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第481回 見方は自由。語りたくなる美術総ざらい「日曜美術館50年展」
”こういうところが仏像と美術のちがいでしょうか――”
音楽家で神仏研究家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。
こんにちは。4月になっても生活に何の変化もない宮澤やすみです。ひさびさに音楽の出演を控えていますけどね。
そんな中、春の美術展シーズンたけなわ。取材に行きまくっています。
NHK教育テレビで放送されている「日曜美術館」が放送50周年をむかえ、その記念の展覧会が開幕。
その報道内覧会に行ってきました。

展示室風景
ピカソ、ムンク、岡本太郎など著名な作家の作品もあります。テレビで見ていた作品の実物に対面できるのは感激です。
大好きなジャコメッティの作品も間近で見られました。

展示風景。手前の彫刻はアルベルト・ジャコメッティ《鼻》1947年
今回目を引いたのは、石田徹也さんの作品。
近い世代の作家さんということもあるのか、独特の滑稽さの中に言い知れぬ不安と絶望が込められた作品に、感情がゆさぶられます。

石田徹也《飛べなくなった人》1996年
よく知られた作品なのでネットでも画像がでていますが、メディアの小さな画像で知った気になってた作品に、実物で生で対面すると、その実物のサイズの大きさと質感で、印象がひときわ胸に刻まれます。
展示キャプションにはオンエアで流れた言葉が使われています。
作家自身の言葉もあって、作品と共に作家さんの人となりを垣間見ることができます。
さらに、「日曜美術館」に登場した文化人のコメントも掲示されていて、自分でも思いもよらなかった気づきが得られました。

「ピカソを神棚から降ろせ」(岡本太郎) 番組でのコメントが壁面に
つまり、鑑賞者と作品だけの個人的な対面でなく、鑑賞者、作家、コメンテーターの三者によって作品を見ていく作業というのが、いつもの展示にない感覚を呼び覚ますようでした。
先日は、テレビで50周年記念回をやっていましたが、いろんな人が自分なりのコメントを言って、そんなふうに自由に感想を語り合うのが楽しいんですよね。
美術の「見方」に決まったルールはありません。
私たち仏像ファンが仏像彫刻を見るときは、この手の印相はこういう意味があってとか一定の「見方」がつきものなんですが、こういうところが仏像と美術のちがいでしょうか。
舟越桂さんの彫刻作品の前に立つと、仏像と同じく(一見すると)人の形をした彫刻であるから余計に「見方」を求めてしまいがちなのですが、そういうことではない。
もちろん「この手は●●を意味していて」とかそういうガイドは一切ありません。

舟越桂《水に映る月蝕》2003年
しかし、タイトルを読んでから、じっと見ていると、なんとなく浮かぶ、言葉にならない感覚と感情があれば、作品をしっかり鑑賞できたことになると思います。
一方、世間では「美術の見方」といった本が多数出ているし、私自身もよく仏像の見方を講義してくれと言われてきました。
講義をすると「見方がわかってこれから博物館行ける」と喜んでもらえたものですが、それでも「見方」を伝授したせいで決まった見方だけしかできなくなるんじゃと不安に思ったリしたものでした。
まあ要するに、見方のヒントやとっかかり程度があればいいんだと思いますけどね。先日の下村観山展でも「ここを見て」って強調してたし。
あとは見る人それぞれの感覚や感性で見て自由に感じていただければいいんじゃないでしょうか(それがむずかしいのかな)。

グッズ売り場には《飛べなくなった人》のぬいぐるみ
今回の展示は、展示全体に統一したテーマがないぶん、多ジャンル多時代多国籍の美術総ざらい。
だから自分が知らなかったジャンルの作品にも出会えます。そのときどんな感想をもつでしょうか。
それでは聴いてください。
スコーピオンズで「Fly People Fly」
※今月は美術展シーズンのため仏像話がなかなかできませんが、ご容赦ください。
NHK日曜美術館50年展
2026年3月28日(土)~6月21日(日)
東京藝術大学大学美術館
(以降、静岡、大阪に巡回)
詳細 https://nichibiten50.jp/
■あわせて読む(関連記事)
「非注意性盲目」を解消する仏像ガイドの仕事
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20210518-2/
好きに「みる」絵画の楽しみ-「西洋絵画、どこから見るか?」
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20250318-2/
阿弥陀か?観音か? ブランクーシ彫刻のフォルムにみえるもの
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20240611-2/
円空仏か神像か?-ルートヴィヒ美術館展
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20220705-2/
--おしらせ---
本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報
1.
4/25土
古民家カフェで お江戸なカフェタイム(小唄と三味線と酒とつまみ)
https://kaguramura.jp/event/festival/1933/
2.
4/29水祝(見逃し配信も)
レクチャーコンサート
小唄で感じる江戸東京の文化 | 朝日カルチャーセンター横浜教室
https://www.asahiculture.com/asahiculture/asp-webapp/web/WWebKozaShosaiNyuryoku.do?kozaId=8697980
(オンライン受講可)
3.
宮澤やすみ出演情報(これからとこれまで)まとめ
https://yasumimiyazawa.com/live.html
音楽家で神仏研究家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。
こんにちは。4月になっても生活に何の変化もない宮澤やすみです。ひさびさに音楽の出演を控えていますけどね。
そんな中、春の美術展シーズンたけなわ。取材に行きまくっています。
NHK教育テレビで放送されている「日曜美術館」が放送50周年をむかえ、その記念の展覧会が開幕。
その報道内覧会に行ってきました。

展示室風景
ピカソ、ムンク、岡本太郎など著名な作家の作品もあります。テレビで見ていた作品の実物に対面できるのは感激です。
大好きなジャコメッティの作品も間近で見られました。

展示風景。手前の彫刻はアルベルト・ジャコメッティ《鼻》1947年
今回目を引いたのは、石田徹也さんの作品。
近い世代の作家さんということもあるのか、独特の滑稽さの中に言い知れぬ不安と絶望が込められた作品に、感情がゆさぶられます。

石田徹也《飛べなくなった人》1996年
よく知られた作品なのでネットでも画像がでていますが、メディアの小さな画像で知った気になってた作品に、実物で生で対面すると、その実物のサイズの大きさと質感で、印象がひときわ胸に刻まれます。
展示キャプションにはオンエアで流れた言葉が使われています。
作家自身の言葉もあって、作品と共に作家さんの人となりを垣間見ることができます。
さらに、「日曜美術館」に登場した文化人のコメントも掲示されていて、自分でも思いもよらなかった気づきが得られました。

「ピカソを神棚から降ろせ」(岡本太郎) 番組でのコメントが壁面に
つまり、鑑賞者と作品だけの個人的な対面でなく、鑑賞者、作家、コメンテーターの三者によって作品を見ていく作業というのが、いつもの展示にない感覚を呼び覚ますようでした。
先日は、テレビで50周年記念回をやっていましたが、いろんな人が自分なりのコメントを言って、そんなふうに自由に感想を語り合うのが楽しいんですよね。
美術の「見方」に決まったルールはありません。
私たち仏像ファンが仏像彫刻を見るときは、この手の印相はこういう意味があってとか一定の「見方」がつきものなんですが、こういうところが仏像と美術のちがいでしょうか。
舟越桂さんの彫刻作品の前に立つと、仏像と同じく(一見すると)人の形をした彫刻であるから余計に「見方」を求めてしまいがちなのですが、そういうことではない。
もちろん「この手は●●を意味していて」とかそういうガイドは一切ありません。

舟越桂《水に映る月蝕》2003年
しかし、タイトルを読んでから、じっと見ていると、なんとなく浮かぶ、言葉にならない感覚と感情があれば、作品をしっかり鑑賞できたことになると思います。
一方、世間では「美術の見方」といった本が多数出ているし、私自身もよく仏像の見方を講義してくれと言われてきました。
講義をすると「見方がわかってこれから博物館行ける」と喜んでもらえたものですが、それでも「見方」を伝授したせいで決まった見方だけしかできなくなるんじゃと不安に思ったリしたものでした。
まあ要するに、見方のヒントやとっかかり程度があればいいんだと思いますけどね。先日の下村観山展でも「ここを見て」って強調してたし。
あとは見る人それぞれの感覚や感性で見て自由に感じていただければいいんじゃないでしょうか(それがむずかしいのかな)。

グッズ売り場には《飛べなくなった人》のぬいぐるみ
今回の展示は、展示全体に統一したテーマがないぶん、多ジャンル多時代多国籍の美術総ざらい。
だから自分が知らなかったジャンルの作品にも出会えます。そのときどんな感想をもつでしょうか。
それでは聴いてください。
スコーピオンズで「Fly People Fly」
※今月は美術展シーズンのため仏像話がなかなかできませんが、ご容赦ください。
NHK日曜美術館50年展
2026年3月28日(土)~6月21日(日)
東京藝術大学大学美術館
(以降、静岡、大阪に巡回)
詳細 https://nichibiten50.jp/
■あわせて読む(関連記事)
「非注意性盲目」を解消する仏像ガイドの仕事
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1.
4/25土
古民家カフェで お江戸なカフェタイム(小唄と三味線と酒とつまみ)
https://kaguramura.jp/event/festival/1933/
2.
4/29水祝(見逃し配信も)
レクチャーコンサート
小唄で感じる江戸東京の文化 | 朝日カルチャーセンター横浜教室
https://www.asahiculture.com/asahiculture/asp-webapp/web/WWebKozaShosaiNyuryoku.do?kozaId=8697980
(オンライン受講可)
3.
宮澤やすみ出演情報(これからとこれまで)まとめ
https://yasumimiyazawa.com/live.html


