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第312回 諏訪・神仏の旅① 「万治の石仏」

”石仏もだけど、おばあちゃんと田んぼの風景も無くならないでほしい--”
音楽家で神仏研究家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。

こんにちは。いよいよヨーロッパ遠征の準備が始まってあたふたしている宮澤やすみです。活動写真弁士の片岡一郎を筆頭に、ピアノ上屋安由美、私の三味線という長年仕事を共にしている3名で行ってきます。

先日この連載で、長野県で行われていた「諏訪神仏プロジェクト」を紹介しました(記事末参照)。
良い機会なので、自分も実際に諏訪の地を訪れました。
たくさんの写真や興味深い話題を仕入れてきたので、ここで何回かに分けて書いていきたいと思います。

最初は、「万治(まんじ)の石仏」
仏像ファンならずとも、観光スポットとしてかなりの人気の石仏です。


「万治」とは江戸時代の年号で、この仏像に万治三年(1660年)と銘があるから

石仏と言っても、よくあるお地蔵さんやなんかとは、かなり趣がちがいます。
高さ2.6メートル。写真の印象より大きく感じます。つきたてのお餅をテーブルにどんと置いたようなこんもり型の巨石、その正面に浮彫りで仏の胴体が彫り付けられています。
頭は別の石で作られて、ちょこんと載せてあります。
このアンバランスな感じが、不思議かつカワイイ。


石の片面に仏の姿が浮彫されている

岡本太郎が「世界中歩いてみたがこんな面白いの始めて」と絶賛したそうです。

たしかに、ヘタウマで素朴なフォルムと、古代文明の遺物のようなミステリアスなデザイン(実際は江戸時代)と入り混じって、仏像ファンならずとも引き込まれるものがありますね。


この阿弥陀印に注目。素朴な表現に目を奪われた

正面からみて左側に「南無阿弥陀仏」と彫ってあり、手の印相からも阿弥陀如来だとわかります。


胸にあるデザインは、お坊さんが着る袈裟かと思いましたが、太陽や月などの記号だそう。山が連なる形は、諏訪湖を囲む山々を描いたんでしょうか

言い伝えによると、諏訪大社下社春宮に石の大鳥居を造ろうと、この石を割ろうとすると血が流れたそう。
それに驚き、祟りを怖れ、この石に阿弥陀如来を刻んだそうです。
くわしくは下諏訪町観光振興局のサイト「おいでなしてしもすわ」に出ています。


「万治」という字を「よろず治まる」と読んで願掛けをすることも流行っているそうで、コロナ収束を願うのにもよさそう

それでまた、この万治の石仏が置かれたロケーションが最高なんですよね。


諏訪に四社ある諏訪大社のうち、下社春宮(しもしゃはるみや)

諏訪大社下社春宮の裏手に砥川の清冽な水流が流れ、その敷地に「浮島社」がある、その自然あふれるところを通り抜けていくと、小さな田んぼとともに万治の石仏があるのです。
日本の古き良き里の光景と、神社の神聖な雰囲気と相まっています。


鬱蒼とした境内に浮島社の小さな祠があり、左にちょっと見える赤い橋を渡ると万治の石仏がある

私が訪れたときも、隣の田んぼでおばあちゃんが普通に農作業してましたからね。
石仏もだけど、おばあちゃんと田んぼの風景も無くならないでほしいです。

諏訪の地は、神社、仏像、土偶、古墳、鉱物、お酒に温泉、日本のナゾのおいしいところがギュッと詰まったところでした。もっと早く気づいておけばよかったと思うくらいです。
これから、何週かにわたって諏訪で仕入れたネタを書いていきたいと思います。


古代呪術、密教、民間信仰…。諏訪には神仏のナゾが集結していた

といいつつ、12月は三味線の仕事でヨーロッパ遠征に出るので、そちらの話もちょいちょい挟むと思いますが、隔週くらいで書いていければなという感じでございます。


それでは聴いてください。
ピチカート・ファイヴで「万事快調」。


(過去記事)
諏訪大社ゆかりの仏像一斉公開「諏訪神仏プロジェクト」
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20221101-2/

ぼくらの心のTaroイズム「展覧会 岡本太郎」。仏像ファンなら彫刻も
(岡本太郎撮影の万治の石仏あり)
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20221025-2/

---おしらせ---

本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報

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宮澤やすみ公式サイト:http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター:https://twitter.com/yasumi_m