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第357回 名品の合間に見つける奇妙な世界 「やまと絵」展
”こういう癖アリ作品がこっそりあるので見逃さないでいただき－－”
音楽家で神仏研究家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。
こんにちは。江戸ワンダーランド（日光江戸村）に三味線演奏で出演してきた宮澤やすみです。江戸世界にタイムトリップ楽しかったです。
そんな中、トーハク（東京国立博物館）では特別展「やまと絵」が開幕しています。
写真は報道内覧会で許可を得て撮影したものです。
空前の規模で開催。展示替えも多い
仏像ファンはご存知のとおり、古代の日本はとにかく中国の文化を取り入れ自分なりに消化してきました。
絵画においても同様で、中国風の風景や建物を描いていたのが、日本らしい花鳥風月を描き、自分のいる建物も和風になってきた。
本展では、そうした傾向が見られるようになったのが平安前期とのことで、「やまと絵」の成立としています。
土日祝は事前予約が必要
しかし、そうしたややこしいこと抜きにして
「あ、どっかで見たことある」
という名品が一気に見られるのが今回の展覧会。教科書でみたあの絵この絵。
印刷や画像では伝わらない、生の手描き線を見ると、平安時代の人の息づかいが聞こえてきます。
重要文化財 百鬼夜行絵巻 伝土佐光信筆 室町時代・16世紀 京都・真珠庵蔵
そうしたメイン展示のほかにも、興味深い作品があり、
わたくし個人的に目をひいたのは「病草子」。
なぜこんな題材を、と思うような、さまざまな病気に苦しむ人を描いたもの。
しかも描写が生々しくて、でも目をそらすことができないという、なかなかクセの強い作品。
「病草子」より「眼病治療」。このほかに「屎を吐く男」という絵もありちょっと掲載は自粛・・・
また、仏像ファンには「辟邪絵」の断簡もおすすめ。
以前この連載で、牛頭天王（疫病の象徴的なイメージ）を食らう天刑星を紹介しましたが、
そのシリーズの別キャラ「神虫（しんちゅう）」が見られます。
国宝 辟邪絵 神虫 平安時代12世紀 奈良国立博物館蔵。画像は奈良国立博物館の画像データベースで見られるが、ぜひ生で見てほしい
人間に災いをもたらす鬼をバリバリと容赦なく食らう、その描写がまたエグくて…
意味合いとしては、悪者を退治している絵なのですが、そうしたタテマエを超越して凄惨な描写に引き込まれます。
子供の頃、ちょっと怖いマンガを友達と貸し借りしてこっそり読みませんでしたか？
最近でも『進撃の巨人』とか『鬼滅の刃』とか、残酷シーンがあります。
平安、鎌倉時代の人たちは現在よりも「死」が身近にあった時代。病を消し去りたいという強い思いが強烈な画風に通じたのでしょうか。
この連載をつぶさに読んでくれる人は、良い意味でちょっと変わった趣味人だと思うので、こういうのもお好きなんじゃないかと。
口直しにグッズ写真。「百鬼夜行」の琵琶妖怪がかわいいぬいぐるみに
日本文化の主軸と担う超メジャーな作品が取りたてられますが、
その間に、こっそりこういう癖アリ作品があるので見逃さないでいただきたいと思います。
展示替えが何度もあるので、公式サイトで確認してお出かけください。
それでは聴いてください。
ささきいさおで、「宇宙戦艦ヤマト」。
（過去記事）
擬人化キャラの元祖？辟邪絵の天刑星－「SHIBUYAで仏教美術」展
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20220426-2/
特別展「やまと絵 －受け継がれる王朝の美－」
2023年10月11日（水）～12月3日（日）
※土日祝のみ事前予約制
東京国立博物館 平成館
詳細 https://yamatoe2023.jp/
---おしらせ---
本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報
１．
おかげさまで20周年
【小唄 in 神楽坂 2023】
宮澤やすみ一門総出で小唄の演奏会。
小唄ではめずらしい日本舞踊と鳴物が入って
にぎやかで特別な記念の会になります。
楽しい解説トークもあって、初めての人こそ
来てほしい、くつろぎの和のライブです。
お得な前売券購入はは宮澤やすみ事務所へ。
2023年10月29日（日）
14:30開場 15:00開演 16:20終演予定
東京・神楽坂毘沙門天1回書院
問合せ・お申込はEメールで
yasumikouta@yahoo.co.jp
２．
仏像や古代史を歌ったザ・ブッツの新作アルバム『時の水辺』。
ご購入いただけると活動存続の助けになります。応援よろしくお願いいたします。
プレーヤー不要。スマホですぐ聴けるQRコード付きブックレットです（CDも付いてます）。
詳細のご紹介は
↓↓↓
http://yasumimiyazawa.com/buttz/tokinomizube.html
雅楽の笙や篳篥も入った独特のサウンドで、「聴いたことないけど、どこか懐かしい」大人むけのロックです
収録曲：
１．Fantastic Dystopia
２．一木造
３．Shami on The Water
４．川のほとりで
５．Benzai-Tennyo
６．Black Etenraku
７．北斗星
８．いけるとこまで
ほか、付録CDにボーナストラック
宮澤やすみ公式サイト：http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター：https://twitter.com/yasumi_m
音楽家で神仏研究家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。
こんにちは。江戸ワンダーランド（日光江戸村）に三味線演奏で出演してきた宮澤やすみです。江戸世界にタイムトリップ楽しかったです。
そんな中、トーハク（東京国立博物館）では特別展「やまと絵」が開幕しています。
写真は報道内覧会で許可を得て撮影したものです。
空前の規模で開催。展示替えも多い
仏像ファンはご存知のとおり、古代の日本はとにかく中国の文化を取り入れ自分なりに消化してきました。
絵画においても同様で、中国風の風景や建物を描いていたのが、日本らしい花鳥風月を描き、自分のいる建物も和風になってきた。
本展では、そうした傾向が見られるようになったのが平安前期とのことで、「やまと絵」の成立としています。
土日祝は事前予約が必要
しかし、そうしたややこしいこと抜きにして
「あ、どっかで見たことある」
という名品が一気に見られるのが今回の展覧会。教科書でみたあの絵この絵。
印刷や画像では伝わらない、生の手描き線を見ると、平安時代の人の息づかいが聞こえてきます。
重要文化財 百鬼夜行絵巻 伝土佐光信筆 室町時代・16世紀 京都・真珠庵蔵
そうしたメイン展示のほかにも、興味深い作品があり、
わたくし個人的に目をひいたのは「病草子」。
なぜこんな題材を、と思うような、さまざまな病気に苦しむ人を描いたもの。
しかも描写が生々しくて、でも目をそらすことができないという、なかなかクセの強い作品。
「病草子」より「眼病治療」。このほかに「屎を吐く男」という絵もありちょっと掲載は自粛・・・
また、仏像ファンには「辟邪絵」の断簡もおすすめ。
以前この連載で、牛頭天王（疫病の象徴的なイメージ）を食らう天刑星を紹介しましたが、
そのシリーズの別キャラ「神虫（しんちゅう）」が見られます。
国宝 辟邪絵 神虫 平安時代12世紀 奈良国立博物館蔵。画像は奈良国立博物館の画像データベースで見られるが、ぜひ生で見てほしい
人間に災いをもたらす鬼をバリバリと容赦なく食らう、その描写がまたエグくて…
意味合いとしては、悪者を退治している絵なのですが、そうしたタテマエを超越して凄惨な描写に引き込まれます。
子供の頃、ちょっと怖いマンガを友達と貸し借りしてこっそり読みませんでしたか？
最近でも『進撃の巨人』とか『鬼滅の刃』とか、残酷シーンがあります。
平安、鎌倉時代の人たちは現在よりも「死」が身近にあった時代。病を消し去りたいという強い思いが強烈な画風に通じたのでしょうか。
この連載をつぶさに読んでくれる人は、良い意味でちょっと変わった趣味人だと思うので、こういうのもお好きなんじゃないかと。
口直しにグッズ写真。「百鬼夜行」の琵琶妖怪がかわいいぬいぐるみに
日本文化の主軸と担う超メジャーな作品が取りたてられますが、
その間に、こっそりこういう癖アリ作品があるので見逃さないでいただきたいと思います。
展示替えが何度もあるので、公式サイトで確認してお出かけください。
それでは聴いてください。
ささきいさおで、「宇宙戦艦ヤマト」。
（過去記事）
擬人化キャラの元祖？辟邪絵の天刑星－「SHIBUYAで仏教美術」展
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20220426-2/
特別展「やまと絵 －受け継がれる王朝の美－」
2023年10月11日（水）～12月3日（日）
※土日祝のみ事前予約制
東京国立博物館 平成館
詳細 https://yamatoe2023.jp/
---おしらせ---
本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報
１．
おかげさまで20周年
【小唄 in 神楽坂 2023】
宮澤やすみ一門総出で小唄の演奏会。
小唄ではめずらしい日本舞踊と鳴物が入って
にぎやかで特別な記念の会になります。
楽しい解説トークもあって、初めての人こそ
来てほしい、くつろぎの和のライブです。
お得な前売券購入はは宮澤やすみ事務所へ。
2023年10月29日（日）
14:30開場 15:00開演 16:20終演予定
東京・神楽坂毘沙門天1回書院
問合せ・お申込はEメールで
yasumikouta@yahoo.co.jp
２．
仏像や古代史を歌ったザ・ブッツの新作アルバム『時の水辺』。
ご購入いただけると活動存続の助けになります。応援よろしくお願いいたします。
プレーヤー不要。スマホですぐ聴けるQRコード付きブックレットです（CDも付いてます）。
詳細のご紹介は
↓↓↓
http://yasumimiyazawa.com/buttz/tokinomizube.html
雅楽の笙や篳篥も入った独特のサウンドで、「聴いたことないけど、どこか懐かしい」大人むけのロックです
収録曲：
１．Fantastic Dystopia
２．一木造
３．Shami on The Water
４．川のほとりで
５．Benzai-Tennyo
６．Black Etenraku
７．北斗星
８．いけるとこまで
ほか、付録CDにボーナストラック
宮澤やすみ公式サイト：http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター：https://twitter.com/yasumi_m
