第一部 連載11回目 迷子
「成仏」ということばの意味を「仏になること」と捉えた私は、どうにかしてさとりを得ようと、懸命に努力を続けました。 毎朝の坐禅に加え、目についた仏教書は、ソフトなものからハードなものまで片っ端から読みあさり、 時間があれば …続きを読む
1984年生まれ。「TANDENメソッド」発案・指導者。文筆家。著書に『教えて、お坊さん!「さとり」ってなんですか』(KADOKAWA)など。
https://koideharuko.com
挿絵 にっひ:仏イラストレーター、消しゴム仏はんこ作家。著書に「消しゴムはんこの仏さま」(日貿出版社)がある。
http://nihhi.jp
「成仏」ということばの意味を「仏になること」と捉えた私は、どうにかしてさとりを得ようと、懸命に努力を続けました。 毎朝の坐禅に加え、目についた仏教書は、ソフトなものからハードなものまで片っ端から読みあさり、 時間があれば …続きを読む
答えがない……。 「さとり」を探求している間、私は、ずっとこの思いに苦しめられていたように感じます。 いまなら苦しみの原因がはっきりわかります。 ほかでもない、その「答え」をつかもう、定めようという態度こそが、私を苦しめ …続きを読む
一切の苦しみの消え去った「涅槃」の世界に行きたい……! その一心で、私は、数年間、一日も欠かすことなく坐禅を続けました。 坐禅は、とても「良い」もので …続きを読む
完全にさとってしまえば、もう二度と苦しい思いをすることはなくなるだろう。 そのためには、まずは「修行」が必要だ……! そう考えた私は、禅宗のお寺の門を叩き、週に一度 …続きを読む
一切の分離が消え、すべてが「ひとつ」として、ただあるという世界。 そんなビジョンを垣間見て、仏教の伝えていることは「ほんとう」のことだと確信した私は、しばらくの間、ものすごく「ふ …続きを読む
「仏」と「私」、「世界」と「私」の間にあったはずの境界が溶けてなくなり、すべてが「ひとつ」として、ただ、存在している……! そのビジョンは、ほんの一瞬間だけあらわれて…… &nb …続きを読む
「私が見ているのは、ほんとうに仏さまの姿なのだろうか? 」 このあまりに素朴な疑問が湧いたのは、私が本格的に仏像を拝んで回るようになってから、数年が経過した頃でした。   …続きを読む
ただ正面から仏像を拝むだけでなく、仏像と自分の目と目が合うポイントを探っていくと、ある瞬間、「像」の中から「仏」そのものの姿が立ち現れることがある、とは前回お伝えした通り。 これはもう感覚の世界のお話なので …続きを読む
「学術的にどんなに間違っていてもいい。仏さまと向き合っているときの自分のこころの動きを、まずは全面的に信頼してみよう」。 そう決意した私は、全国の有名寺院を片っ端からたずね、御本尊をはじめとする諸尊、諸仏に …続きを読む
とある仏像との出会いをきっかけに仏教の時間軸のはかり知れなさに目覚めた私は(※連載第1回参照)、その後、「決して流れ去ることのないなにか」を求めて、仏教思想に触れはじめました。 ……とは言え、最初は、いった …続きを読む