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第269回 熊本が生んだヒーロー加藤清正公が疫病退散の「せいしょこさん」になるまで
”なぜか疫病退散の神として庶民から信仰を集めたそうです。なぜでしょうか?--”
神仏研究家・音楽家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。
明けましておめでとうございます。2022年年明け早々、ソロライブ「ひとりワロス」を終えてぐったりしている宮澤やすみです。
まあいつもだいたいぐったりしてるんですけども。今年もよろしくお願いします。
さて、先月の年末は駆け込みでいろんな仕事をさせていただき、熊本にも行ってきました。
現地へ前乗りして、行ってきたのは熊本城。
震災からの復興工事中ですが、天守閣はかなりきれいに修復され、特別見学ルートを巡ってきました。
特別見学ルートから、本丸の美しい石垣を見る。奥に大天守
マニアの多い城界隈ですが、自分は素人。今回たくさん勉強させてもらいました。思わず城マニアになってしまいそうです。
数寄屋丸大広間。まだ石垣の痛々しい損傷が見えます
天守の見学を終えると、その北側にあるのが加藤神社。
熊本城の原型を造った加藤清正を祀る神社です。
この清正公、江戸時代後期には、なぜか疫病退散の神として庶民から信仰を集めたそうです。なぜでしょうか?
加藤神社正面
加藤清正は、豊臣秀吉の家臣として大活躍。
秀吉が九州を平定すると、天正16年(1588年)肥後国(熊本)の藩主となり、以降、慶長16年(1611年)まで現在の熊本城と城下町の原型を造ります。
清正公銅像
没後は市内の本妙寺に埋葬され、幕末には熊本城内でも神道形式で魂が祀られました。これが加藤神社の原型(錦山神社)です。
明治の神仏分離によって、本妙寺とのつながりは薄れますが、加藤神社と改称して現在に至ります。
加藤神社社殿
勇猛で頼りがいのある武将として多くの人に慕われ、熊本市民のヒーローとして神格化されていた加藤清正ですが、江戸時代にコレラが流行ると、江戸を中心に疫病退散の神として祀られるようになります。
加藤神社境内から熊本城天守閣を望む
その理由は、じつははっきりとは分かっていないのですが、一説には清正が朝鮮出兵のときに虎を退治した逸話をもとに、コレラを「虎狼狸」と書いたことから、虎退治=コレラ退治の願掛けがされたといいます。
また、一説には、墓所のある本妙寺が籟病患者の信仰を集めた寺でもあり、病除けの願いが込められたとも言われます。
お守り授与所で見つけたくまモンだるま
うわさがうわさを呼んで、疫病が流行る江戸市中では「(清正公)せいしょこさん」と呼ばれて盛んに拝まれたそうです。
疫病の神として描かれた清正公手形絵-加藤神社Facebookより
東京都内での清正信仰の中心は、現在の港区白金台にある覚林寺。
清正朝鮮出兵の際に来日した朝鮮半島の僧、日延(李氏朝鮮国王の長男)を開山とする日蓮宗の寺院です。
現在も権現づくりの豪壮な清正公堂が建っていて、勝負祈願の寺として信仰を集めています。
東京港区・白金台の覚林寺は入り口からすでにカッコいい。奥に清正公堂。ちなみに付近のバス停は「清正公前」という名前
この熊本滞在は、活動写真弁士・片岡一郎さん(前々回連載を参照)の九州公演ツアーに、三味線奏者として同行したものでした。熊本市内の伝統ある映画館・Denkikanさんでサイレント映画を片岡氏の活弁と私の生演奏で上演しました。
会場前に大きく掲げられたポスター。左下にわたくしの写真と紹介も
それでは聴いてください。
サトウトモミで「TOKYO」。
参考
熊本城公式サイト
https://castle.kumamoto-guide.jp/
加藤神社公式サイト
http://www.kato-jinja.or.jp/
100年前の映画に登場する三尺阿弥陀(過去記事)
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20211222-2/
---おしらせ---
(おしらせ)本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報
1.
(オンライン配信あり)
■魅惑の仏像:造る、見る、拝む トークショー
観賞用仏像「イスム仏像」のプロデューサーをお招きして、
仏像の「造る」「見る」「拝む」を語る仏像トーク。遠方の方はオンラインで。
https://www.ync.ne.jp/jiyugaoka/kouza/202201-18010097.htm
よみうりカルチャー自由が丘
2.
日本書紀を歌った新作MV「欣喜雀躍」宮澤やすみ アンド・ザ・ブッツ
宮澤やすみYoutubeチャンネル
https://www.youtube.com/c/YasumiMiyazawa/
3.
宮澤やすみソロアルバム発売中
『SHAMISEN DYSTOPIA シャミセン・ディストピア』
購入は「やすみ直販」で
http://yasumimiyazawa.com/direct.html
(ネット決済のほか、銀行振込、郵便振替も対応)
宮澤やすみ公式サイト:http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター:https://twitter.com/yasumi_m
神仏研究家・音楽家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。
明けましておめでとうございます。2022年年明け早々、ソロライブ「ひとりワロス」を終えてぐったりしている宮澤やすみです。
まあいつもだいたいぐったりしてるんですけども。今年もよろしくお願いします。
さて、先月の年末は駆け込みでいろんな仕事をさせていただき、熊本にも行ってきました。
現地へ前乗りして、行ってきたのは熊本城。
震災からの復興工事中ですが、天守閣はかなりきれいに修復され、特別見学ルートを巡ってきました。
特別見学ルートから、本丸の美しい石垣を見る。奥に大天守
マニアの多い城界隈ですが、自分は素人。今回たくさん勉強させてもらいました。思わず城マニアになってしまいそうです。
数寄屋丸大広間。まだ石垣の痛々しい損傷が見えます
天守の見学を終えると、その北側にあるのが加藤神社。
熊本城の原型を造った加藤清正を祀る神社です。
この清正公、江戸時代後期には、なぜか疫病退散の神として庶民から信仰を集めたそうです。なぜでしょうか?
加藤神社正面
加藤清正は、豊臣秀吉の家臣として大活躍。
秀吉が九州を平定すると、天正16年(1588年)肥後国(熊本)の藩主となり、以降、慶長16年(1611年)まで現在の熊本城と城下町の原型を造ります。
清正公銅像
没後は市内の本妙寺に埋葬され、幕末には熊本城内でも神道形式で魂が祀られました。これが加藤神社の原型(錦山神社)です。
明治の神仏分離によって、本妙寺とのつながりは薄れますが、加藤神社と改称して現在に至ります。
加藤神社社殿
勇猛で頼りがいのある武将として多くの人に慕われ、熊本市民のヒーローとして神格化されていた加藤清正ですが、江戸時代にコレラが流行ると、江戸を中心に疫病退散の神として祀られるようになります。
加藤神社境内から熊本城天守閣を望む
その理由は、じつははっきりとは分かっていないのですが、一説には清正が朝鮮出兵のときに虎を退治した逸話をもとに、コレラを「虎狼狸」と書いたことから、虎退治=コレラ退治の願掛けがされたといいます。
また、一説には、墓所のある本妙寺が籟病患者の信仰を集めた寺でもあり、病除けの願いが込められたとも言われます。
お守り授与所で見つけたくまモンだるま
うわさがうわさを呼んで、疫病が流行る江戸市中では「(清正公)せいしょこさん」と呼ばれて盛んに拝まれたそうです。
疫病の神として描かれた清正公手形絵-加藤神社Facebookより
東京都内での清正信仰の中心は、現在の港区白金台にある覚林寺。
清正朝鮮出兵の際に来日した朝鮮半島の僧、日延(李氏朝鮮国王の長男)を開山とする日蓮宗の寺院です。
現在も権現づくりの豪壮な清正公堂が建っていて、勝負祈願の寺として信仰を集めています。
東京港区・白金台の覚林寺は入り口からすでにカッコいい。奥に清正公堂。ちなみに付近のバス停は「清正公前」という名前
この熊本滞在は、活動写真弁士・片岡一郎さん(前々回連載を参照)の九州公演ツアーに、三味線奏者として同行したものでした。熊本市内の伝統ある映画館・Denkikanさんでサイレント映画を片岡氏の活弁と私の生演奏で上演しました。
会場前に大きく掲げられたポスター。左下にわたくしの写真と紹介も
それでは聴いてください。
サトウトモミで「TOKYO」。
参考
熊本城公式サイト
https://castle.kumamoto-guide.jp/
加藤神社公式サイト
http://www.kato-jinja.or.jp/
100年前の映画に登場する三尺阿弥陀(過去記事)
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20211222-2/
---おしらせ---
(おしらせ)本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報
1.
(オンライン配信あり)
■魅惑の仏像:造る、見る、拝む トークショー
観賞用仏像「イスム仏像」のプロデューサーをお招きして、
仏像の「造る」「見る」「拝む」を語る仏像トーク。遠方の方はオンラインで。
https://www.ync.ne.jp/jiyugaoka/kouza/202201-18010097.htm
よみうりカルチャー自由が丘
2.
日本書紀を歌った新作MV「欣喜雀躍」宮澤やすみ アンド・ザ・ブッツ
宮澤やすみYoutubeチャンネル
https://www.youtube.com/c/YasumiMiyazawa/
3.
宮澤やすみソロアルバム発売中
『SHAMISEN DYSTOPIA シャミセン・ディストピア』
購入は「やすみ直販」で
http://yasumimiyazawa.com/direct.html
(ネット決済のほか、銀行振込、郵便振替も対応)
宮澤やすみ公式サイト:http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター:https://twitter.com/yasumi_m