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仏像との豊かなファーストコンタクトのために

”現在はコロナで大変ですが、きっとこの先、この本が役に立つだろうと思ってます……”
神仏研究家・音楽家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。

こんにちは。コロナで外出ままならず、音楽の出演もひと段落、家でやれることをと思い立ちB級映画を観まくって一日ムダにしてしまった宮澤やすみです。たまにはこんな日もいいものです。

そんな中、今年出した仏像の本についてです。タイトルは『仏像”ここ見て”調査隊』。
誰も気づいていないと思いますが、昨年末に「京都編」、今年に「奈良編」がすでに刊行されているんですよね。誰も気づいてないと思って今書きました。


左が「京都編」、右が「奈良編」の表紙

イラスト豊富で、初心者が旅先で仏像に向き合ったとき、まずは「ココ見て!」というポイントを指し示しました。
仏像ファンの方なら当たり前の話でも、初心者にとってはちんぷんかんぷんなもの。
まずは、とっかかりとして、「ここ見て」と指し示すことで、やっと人は、
「なんか知らんけど大きいずんぐりした像があったな」
じゃなくて、
「阿弥陀さんの手、オッケーみたいな形してんのな」
などと認識することになるのです。

初心者と書いたけど、ファンの方も、意外に知らなかった、知ったつもりになっていた、ってことも、あるかもしれませんよ。


わりとマニアックな事項も散りばめています

また、この本はサブタイトルに「修学旅行が楽しくなる」とありまして、本来は中高生を対象にして作りました。

この本制作と合わせて、わたくし奈良の法隆寺に赴き(この連載で書きました)、中学生修学旅行の団体が通るのをずっと観察しました。
こういうとき、オーラが無いわたしのようなキャラが役立ちます。法隆寺夢殿の扉の横で、だれにも存在を察知されずに、バス五台分くらいの修学旅行生の会話を聞いてました(いや、ヘンなおじさんいるなとか思われてたかな)。

そうすると、ほとんどの中学生は、


法隆寺・夢殿で「張り込み」しました

「おー」
「おー!」

という声だけで素通り。その感嘆の声はいいんだけど、何に対しての「おー」なのか、その先の一言を聞きたかった。思うことはあるのかもしれないけど、友達のいる前で言いづらいよね。みんな数秒の流し見だったし、よほどその場で捕まえてインタビューしようかと思ったけど耐えました。
あとは、

「金ピカだー」

が2割くらい。これもあと一歩。せめてあと10秒でも向き合ってくれたら、もう少し印象が深まったんじゃないでしょうか。
(それにしても、夢殿救世観音は照明の工夫もあってか昔よりはるかに金ピカに見えました)

ある子からは、
「教科書で見た、なんだっけ?」
という声。これ、中高年の仏像ツアーでもよくある声で、写真でみた記憶の「確認」で終わっててもったいない。写真との印象のちがいを考えるといいですよ。

流れ作業のように、立ち止まらずざーっと眺めていくだけなので、その程度しかないのも仕方ないでしょう。

でも、あまりにももったいない、仏像とのファーストコンタクトだと思いませんか。
よほど「いやこれはすごい仏像で」と中学生たちを捕まえて話したかったのですが、不審者扱いされるのでやめときました。


思い返せば、自分も中学の修学旅行で京都奈良へ行きました。
小学生のときに思い入れのあった法隆寺は個人的にワクワクしましたが、京都の三十三間堂とか清水寺になるともう惰性で、八ツ橋の押し売りから逃げながら歩いたことしか覚えてないです。

せめて、事前に少しでも学習して臨めば、印象が変わったんでしょうが、当時はそういうのが無く、先生方も、トラブルなく旅を終えることだけで精一杯だったように思えます(ちょっと学校が荒れてた時代だったので)。

現在は、荒れる学校は減ってると思いますが、先生方は多忙すぎて事前学習のための準備も大変でしょう。
でも、子供たちのことを思えば、ただ素通りして木刀やキーホルダー買って帰るだけじゃなく、それなりに得るものを得て帰ってきてほしい。
そんなとき、『仏像”ここ見て”調査隊』があれば子供たちは楽しく読んで、先生方もラク、というわけです。

わかりやすく丁寧なイラストで、奈良の大仏や三十三間堂の観音など、基本的な仏像の”ここ見て”を解説しています。
なんと、全部で48ページしかない薄さ(笑)。子供でもさーっと読めてしまいます。

大人の仏像ファンの方も、もういちどおさらいという意味で、ご覧になってみてはいかがですか。
全国の図書館に広めているので、地元の図書館で請求してください。

もしくは、お子さんやお孫さんへのプレゼントにどうぞ。

現在はコロナで大変ですが、きっとこの先、この本が役に立つだろうと思ってます。
そんなに急いで売る本でもないので、この先何年もかけて広まればいいなと思います


各仏像の特徴をとらえた丁寧なイラストがすごくわかりやすく、まさにいい仕事してくれています

ちなみに、著者は中村文人さん、わたしは最初のネタ出しと監修の立場。
このコンビでは、過去に『東京社用の手みやげ』、『仏像の光と闇』(どちらも宮澤やすみが著者、中村さんが編集)で、大人向けのシックな本を出してます。
今回は180度シフトしたように見えますが、中村さんは絵本作家という顔ももっており、子供向けの本も得意分野なんですよね。
わたしも将来ある子供に向けて伝えたいと思っていたところでこの仕事。
薄い本の中に思い入れが存分に詰まっています。



それでは聴いてください。
米津玄師で「TEENAGE RIOT」



宮澤やすみ監修 中村文人著
『仏像”ここ見て”調査隊 奈良編』
『仏像”ここ見て”調査隊 京都編』
くもん出版から発売中
https://amzn.to/3dDMYpn



(過去記事)
仏像の殿堂・法隆寺で原点に帰る
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20191203-2/




(おしらせ)本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報

1.
宮澤やすみソロアルバム発売中
『SHAMISEN DYSTOPIA シャミセン・ディストピア』
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(ネット決済のほか、銀行振込、郵便振替も対応)




宮澤やすみ公式サイト:http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター:https://twitter.com/yasumi_m