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第285回 富士山”下山仏”に会いにいく旅 その1
”噴火口を巡りながら8尊の仏を祈る「お鉢巡り」をするように--”
神仏研究家・音楽家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。
こんにちは。先日はひさしぶりのラジオ出演だった宮澤やすみです。静岡SBSラジオ「ラジオイースト」で、バンドThe Buttzの曲などもかけてもらえました。
さて、静岡といえば富士山です。
富士山は、世界遺産に登録されています。
それも「世界自然遺産」でなく「世界文化遺産」として登録されている点が重要で、たんなる自然豊かな山ではなく、富士山を取り巻く人々の信仰の歴史がユネスコに認められた点が、我々神仏ファンには重要なところだと思います。
その拠点のひとつである富士宮に行ってきました。
ここには、富士山に祀られていた仏像、通称「富士下山仏」があるのです。なぜ下山したのかは後ほど。
世界遺産センター。富士山への信仰を表現したのか巨大な鳥居がある
東京から富士宮へ日帰りの小旅行。
目当てのスポットは
1.富士山世界遺産センター
2.富士宮本宮浅間神社
3.富士下山仏の見学と地酒
です。はやく地酒に行きたいのだけど、順番にいきましょう。
駅から西へ数百メートル歩いてまずは「静岡県富士山世界遺産センター」へ。
県の事業で建てられた富士山の資料館で、世界遺産登録の条件を守っていくために”世界遺産を「保護し、保存し、整備し及び将来の世代へ伝えることを確保する」拠点施設であり、学術調査機能などを併せ持つ施設”(公式サイトより)だそうです。
木組みはただのオブジェかと思ったら、その中に入って上るという、斬新な順路構成
写真に見える、すり鉢型の木組みの建築物の中が、常設展示室になっていて、富士登山の光景をタイムラプス映像で見ながら、らせん状のスロープをゆっくり上っていきます。
上るにしたがって、映像も7合目、8合目、頂上と変わっていって、最後まで行くと富士登頂気分が味わえるという仕組み。
途中のフロアに、信仰にまつわる展示や、富士を描いた水墨画、能などの紹介があり、富士山の文化遺産としての側面を勉強できます。
レジャーとしての富士登山がなされたのは、西洋文化が入ってきた明治以降のこと。
それまでは、富士山は信仰の山であったということは、神仏ファンならよくご存じのことではないでしょうか。
古くは万葉集にも歌われ、聖徳太子が富士まで飛んできたという伝承があるように、古代から富士は霊山として都人にも尊ばれてきました。
センター上階のテラスから、富士山がどーんと見えるはずが、あいにくの天気。しかし、ご安心を↓
晴天時は雄大な富士山がこんなふうに見えるそう。テラス設置のパネルより
仏教が広まると、富士山は密教の聖地とされて、山頂の噴火口を胎蔵曼荼羅の中心「中台八葉院」に見立てるようになります。
巡礼者は外周約2.4kmある噴火口を巡りながら8尊の仏を祈る「お鉢巡り」をするようになりました。
富士山がなぜ五合目まで車で行けるのかという話は、この連載で以前ご紹介しました。
仏教世界の「十界(六道と四聖)」という階層になぞらえると五層めがちょうど「人道(にんどう)」にあたりそれ以上は聖域になるからと言われます。
頂点である十層めは「如来」つまり完全な悟りを開いて仏になったものが住む世界とされ、富士山の火口=十合目は、行者にとって仏の世界です。
近代的な登山設備が無い中で命がけで山頂にたどり着いた行者のきもちは、私のような凡人にはわかりませんが、天竺に到着した三蔵法師の気分、みたいなものでしょうか。
そんなこんなで、富士山は神仏とりまぜて信仰の一大拠点として発展し、現在でも八合目以上は富士山本宮浅間大社の境内地(奥宮)となっています。
富士山に祀られていたなぞの「下山仏」との出逢いももうすぐ。富士宮焼きそばも絶対食べます!
その本宮が、ここ富士宮にあり、ここも参拝してみましょう。
それでは聴いてください。
電気グルーヴで、「富士山」。
静岡県富士山世界遺産センター
https://mtfuji-whc.jp/
(過去記事)
富士山五合目まで車で行ける深い理由と富士講の話
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20190806-2/
---おしらせ---
(おしらせ)本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報
1.
第二回「カツベン映画祭」
2022/6/3(金)新宿武蔵野館
宮澤やすみは、14:00「天保泥絵草子」で三味線生演奏。
http://shinjuku.musashino-k.jp/news/24757/
2.
宮澤やすみソロライブ「ひとりワロス」
2022/7/24(日)15:30開演
上野広小路/御徒町 ワロスロード・カフェ
本職の小唄など三味線音曲をゆるりと。詳細後日。
2.
日本書紀を歌った新作MV「欣喜雀躍」宮澤やすみ アンド・ザ・ブッツ
宮澤やすみYoutubeチャンネル
https://www.youtube.com/c/YasumiMiyazawa/
3.
宮澤やすみソロアルバム発売中
『SHAMISEN DYSTOPIA シャミセン・ディストピア』
購入は「やすみ直販」で
http://yasumimiyazawa.com/direct.html
(ネット決済のほか、銀行振込、郵便振替も対応)
宮澤やすみ公式サイト:http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター:https://twitter.com/yasumi_m
神仏研究家・音楽家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。
こんにちは。先日はひさしぶりのラジオ出演だった宮澤やすみです。静岡SBSラジオ「ラジオイースト」で、バンドThe Buttzの曲などもかけてもらえました。
さて、静岡といえば富士山です。
富士山は、世界遺産に登録されています。
それも「世界自然遺産」でなく「世界文化遺産」として登録されている点が重要で、たんなる自然豊かな山ではなく、富士山を取り巻く人々の信仰の歴史がユネスコに認められた点が、我々神仏ファンには重要なところだと思います。
その拠点のひとつである富士宮に行ってきました。
ここには、富士山に祀られていた仏像、通称「富士下山仏」があるのです。なぜ下山したのかは後ほど。
世界遺産センター。富士山への信仰を表現したのか巨大な鳥居がある
東京から富士宮へ日帰りの小旅行。
目当てのスポットは
1.富士山世界遺産センター
2.富士宮本宮浅間神社
3.富士下山仏の見学と地酒
です。はやく地酒に行きたいのだけど、順番にいきましょう。
駅から西へ数百メートル歩いてまずは「静岡県富士山世界遺産センター」へ。
県の事業で建てられた富士山の資料館で、世界遺産登録の条件を守っていくために”世界遺産を「保護し、保存し、整備し及び将来の世代へ伝えることを確保する」拠点施設であり、学術調査機能などを併せ持つ施設”(公式サイトより)だそうです。
木組みはただのオブジェかと思ったら、その中に入って上るという、斬新な順路構成
写真に見える、すり鉢型の木組みの建築物の中が、常設展示室になっていて、富士登山の光景をタイムラプス映像で見ながら、らせん状のスロープをゆっくり上っていきます。
上るにしたがって、映像も7合目、8合目、頂上と変わっていって、最後まで行くと富士登頂気分が味わえるという仕組み。
途中のフロアに、信仰にまつわる展示や、富士を描いた水墨画、能などの紹介があり、富士山の文化遺産としての側面を勉強できます。
レジャーとしての富士登山がなされたのは、西洋文化が入ってきた明治以降のこと。
それまでは、富士山は信仰の山であったということは、神仏ファンならよくご存じのことではないでしょうか。
古くは万葉集にも歌われ、聖徳太子が富士まで飛んできたという伝承があるように、古代から富士は霊山として都人にも尊ばれてきました。
センター上階のテラスから、富士山がどーんと見えるはずが、あいにくの天気。しかし、ご安心を↓
晴天時は雄大な富士山がこんなふうに見えるそう。テラス設置のパネルより
仏教が広まると、富士山は密教の聖地とされて、山頂の噴火口を胎蔵曼荼羅の中心「中台八葉院」に見立てるようになります。
巡礼者は外周約2.4kmある噴火口を巡りながら8尊の仏を祈る「お鉢巡り」をするようになりました。
富士山がなぜ五合目まで車で行けるのかという話は、この連載で以前ご紹介しました。
仏教世界の「十界(六道と四聖)」という階層になぞらえると五層めがちょうど「人道(にんどう)」にあたりそれ以上は聖域になるからと言われます。
頂点である十層めは「如来」つまり完全な悟りを開いて仏になったものが住む世界とされ、富士山の火口=十合目は、行者にとって仏の世界です。
近代的な登山設備が無い中で命がけで山頂にたどり着いた行者のきもちは、私のような凡人にはわかりませんが、天竺に到着した三蔵法師の気分、みたいなものでしょうか。
そんなこんなで、富士山は神仏とりまぜて信仰の一大拠点として発展し、現在でも八合目以上は富士山本宮浅間大社の境内地(奥宮)となっています。
富士山に祀られていたなぞの「下山仏」との出逢いももうすぐ。富士宮焼きそばも絶対食べます!
その本宮が、ここ富士宮にあり、ここも参拝してみましょう。
それでは聴いてください。
電気グルーヴで、「富士山」。
静岡県富士山世界遺産センター
https://mtfuji-whc.jp/
(過去記事)
富士山五合目まで車で行ける深い理由と富士講の話
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20190806-2/
---おしらせ---
(おしらせ)本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報
1.
第二回「カツベン映画祭」
2022/6/3(金)新宿武蔵野館
宮澤やすみは、14:00「天保泥絵草子」で三味線生演奏。
http://shinjuku.musashino-k.jp/news/24757/
2.
宮澤やすみソロライブ「ひとりワロス」
2022/7/24(日)15:30開演
上野広小路/御徒町 ワロスロード・カフェ
本職の小唄など三味線音曲をゆるりと。詳細後日。
2.
日本書紀を歌った新作MV「欣喜雀躍」宮澤やすみ アンド・ザ・ブッツ
宮澤やすみYoutubeチャンネル
https://www.youtube.com/c/YasumiMiyazawa/
3.
宮澤やすみソロアルバム発売中
『SHAMISEN DYSTOPIA シャミセン・ディストピア』
購入は「やすみ直販」で
http://yasumimiyazawa.com/direct.html
(ネット決済のほか、銀行振込、郵便振替も対応)
宮澤やすみ公式サイト:http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター:https://twitter.com/yasumi_m