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第445回 新潟 弥彦 湯神社 温泉を守る「石薬師様」

”この大きな、おむすび型の岩の迫力は、まさに如来坐像のようで――”

音楽家で神仏研究家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。

こんにちは。昭和初期の名作無声映画「狂った一頁」の活弁上演を終えてヘトヘトの宮澤やすみです。三味線とエレキ三味線を併用して映画に合わせて生演奏しました。

そんな中、前回は新潟の弥彦神社をご紹介しました。


地元のコミュニティ路線バスで弥彦へひとり旅

ここは温泉観光地でもありまして、神社の門前は温泉旅館がいくつもあります。
(ひとり客の宿泊は断られましたけどね)

古い温泉地はだいたい開湯伝承があり、土地を守る神社とお寺がつきものです。


弥彦公園のはずれから湯神社参道が始まる。ここから先がわりと長い

ここ弥彦の温泉もそのパターンに当てはまる土地なのですが、弥彦神社とは別にゆかりの「湯神社」があるといいます。
しかも、その湯神社は「石薬師」という別名もあるといいます。

まさに神仏習合のモデルケースのような名前付け、気になるので行ってみました。

弥彦神社外苑である「弥彦公園」から案内に従って山深い道を進みます。
途中、雰囲気のある石の祠がありますが、まだまだ先は長い。湯神社の幟(のぼり)がはためく参道が延々とつづき、温泉で身体を癒したくなります。


現在も「湯神社」と「石薬師様」の名称が併記されている

弥彦温泉の開湯伝承をかんたんにご紹介すると、
権九郎という猟師が鳥を追って山奥に入ると、傷ついた鳥が湯に入って傷を癒しているのを発見、
それ以降、村人もこぞって湯に入ったそうです。詳細は弥彦村役場のHPに出ています。

村人が温泉の恩恵に感謝して、建立したのが「湯神社」。
大穴牟遅命(オオナムチ)と少彦名命(スクナヒコナ)を祀りました。
この二神の組み合わせは「薬祖神」といって、温泉関連の神社とか病魔退散系の神社で祀られることが多いです。
そして、この神(とくにスクナヒコナ)に対する本地仏が薬師如来とされまして、神仏混淆の時代はこの二神一仏がセットになることが多いです(組み合わせは地域によって異なります)。


日が傾くころに行くと独特の雰囲気があって不安になる

弥彦の湯神社にたどり着くと、山中に忽然と拝殿があって、社務所の人に「どう拝むんですか」と聞きますと、右にある莚(むしろ)に座って、大岩に向かって拝むとのこと。


やっとたどり着いた湯神社は小さな社務所と参拝所があるだけ。この屋根の下に座って参拝する

靴を脱いで、参拝所のむしろに座ると、大きな岩があります。真ん中に大きな亀裂があるように見えて、鬼滅の刃で丹次郎が斬った岩を彷彿させますが、どうやらふたつの大岩が並んでいるとのことです。
そこに向かって二礼二拍手で温泉の恩恵に感謝しました(入ってないけど)。


参拝所に座って見上げた光景。大岩は草木に覆われて全貌を見ることはできない

日本各地にある巨石信仰も興味深いものですが、ここもその名残を汲んでいるのでしょうか(昔のままではない、と神社の方はおっしゃっていましたが)。
山中の鬱蒼とした中に分け入って拝むと、さすがに神秘的な雰囲気を感じてしまいます。


大岩から大木が生えている。長い時の流れを感じさせる

「石薬師」の異名については、社務所の方に尋ねると、仏像はないけれどいつのまにかそういわれるようになったとのことです。
この大きな、おむすび型の岩の迫力は、まさに如来坐像のようです。
神仏混淆の時代、イメージが交錯していつのまにか「石の薬師様」と呼ばれるようになったんでしょうか。

そんなに神仏の知識がない一般の村人にとって、なんとかかんとかのみこと、というより石の薬師さまというほうがキャッチ―であったことは想像できます。
(地域によっては、薬師さまでなく観音さまである場合もあったでしょう)


帰り道は弥彦山を仰ぎ見ながら

さらに、これがなまって「一尺様」とも呼ばれたといい、長さ一尺の蛇がいたら幸運だとかともいわれたそうです。
昔のことですから、口伝えで村々に話が広まっていくうちに、いろいろアレンジが加わった、それだけ広く浸透したとも取れますね。


足湯に浸かることはできました。次回は全身浸かりたい

これまでも各地の温泉と神社お寺を訪れているので、下の「関連記事」ごらんください。


それでは聴いてください。
オジー・オズボーン(追悼)で「Over The Mountain」



湯神社/弥彦観光協会「やひ恋」
https://www.e-yahiko.com/spot/yujinja/


■あわせて読む(関連記事)
温泉に「温泉寺」あり。その本尊は?(有馬温泉)
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20180723-2/
温泉寺もあれば神社もあります(有馬温泉)
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20180730-2/
白鷺が導いた下呂温泉の薬師如来
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33年に一度の開帳!城崎温泉の秘仏に逢う -(全3回)-
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諏訪・神仏の旅⑥ 諏訪大社のご神体がお寺にあった
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20230131-2/
新潟 弥彦神社 参道が曲がっている理由と弥彦山の「御神廟」
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20250722-2/


--おしらせ---
本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報

1.
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宮澤やすみ出演情報(これからとこれまで)まとめ
https://yasumimiyazawa.com/live.html


宮澤やすみ公式サイト:
https://yasumimiyazawa.com