第358回　浄瑠璃寺の秘仏・薬師如来と興福寺渡海文殊

”身体にまとう衣はほんわかした彫りで、この後の定朝様に－－”
音楽家で神仏研究家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。

こんにちは。20周年を迎えた一門演奏会「小唄 in 神楽坂」を終えて、ほっとしてぐったりしている宮澤やすみです。
まあ、だいたいいつもぐったりしているんですけどね。それにしても我ながらよく20年もやりました。

そんな中、先日ご紹介したトーハク（東京国立博物館）の特別展「京都・南山城の仏像」。
展示替えで僕が前から気になっていた浄瑠璃寺・薬師如来がお出ましだったので、また行ってきました。

また行ってきました。前回記事は第352回と第353回

浄瑠璃寺三重塔の本尊で、お寺でも見ましたが暗くてあまりよくわからなかったので、この機会に全身くまなく見てきました。
この像は11世紀の作で、顔立ちは厳しく、頭頂部の肉髻が高く盛り上がっています。
像高85.7cmで、ほぼ等身大。三重塔を覗いてみたときはもっと小さい印象だったのですが、展示室内で見ると大きく見えて存在感が際立ちます。


浄瑠璃寺三重塔にて。毎月8日に写真のようにご開帳される

長い平安時代の間で仏像のかたちは少しずつ変わっていくんですけど、11世紀より前の力強い作風が残っているようです。
それでいて、身体にまとう衣はほんわかした彫りで、この後の定朝様につながる優美な印象です。
さらに、衣文はだいぶ省略されていて、神社の神像のような印象もあるという、なかなか興味深い像なのです。

残念ながらこの薬師さんは10月26日でお帰りになってます。
特別展自体は2023年11月12日までやってます。

で、撮影は禁止なので、画像は検索してみてください。いろいろ出るから。

常設展でも珠玉の仏像がありました。

こちらは南山城の中川寺にあったという毘沙門天。

毘沙門天立像 平安時代・応保2年（1162）頃

さらにこちらは奈良の興福寺の文殊菩薩をどうぞ。四人の従者をしたがえて海を渡る「渡海文殊」の像です。
文永10年（1273）、康円（運慶の孫にあたる慶派仏師）の作であると判明しています。
そちらの写真をどうぞ。


興福寺勧学院の本尊だったという、文殊菩薩騎獅像および侍者立像

それでは聴いてください。
ウィーザーで、「Across The Sea」。


（過去記事）
邪鬼の笑顔で癒される「京都・南山城の仏像」
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20230919-2/
神社にあった薬師如来「京都・南山城の仏像」
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20230926-2/



浄瑠璃寺九体阿弥陀修理完成記念
特別展「京都・南山城の仏像」
2023年9月16日（土）～11月12日（日）
東京国立博物館 本館5室
詳細は↓
https://yamashiro-tokyo.exhn.jp/


--おしらせ---

本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報

１．
おかげさまで20周年
【小唄 in 神楽坂 2023】

宮澤やすみ一門総出で小唄の演奏会。
小唄ではめずらしい日本舞踊と鳴物が入って
にぎやかで特別な記念の会になります。
楽しい解説トークもあって、初めての人こそ
来てほしい、くつろぎの和のライブです。

録画配信もあるのでお申し込みください。

2023年11月4日（土）20時から配信開始
以降いつでも視聴できます。
視聴お申込は
https://yasumimiyazawa.com/koutahaisin.html




２．
仏像や古代史を歌ったザ・ブッツの新作アルバム『時の水辺』。
ご購入いただけると活動存続の助けになります。応援よろしくお願いいたします。
プレーヤー不要。スマホですぐ聴けるQRコード付きブックレットです（CDも付いてます）。
詳細のご紹介は
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http://yasumimiyazawa.com/buttz/tokinomizube.html

雅楽の笙や篳篥も入った独特のサウンドで、「聴いたことないけど、どこか懐かしい」大人むけのロックです

　収録曲：
　１．Fantastic Dystopia
　２．一木造
　３．Shami on The Water
　４．川のほとりで
　５．Benzai-Tennyo
　６．Black Etenraku
　７．北斗星
　８．いけるとこまで
　ほか、付録CDにボーナストラック




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