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第320回 諏訪・神仏の旅⑥ 諏訪大社のご神体がお寺にあった
”神社のご神体がなぜお寺の仏塔に納められるのでしょう--”
音楽家で神仏研究家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。
こんにちは。今週はめずらしく講座仕事が続き、パワポ作業に追われている宮澤やすみです。歌の練習しながらやってます。
そんな中、ここでは長野・諏訪の旅を続けて書いております。
前回まで、かつて諏訪大社にあった仏像たちをいくつもご紹介しました。
JR上諏訪駅ホームに露天風呂があるという温泉推しの上諏訪地域
今回は、こちらの温泉寺から。
臨済宗の静謐な禅寺ですが、奥に立派な多宝塔があります。
この塔に祀られたモノが、じつは諏訪大社ならではのものなんです。
上諏訪・温泉寺の多宝塔
諏訪の地域は温泉地。古い温泉地はだいたい温泉にまつわる神社やお寺がありますね。
この連載でも、有馬や下呂の温泉寺を訪れています。
上諏訪の温泉寺は、寛永17年(1640年)建立。
この地を治める高島藩2代藩主・諏訪忠恒が諏訪の源泉を護るために発願したそうです。
長野県宝の梵鐘越しに諏訪の街並みが一望できる
で、この塔の中にあるものこそ、諏訪大社上社本宮の「ご神体」なんですよ。
神仏習合の名残とはいえ、神社のご神体が、なぜお寺の仏塔に納められるのでしょうか?
じつは、そのご神体というのがこれまた仏塔でして、石製なんだけど「お鉄塔」と呼ばれているものなんです。検索すれば画像でてきます。
山門の仁王が非常にイケメンというかイケおじ顔
諏訪大社を参拝すると気が付くんですが、ご祭神を祀る本殿が存在しないんですね。
諏訪大社上社本宮にて。この建物は「幣殿」つまり拝殿で、その奥に本殿が存在しない
神仏習合の時代には、本殿があるべき位置に、この「お鉄塔」があり、ご神体とされていたのだそうです。
神社の一番の核となるご神体が仏塔だったという、今では考えられない形式ですが、これが諏訪のスタイルなんですね。
明治の神仏分離に際して、この「お鉄塔」も取り除かれますが、さすがに破棄はできなかったようで、ここ温泉寺の多宝塔内部に納められました。
そんなわけで、この多宝塔の四隅には諏訪大社ゆかりの御柱が立っています。
多宝塔を囲むように御柱が立てられている
TVニュースで見る「御柱祭り」の御柱は諏訪大社にありますけど、諏訪地域では小さな祠でも必ず「ミニ御柱」を立てる風習があるんですよね。
路傍の小さな道祖神にもちゃんとミニ御柱が立てられている
しかし、諏訪大社のご神体が取り除かれて、神社では何を祀っているんでしょうか?
いよいよ、諏訪大社に行ってみましょう。
諏訪の神域のナゾにどれだけ迫れるか…
そんな中、2月立春からの早稲田大学オープンカレッジ、お越しください。
Google Mapを駆使して、江戸東京の地形と高低差から信仰史をお話します。
特別に三味線と小唄の実演も交えて吉原、神楽坂、目黒の神仏話です。
【早稲田大学エクステンションセンター中野校】
■空から映像で実感! 地形と寺社で解き明かす東京のナゾ
~古代から近代まで歴史の痕跡を探る、バーチャルさんぽ~
2023年2月4日から全3回 詳細↓
https://www.wuext.waseda.jp/course/detail/57581/
それでは聴いてください。
シーナ&ロケッツで「レモンティー」(RIP 鮎川誠さん)。
(過去記事)
諏訪大社ゆかりの仏像一斉公開「諏訪神仏プロジェクト」
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20221101-2/
諏訪・神仏の旅① 「万治の石仏」
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20221129-2/
諏訪・神仏の旅② 諏訪大社の本地仏-普賢と千手観音
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20221206-2/
諏訪・神仏の旅③ 諏訪大社ゆかりの仏像たち
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20230110-2/
諏訪・神仏の旅④ 諏訪大社ゆかりの仏像たち-その2-
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20230117-2/
諏訪・神仏の旅⑤ 諏訪大社ゆかりの仏像たち-その3-
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20230124-2/
---おしらせ---
本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報
1.
古代史を歌った新作アルバム『時の水辺』。
ご購入いただけると活動存続の助けになります。応援よろしくお願いいたします。
プレーヤー不要。スマホですぐ聴けるQRコード付きブックレットです(CDも付いてます)。
詳細のご紹介は
↓↓↓
http://yasumimiyazawa.com/buttz/tokinomizube.html
雅楽の笙や篳篥も入った独特のサウンドで、「聴いたことないけど、どこか懐かしい」大人むけのロックです
収録曲:
1.Fantastic Dystopia
2.一木造
3.Shami on The Water
4.川のほとりで
5.Benzai-Tennyo
6.Black Etenraku
7.北斗星
8.いけるとこまで
ほか、付録CDにボーナストラック
宮澤やすみ公式サイト:http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター:https://twitter.com/yasumi_m
音楽家で神仏研究家の宮澤やすみが、仏像とその周辺をブツブツ語る連載エッセイ。
こんにちは。今週はめずらしく講座仕事が続き、パワポ作業に追われている宮澤やすみです。歌の練習しながらやってます。
そんな中、ここでは長野・諏訪の旅を続けて書いております。
前回まで、かつて諏訪大社にあった仏像たちをいくつもご紹介しました。
JR上諏訪駅ホームに露天風呂があるという温泉推しの上諏訪地域
今回は、こちらの温泉寺から。
臨済宗の静謐な禅寺ですが、奥に立派な多宝塔があります。
この塔に祀られたモノが、じつは諏訪大社ならではのものなんです。
上諏訪・温泉寺の多宝塔
諏訪の地域は温泉地。古い温泉地はだいたい温泉にまつわる神社やお寺がありますね。
この連載でも、有馬や下呂の温泉寺を訪れています。
上諏訪の温泉寺は、寛永17年(1640年)建立。
この地を治める高島藩2代藩主・諏訪忠恒が諏訪の源泉を護るために発願したそうです。
長野県宝の梵鐘越しに諏訪の街並みが一望できる
で、この塔の中にあるものこそ、諏訪大社上社本宮の「ご神体」なんですよ。
神仏習合の名残とはいえ、神社のご神体が、なぜお寺の仏塔に納められるのでしょうか?
じつは、そのご神体というのがこれまた仏塔でして、石製なんだけど「お鉄塔」と呼ばれているものなんです。検索すれば画像でてきます。
山門の仁王が非常にイケメンというかイケおじ顔
諏訪大社を参拝すると気が付くんですが、ご祭神を祀る本殿が存在しないんですね。
諏訪大社上社本宮にて。この建物は「幣殿」つまり拝殿で、その奥に本殿が存在しない
神仏習合の時代には、本殿があるべき位置に、この「お鉄塔」があり、ご神体とされていたのだそうです。
神社の一番の核となるご神体が仏塔だったという、今では考えられない形式ですが、これが諏訪のスタイルなんですね。
明治の神仏分離に際して、この「お鉄塔」も取り除かれますが、さすがに破棄はできなかったようで、ここ温泉寺の多宝塔内部に納められました。
そんなわけで、この多宝塔の四隅には諏訪大社ゆかりの御柱が立っています。
多宝塔を囲むように御柱が立てられている
TVニュースで見る「御柱祭り」の御柱は諏訪大社にありますけど、諏訪地域では小さな祠でも必ず「ミニ御柱」を立てる風習があるんですよね。
路傍の小さな道祖神にもちゃんとミニ御柱が立てられている
しかし、諏訪大社のご神体が取り除かれて、神社では何を祀っているんでしょうか?
いよいよ、諏訪大社に行ってみましょう。
諏訪の神域のナゾにどれだけ迫れるか…
そんな中、2月立春からの早稲田大学オープンカレッジ、お越しください。
Google Mapを駆使して、江戸東京の地形と高低差から信仰史をお話します。
特別に三味線と小唄の実演も交えて吉原、神楽坂、目黒の神仏話です。
【早稲田大学エクステンションセンター中野校】
■空から映像で実感! 地形と寺社で解き明かす東京のナゾ
~古代から近代まで歴史の痕跡を探る、バーチャルさんぽ~
2023年2月4日から全3回 詳細↓
https://www.wuext.waseda.jp/course/detail/57581/
それでは聴いてください。
シーナ&ロケッツで「レモンティー」(RIP 鮎川誠さん)。
(過去記事)
諏訪大社ゆかりの仏像一斉公開「諏訪神仏プロジェクト」
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20221101-2/
諏訪・神仏の旅① 「万治の石仏」
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20221129-2/
諏訪・神仏の旅② 諏訪大社の本地仏-普賢と千手観音
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20221206-2/
諏訪・神仏の旅③ 諏訪大社ゆかりの仏像たち
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20230110-2/
諏訪・神仏の旅④ 諏訪大社ゆかりの仏像たち-その2-
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20230117-2/
諏訪・神仏の旅⑤ 諏訪大社ゆかりの仏像たち-その3-
https://www.butuzou-world.com/column/miyazawa/20230124-2/
---おしらせ---
本コラム筆者・宮澤やすみ関連情報
1.
古代史を歌った新作アルバム『時の水辺』。
ご購入いただけると活動存続の助けになります。応援よろしくお願いいたします。
プレーヤー不要。スマホですぐ聴けるQRコード付きブックレットです(CDも付いてます)。
詳細のご紹介は
↓↓↓
http://yasumimiyazawa.com/buttz/tokinomizube.html
雅楽の笙や篳篥も入った独特のサウンドで、「聴いたことないけど、どこか懐かしい」大人むけのロックです
収録曲:
1.Fantastic Dystopia
2.一木造
3.Shami on The Water
4.川のほとりで
5.Benzai-Tennyo
6.Black Etenraku
7.北斗星
8.いけるとこまで
ほか、付録CDにボーナストラック
宮澤やすみ公式サイト:http://yasumimiyazawa.com
宮澤やすみツイッター:https://twitter.com/yasumi_m