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全員集合! 和洋の病退散神仏聖人たち

”神仏や聖人にすがるのは、昔の人の考えかと思いきや、わりと現代でも変わらないようで……?”
神仏研究家・音楽家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。

こんにちは。この原稿を書いている現在、志村けんさんの訃報で世の中打ちひしがれているところです。ぼくもまだなにか狐につままれたような感覚でおります宮澤やすみです。

世界中に新型コロナウイルスの猛威が広がり、東京も待ったなしの状況ですが、後年にこの記事を見つけた人が、笑って読んでくれることを祈ります。

さて、神仏の世界では、薬師如来や大己貴神(オオナムチ)少彦名神(スクナヒコナ)といった存在が医薬のご利益の代表格ですが、ほかにもたくさんいるので、まずは手持ちの秘蔵写真で三尊をご紹介します。

こちらは奈良・室生寺の境内にて。金堂の横にある石仏と稲荷神社です。


境内社の稲荷神社と、手前の軍荼利明王石仏

この石仏は、軍荼利明王(ぐんだり みょうおう)。
胸で両手をクロスする印相(手のポーズ)が特徴です。

この明王は、病気退散のご利益があるとされるんですよね。
インドのヨガの「クンダリーニ」から来ていて、命のエネルギーの源みたいな意味合いです。それを象徴するのが軍荼利明王。京都の東寺におどろおどろしい姿の国宝像があります。


こちらは、千葉・勝覚寺の釈迦如来と四天王。
なかでも四天王はものすごい形相で相手を威嚇しています。
四天王は、邪鬼を踏みますが、邪鬼は病をもたらす邪悪な存在を象徴します。
まさに今、四天王さんにぜひともウイルス退散を願いたいものです。


元寇を控えた鎌倉後期の四天王。鬼気迫る形相がすごい

勝覚寺さんは、ぼくのテレビ出演番組や著書でもご紹介し、この連載でも書いたお寺です。
(過去記事)四天王と織田信長の深い関係?
 https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20190205-2/


ほかに神仏系では、京都八坂神社の牛頭天王も古くから存在。江戸の庚申講では青面金剛に病退散を祈った。
妖怪「アマビエ」(疫病が流行したとき絵に描いて流布させるとよいとされた)も江戸期に流行ったそうですが、今またアマビエ画像が出回っていますね。やっぱり病退散は身分の高低を問わず全人類の願いですから、仏像神像に並々ならぬ願いが込められたことでしょう。


視点を変えてヨーロッパ。現在大変なことになっているイタリアからは、こちらの聖人。
イタリア語でサン・ロッコ。日本では「聖ロクス」と呼ばれます。


伊・ポルデノーネ市にて。サンマルコ聖堂内八角柱のフレスコ画

この方、ペストにかかったのに治ったことから、伝染病から守ってくれる守護聖人とされました。
この連載で紹介した、イタリア北部・ポルデノーネという街で出逢った聖人です。
(過去記事)イタリアの”渡辺謙”に会ってきた-イタリア守護聖人の旅その1
 https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20191015-2/


古代中世は、伝染病が拡散すると本当に混乱したことでしょう。
感染源をめぐってデマと疑心暗鬼が広がり、まじないと迷信が広がりました。

神仏や聖人にすがるのは、昔の人の考えかと思いきや、わりと現代でも変わらないようですね。

今回の新型コロナ禍でも、なんだかデマと他人への攻撃がわりとあって、人間の行動があんまり変わってないように思います。
ウイルスも怖いけど、人の心の闇も怖い、というのが最近よく言われています。

「志村けんショック」で、悲しみとともに改めてウイルスの恐ろしさを認識させられることになった日本人ですが、この恐怖があらぬ方向にいってしまわないように。
なんとか皆さんが平静を得て、みんなでこの難局を乗り越えていけるよう祈るばかりです。

そのためには、おそらくユーモアと音楽、が必要になってくるんじゃないかと思います。笑いましょうね。



●おしらせ

本コラム筆者・宮澤やすみ出演

”仏像バンド”宮澤やすみ and The Buttz(ブッツ)
新作ミニアルバム発売記念・Youtubeライブ配信
4月11日(土)20時から60分ほど(予定)

本当はこの日に都内でイベントをやるはずでしたが延期。かわりにインターネット配信で新作の試聴と情報をお届けしようと準備中です。
(人は集まらず、メンバーも万全の準備で臨みます)
宮澤やすみYoutubeチャンネルにて。
  ↓
https://www.youtube.com/channel/UC22_Kz94PSIGdlTMN0HwgZg?view_as=public
今のうちに「チャンネル登録」をクリックしてご覧ください。


詳細はバンドの公式サイトまたは宮澤やすみツイッターにてお知らせします。
公式サイト:http://yasumimiyazawa.com/buttz/
ツイッター:https://twitter.com/yasumi_m


バンドメンバーMr. tsubaking(左)と筆者・宮澤やすみ。法隆寺釈迦三尊をバックに(東京国立博物館にて)