の墳頂に築かれているんだそうですよ。
古墳の墳丘上に建つ社殿
調査によると、ちょうど後円部のまんなかに社殿があるそう。
後円部といえば埋葬施設がある一番要の部分です。そこに、あとになって山の神(浅間神社の神)を祀ったということになります。
時間軸でいうと、古墳はもちろん古墳時代の遺構、浅間神社は鎌倉時代の建立。当時の人が神社を建立するとき、ここが大事な場所であることを知っていたんでしょうか。
富士塚を思わせるごつごつした石段を上って参拝
浅間神社というのは、富士山を神として信仰する神社です。
神社境内から多摩川方向に舞台づくりのテラスがあって、そこから富士山がばっちり眺められました。
夕日と共に見える富士山のシルエットに、昔の人は神聖なものを感じたのでしょうか。
山岳聖地・大山(左)と富士(右)の間に夕日が沈んでいく
神社の創建伝承でもそんな様子が出てきて興味深いです。
時は文治年間(1185~90)、源頼朝のあとを追ってこの地を訪れた北条政子が、この高台で富士山を拝んで、持っていた「正観世音像」を祀った。
村人はこれを「富士山浅間大菩薩」と称して拝んだといい、これが現在の多摩川浅間神社のはじまりです。
(現在のご祭神は木花咲耶姫命:このはなさくやひめのみこと です)
この連載では、神仏習合をテーマにした話が多いですけど、ここもすごいエピソードですね。
仏教の観音像を、神道系の山の神(浅間さま)として祀り、その称号が「浅間大菩薩」というまさに神仏習合的な名前になっている。
しかも、その立地が古代の古墳にあるというのだから、日本の聖なるものがぜんぶあるという状態。
「神仏ぜんぶ乗せ」トッピングとでもいいたくなる、歴史ロマンにあふれた場所です。
しかも、このエピソードを裏付けるようなことが起こります。
江戸時代の承応元年(1652)、神社境内地の工事で「唐銅製の観音像」が出土。
欠損していた片足を補足してお祀りしたとのこと。
繰り返しますが、この土地は古墳です。ハニワが見つかるならまだしも、観音像が出てくるとは?
こうしたエピソードが、多摩川のほかの古墳でもあったのでした。それは次週。
地元の人が夕焼けの絶景を見に集まってくる
(参考)
大田区HP 浅間神社と浅間神社古墳
https://www.city.ota.tokyo.jp/shisetsu/rekishi/minemachi_denenchoufu/sengenjinjya_kofun.html
(過去記事)
富士山五合目まで車で行ける深い理由と富士講の話 -その1-
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20190806-2/
それでは聴いてください。
クイーンで、「神々の業(Revisited)」。
●おしらせ
本コラム筆者・宮澤やすみ出演
1.
【ひとりワロス Vol.2】
新型コロナで出番を失った宮澤やすみの、気ままなソロライブを配信。
三味線で洋楽カバーに懐かしポップ。お江戸の小唄も。
11月11日(水)19:15~生配信。
※開演後いつでも見られます
https://youtu.be/ZZvZfcNx1Kk
※会場観覧も歓迎です(上野御徒町ワロスロードカフェ。18:30会場)
2.
本コラム筆者・宮澤やすみの”仏像バンド”ことThe Buttz(ザ・ブッツ)
新譜音源発売中
「日本書紀」成立1300年記念
飛鳥をテーマにしたミニアルバム『欣喜雀躍』。
ご購入いただけると活動存続の助けになります。応援よろしくお願いいたします。
↓↓↓
http://yasumimiyazawa.com/buttz/buybuttz.html
アルバムジャケットは飛鳥・橘寺の風景
宮澤やすみ公式サイト:http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター:https://twitter.com/yasumi_m